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ボーズからアクティブ・ノイズキャンセリング機能を搭載する新しいワイヤレスヘッドホン「Bose QuietComfort 45 headphones」(以下:QC45)が発売されました。定番シリーズ“QuietComfort”最新機種の実力をレポートします。

↑ボーズの新しいアクティブ・ノイズキャンセリング機能を搭載するワイヤレスヘッドホン「QuietComfort 45」

 

QuietComfortシリーズ待望のワイヤレスヘッドホン

QuietComfortはアメリカのオーディオブランド・ボーズを代表するノイズキャンセリング機能を搭載したヘッドホン・イヤホンのシリーズで、日本にも多くのファンに支持されています。イヤホンは2020年にQuietComfort Earbudsが発売されました。ヘッドホンは2017年秋に発売されたQuietComfort 35 II(以下:QC35 II)以来、久しぶりの新製品です。

↑左がQC45、右がQC35 II。外観は大きく変わっていません

 

ボーズのアクティブ・ノイズキャンセリング機能を搭載するワイヤレスヘッドホンには、「Bose Noise Cancelling Headphones 700」(以下:NCH700)というモデルも存在します。ボーズのオンラインサイトで販売されているQC45との価格差は7150円と大きくは開いていませんが、NCH700の方が専用アプリ「Bose Music」を使って設定・操作できる項目が多くあります。QC45の方はよりシンプルに、ボーズらしい快適な消音効果とパワフルなサウンドが楽しめるワイヤレスヘッドホンとして位置付けられます。

 

QC45は外音取り込みに対応。内蔵バッテリーも強化した

QuietComfortシリーズのヘッドホンをよく知っている方は、QC45のデザインがQC35 IIから大きく変わっていないことにすぐ気が付くはずです。カラーバリエーションにはブラックとホワイトスモークの2色があります。

↑ブラックとホワイトスモークの2色が発売されます(画像はホワイトスモーク)

 

外観だけではわかりにくい「QC35 IIとの違い」について、代表的なものをピックアップしてみます。

 

QC45ではノイズキャンセリングを「Quiet」、外音取り込みを「Aware」として2つのモードに分けて、左イヤーカップ側面のアクションボタンをシングルクリックすると簡単に切り換えられるようになりました。音楽再生を止めることなく外音を取り込める機能がQC35 IIにはなかったので、大きく進化したポイントであるといえます。

↑Bose Musicアプリでヘッドホンの設定、音楽コンテンツの再生を操作できます。ノイズキャンセリング(Quiet)と外音取り込み(Aware)の切り換えも可能になりました

 

内蔵バッテリーによる連続音楽再生は、アクティブ・ノイズキャンセリング機能をオンにした状態で連続約24時間。QC35 IIよりも約4時間伸びました。QC45では、最新のAndroidスマホにも多く普及するUSB-Cケーブルによる充電に対応しています。さらに15分のクイックチャージで最大約3時間のリスニングに使えるバッテリーが充電されます。

 

このほかにボーズのワイヤレススピーカーやサウンドバーとペアリングして、夜間にスピーカー再生の音をQC45に飛ばしながらエンターテインメント鑑賞が楽しめる「SimpleSyncテクノロジー」が加わっています。

 

アプリによる操作に対応。高いポータビリティ

QC45の設定や操作には、NCH700やイヤホンの「QuietComfort Earbuds」と同じiOS/Android対応のモバイルアプリ「Bose Music」を使います。ヘッドバンドのクッションを包む素材はQC35 IIがベロア調の生地でしたが、QC45はさらっとした肌触りの合皮に変更されています。

 

イヤーカップを回してコンパクトに折り畳める構造は、QC35 IIから継承されています。NCH700が折り畳めるのはフラットな形状までなので、付属するキャリングケースの形状にも影響が表れます。縦横サイズはコンパクトながら少し厚みがあるQC45のケースと、厚みを抑えつつ、縦横のサイズはやや大きめとしたNCH700のケースの形は好みが分かれそうです。

↑イヤーカップが回転してコンパクトに折り畳めるポータビリティの高さがQuietComfortシリーズのヘッドホンの魅力です

 

QC35 IIは最も速くGoogleアシスタントを本体にビルトインしたノイキャンワイヤレスヘッドホンでした。QC45ではこの機能が省略されていますが、右イヤーカップ側面のマルチファンクションボタンを押し込むと、スマートフォンの音声アシスタントが起動できるので、さほど不便には感じません。

↑左側がアクションボタン。右側に3つならぶボタンのセンターが音声アシスタントの呼び出しにも使えるマルチファンクションボタン

 

