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そう、これはポルシェ カイエンGTSコンバーチブルなのだ。しかも、この1台が今、売りに出されているのだ。ポルシェの400馬力コンバーチブルは、911だけではない。米国のあるチューナーは、自然吸気V8を搭載したカイエンGTSのコンバーチブルコンバージョンを製作、提供している。そのうちの1台が、現在フェイスブック上で販売されている。その詳報。

真のSUVコンバーチブルは希少種である。
それは、「メルセデスGクラス カブリオ」や「ジープ ラングラー」のようなオープントップのオフロード車ではなく、現代的な意味でのSUVのことだ。
「VW T-Roc」、「レンジローバー イヴォーク」、「日産ムラーノ クロス カブリオレ」などが頭に浮かぶだろうが、その他にはめったに思い浮かばないはずだ。
これは、前述した例(SUVコンバーチブル)がいずれも本格的に普及したとは言い難いことも影響しているだろう。

しかし、米カリフォルニアのチューナー、ニューポートコンバーチブルエンジニアリングは、初代「ポルシェ カイエンGTS」など、さまざまなSUVのファブリックルーフ仕様車を提供している。
そのうちの1台が、現在アメリカのFacebookで販売されている。

固定式窓枠

カイエンは固定式のルーフではなく、電動式のファブリックトップを採用している。ねじれ剛性を向上させるため、Bピラー間にストラットを設置し、トップアップ時にPTクルーザーのような華やかさを演出している。
不思議なことに、ドアにはまだ窓枠が残っていて、特にリアドアではかなりかさばる、重たい印象がある。

Bピラーにストラットがあるとは言え、カイエン カブリオのねじれ剛性は大丈夫だろうかと心配になる。

リアに積み上げられたソフトトップも美観に欠けるが、せめてもの救いはターポリンでカバーされてあることだ。
ルーフを閉じた状態でも、トランクがある。
開いているときにどのような状態になっているかは、我々の知るところではない。

Black in Black: マットブラックの塗装に加え、前オーナーはカイエンのテールランプをダークカラーに加工した。

405馬力の自然吸気V8エンジン

改造のベースとなったのは、405馬力の4.8リッター自然吸気V8エンジンとオートマチックトランスミッションを搭載した2010年型「ポルシェ カイエンGTS」だ。ちなみに、「GTS」にはマニュアル変速機も用意されていた。
広告によれば、600台しか作られなかった限定のトランスシベリア版まであったそうだ。
しかし、写真ではホイール、ドアシルトリム、シャーシの盛り上がりなど、識別できる部分が欠落しているため、その部分の判別は難しい。
もちろん、オープンカーとしては当然といえば当然だが、特徴的なルーフのLEDライトもない。

車の状態はよく整備されているとのことだ。内装の写真がそれを証明している。やや生地が汚れた感じではあるが、そこそこ程度はよさそうだ。

価格: 約40,000ユーロ(約520万円)
カイエンはマットブラックに塗り直され、テールランプもダークな色になっている。
広告によれば、前オーナーは2名で、現時点で約99,000km相当(ギリギリ10万km以下)の走行距離で、メンテナンスが行き届いた状態であるとのことだ。
この車は、現在、Facebook Marketplaceを通じてテキサス州で販売されている。
広告価格は約4万ユーロ(約520万円)に相当する。
むろんその提示された価格は高額だ。通常、「GTS 4.8」は平均して約1万ユーロ(約130万円)以上も安いのだから。
しかし、このカイエンは、普通のカイエンとは全く違うことだけは確かだ。

昔からこの手の、切った、貼ったの改造屋さんはアメリカに多く存在し、えっ、こんなクルマをオープンにしちゃうの、とか、リムジンにしちゃうんだ、みたいなビックリ人間大集合みたいなモデルが多く存在していた。
このカイエンもその中の一台で、正直言うと、幌の出来がどうのこうの、とか、ボディ剛性がどうたらこうたらと難しく考えずに、軽いノリで楽しむべき自動車である。
それでもまだちゃんと語る(?)のであれば、まあこんな風に切ってしまったらおそらくもとのボディ構造から考えてもちゃんと「カイエンGTS」らしく走るかどうかは相当疑問であるし、耐久性もおそらくないだろう。また価格に関しても年式などを考えたら、ちょっとお高いような気もするが、そこは何回も言うように、軽いシャレとノリで受け流すようなオープンモデルと考えてほしい。

Text: Moritz Doka
加筆: 大林晃平
Photo: Facebook/Marketplace