電子帳簿保存法
電子帳簿保存法が2021年3月に改正され、2022年1月1日に適用になります。今回の改正では、さまざまな要件が緩和され、規模の小さい企業や個人事業主でも取り入れやすくなります。これを機会に検討してみてはいかがでしょうか。
そもそも電子帳簿保存法とは?
電子帳簿保存法の正式名称は「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」で、1998年7月に施行されました。国税関係帳簿書類の保存に係る業務負担を軽減するためにできたのがこの法律です。
電子帳簿保存法により、一定の要件を満たせば、帳簿・書類を電子データで保存することが可能になりました。当初は国税書類をデータで作成したものだけが対象でしたが、数度にわたる改正で電子保存できる範囲も広がっています。
現在、電子帳簿保存法の対象となっているのは以下の書類です。
- 国税関係帳簿:総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳など
- 決算関係書類:貸借対照表、損益計算書など
- 取引関係書類:見積書、発注書、請求書、契約書、領収書など
- 電子取引:電子契約データ、EDI(電子データ交換)取引など
また、電子データとして認められている方法は大きく分けて以下の3通りです。
- 電子帳簿等保存:会計ソフトなどで電子的に作成した帳簿、電子的に作成した国税関係書類を、データのまま保存する。
- スキャナー保存:紙で作成、受領した領収書や請求書などを、スキャンして取り込み、画像で保存する。
- 電子取引:Eメールなどで授受、またはネットからダウンロードした取引情報を、データで保存する。
2022年1月1日に改正までにすべきこと
「電子取引データの厳格な保存(電子取引)」
2020年の電子帳簿保存法の改正では、キャッシュレス決済の場合は領収書も不要になっています。物品の購買はネット通販の利用や、キャッシュレス決済で行い、電子帳簿保存法に対応した会計システムで集計すれば、作業も大きく削減できます。「マネーフォワード クラウド」なら色々つなげて、つぎつぎ自動化、どんどん便利に。
電子帳簿保存法の要件と改正
電子帳簿保存法を行うためにはいくつかの要件を満たす必要があります。この中には、中小企業での対応が難しく、導入を妨げるものとなっているものもありました。
現行の電子帳簿保存法の要件と改正後とで見比べていきましょう。
税務署長等の事前承認が廃止へ
[現行法]
電子帳簿保存法を始める前に承認を受ける必要があります。導入の3カ月前までには申請し、そこから承認が下りるまで待たなければならないため、電子帳簿保存法を導入しようと決めてから半年~1年の期間を要することがありました。
[改正後 ]
事前承認制度が廃止され、届出制に変わります。後述する必要なツールをそろえて、基準が満たされていれば即、電子帳簿保存を始められるようになります。
タイムスタンプ
タイムスタンプは、スキャナーなどで取り込んだデータが改ざんされていないことを証明するために付与するものです。
[現行法]
書類をスキャナーで読み取って3営業日以内に、書類の受領者が署名した上でタイムスタンプを付与しなくてはなりませんでした。さらに、2カ月+7営業日以内に、受領者とは別の人が原本と照合を行い、照合者もタイムスタンプを付与する必要がありました。
[改正後]
スキャナーで読み取った書類のタイムスタンプの付与は2カ月以内に緩和され、受領者の署名も照合者のスタンプも不要になります。
適正事務処理
[現行法]
受領者が書類をスキャンして署名・タイムスタンプを付与したのち、2カ月+7営業日以内に、社内の別の担当者または税理士が原本との照合・タイムスタンプを付与し、定期検査としてさらに原本との照合、事務処理の適正確認などを行うことになっていました。
[改正後]
照合や定期検査は不要となり、一人の担当者がタイムスタンプを付与するだけでよくなります。
検索要件
電子データを保存するときに検索機能を設定する必要があるのですが、この要件も緩和されます。
[現行法]
取引年月日、勘定科目、取引金額などの主要項目すべてを検索できるようにしなくてはなりません。日付や金額は範囲を定めての検索ができることも必須で、2つ以上の項目を組み合わせての検索条件も設定する必要があります。
[改正後]
取引年月日、金額、取引先の3項目のみ検索できるようにすればよくなります。
優良な電子帳簿に係る過少申告課税の軽減措置
改正後は、「優良な電子帳簿の要件」を満たした「一定の国税関係帳簿」を保存し、適用を受ける旨を事前に所轄税務署長に提出すると、万が一申告漏れがあった場合でも過少申告課税が5%軽減されるようになります。
優良な電子帳簿の要件とは、記録事項の訂正・削除を行った事実を確認できるシステムを使うこと、システム関係書類等(操作説明書、事務処理マニュアルなど)をそなえていること、検索要件を満たしていることなどです。
一定の国税関係帳簿というのは、所得税法・法人税法に基づき、青色申告者が保存することとなっている総勘定元帳、仕訳帳その他必要な帳簿です。
電子帳簿保存法に必要なシステム
今回の改正で、要件の廃止や緩和がありましたが、電子データであればなんでも大丈夫なわけではありません。
真実性と可視性という要件は改正後にもありますので、確認しておきましょう。
真実性の要件:
- タイムスタンプの付与
- 記録事項の訂正・削除をした場合の事実及び確認ができるシステム(または、訂正・削除ができないシステム)での保存
- 正当な理由なしに訂正・削除が行えない事務処理規程
可視性の要件:
- 保存場所に電子計算機(PC)、アプリ、カラープリンターと操作マニュアルを備え、画面・書面に通りの形式で明瞭に出力できるようにする
- 電子計算機処理システムの概要書を備える
- 検索機能を確保する
上記の要件を満たすためには、電子帳簿保存法に準拠したシステムが不可欠です。
これから経理システムをリプレースする予定があるなら、電子帳簿保存法に対応したものを選ぶといいでしょう。
また、検索機能の確保と視認性の確保のために、200dpi以上の解像度があり、OCR機能のあるスキャナーの準備をおすすめします。
テレワークの推進にも
電子帳簿保存法の導入はペーパーレス化になり、また署名や捺印も不要になるためテレワークの推進にもつながります。
物理的な紙を減らすことで保存スペースも軽減でき、紙の紛失になる情報漏えいを防ぐなど、セキュリティ面でも安心です。
2020年の電子帳簿保存法の改正では、キャッシュレス決済の場合は領収書も不要になっています。物品の購買はネット通販の利用や、キャッシュレス決済で行い、電子帳簿保存法に対応した会計システムで集計すれば、作業も大きく削減できます。
まとめ
・2022年1月1日に改正後の電子帳簿保存法がスタート
・改正後には中小企業や個人事業主でも導入が容易に
・電子帳簿保存法に対応した会計システムやスキャナーを準備
資料「2022年の電子帳簿保存法改正2つのポイント」ダウンロード
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