NFCによるスマホとのワンタッチペアリング機能もQC45では省略されています。複数のヘッドホン・イヤホンを使っているユーザーはNFCでペアリングの切り換えが素速く簡単にできるので、残してほしかった機能です。

 

QC45の上位モデルにあたるNCH700では、外音取り込みも含めて全11段階でアクティブ・ノイズキャンセリング機能を細かく調整できますが、QC45は「Quiet」と「Aware」の切り替えのみ。また、NCH700はタッチセンサーリモコンでの操作ですが、QC45はボタンリモコンとなっています。

 

眼鏡にぶつからない快適な装着感

筆者はQC45が発売される前から執筆のために借りて、以後本稿を執筆している11月中旬まで約1ヶ月念入りに検証しながら使っていました。

 

QC45はQC35 IIの安定した装着感を見事に継承しています。ヘッドバンドの側圧、柔らかく耳を覆うイヤーパッドの形状など、シリーズが練り上げてきた知見の豊かさをあらためて実感しました。

↑柔らかさを最適化したイヤーパッドが耳をやさしく包み込みます

 

筆者の場合、QuietComfortシリーズはイヤーパッドが眼鏡のテンプルにぶつからずにフィットしてくれるところが本気で重宝しています。飛行機による空の長旅にはQCシリーズが欠かせないので、QC45も頼もしい旅のパートナーになってくれそうです。専用キャリングポーチには有線リスニング用のケーブルや航空機変換アダプターを収納できる便利なポケットがあるのも便利ですね。

 

Bose MusicアプリからQC45を設定・操作できる機能はNCH700ほど多くはありませんが、だからこそワイヤレスヘッドホンを初めて使う方も馴染みやすいと思います。

 

前世代の機種を超えてきた、力強く広がり豊かなサウンド

QC45のサウンドはiPhone 13 Proで試聴してみました。BluetoothオーディオのコーデックはSBCとAACに対応しており、iPhoneによるワイヤレス再生の実力もフルに引き出せます。

↑iPhone 13 Proに接続して音楽を再生。ノイズキャンセリングの効果はしっかりと効きます

 

鋭く立ち上がるエネルギッシュな中音域、力感も充実する低音に、アクティブ・ノイズキャンセリング機能を搭載する同価格帯のワイヤレスヘッドホンとの違いを感じます。地に足の付いた音楽再生は安定感がとても豊か。ボーカルやバンドが演奏する楽器の音像をシャープに描きます。

 

QC35 IIに比べると、特に高音域の見晴らしがクリアになっています。ピアノや弦楽器が演奏する音がグンと前に迫り出してくるような生々しく、大編成のジャズバンド、クラシックのオーケストラの演奏は高音域が天井方向へ突き抜けるように広がり、奥行きの深みもまたQC35 IIよりも鮮やかに再現されます。

 

ノイズキャンセリングの設定を「Quiet」にすると、バスのエンジン音、人の話し声などの雑音がきれいに消音されます。機能のオン・オフを切り換えたときに音楽再生のバランスが崩れないところはさすがQuietComfortシリーズの最新モデルです。外音取り込み「Aware」モードも音楽再生を最優先にした穏やかな効き具合。内蔵するマイクの性能が高く、外音取り込みに由来するノイズ感はありません。イヤーパッドによるパッシブな遮音効果も高いことから、もう少し多めにマイクで外音を取り込むバランスにチューニングされていてもよいかとも思いましたが、ノイズキャンセリング機能との対比でスムーズに切り替わる使用感を重視したのかもしれません。

 

シンプルで完成度の高いノイズキャンセリングヘッドホン

上位のNCH700に比べると、QC45はダイナミックで力強い音の輪郭線、リズムの鮮やかな粒立ちと躍動感を素直に引き出せる音楽性の豊かさが特徴といえるでしょう。ボーカルを心地よく聞かせるバランスは音楽再生に限らず、例えばビデオ会議やハンズフリー通話のような「人の声を正確に聞き取る」ことが必要とされる用途にもはまりました。

 

ボーズのライバルが展開するアクティブ・ノイズキャンセリング機能を搭載するワイヤレスヘッドホンの中には、QC45に引けを取らない機能を備えながら、より安価な製品もあります。QC45の3万9600円というオンラインサイトの販売価格はやや高いように感じられるかもしれませんが、ボーズが長い時間をかけて練り上げてきたQCシリーズのナチュラルバランスで聴き疲れしないサウンド、心地よいフィット感は体験する価値があると思います。長時間持続するバッテリーに高いポータビリティなど、この完成度の高さに慣れてしまうともはやQC45以外のノイズキャンセリングヘッドホンでは物足りなく感じてしまうかもしれません。現在QC35 II、NCH700を使っているという方にも、ぜひ一度QC45を試してみることをオススメしたいと思います。

 

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