【ワシントン=渡辺浩生】米軍制服組トップの統合参謀本部議長として1991年の湾岸戦争を指揮し、2001年に黒人で初めて米国務長官に就いたコリン・パウエル氏が18日、新型コロナウイルス感染による合併症で死去した。家族がフェイスブックで公表した。84歳だった。コロナのワクチンは接種済みだったとしている。
パウエル氏は1937年にジャマイカ系移民の子として生まれ、大学卒業後の58年に米陸軍に入隊。ベトナム戦争に2度出征し負傷した。レーガン政権で国家安全保障問題担当の大統領補佐官を務め、ブッシュ(父)政権で黒人初の統合参謀本部議長に就任。イラクのクウェート侵攻を契機とした湾岸戦争で優れた指導力を発揮して国民的英雄となり、たびたび大統領選候補にも取り沙汰された。
ブッシュ(子)政権では黒人初の国務長官に就任。2001年9月の米中枢同時テロを受けたアフガニスタン、イラクでの対テロ戦争では国際社会の支持獲得に奔走した。イラク戦開戦前の03年2月には国連安全保障理事会で演説し、イラクのフセイン政権が大量破壊兵器を隠し持っていると訴えた。後に大量破壊兵器は存在しなかったことが判明し、自身の経歴の「汚点」だったと振り返った。 ブッシュ(子)元大統領は18日、「ローラ(夫人)と私は、コリン・パウエル氏の死に深く悲しんでいる。彼は偉大な公共の奉仕者だった」との声明を発表。ブッシュ氏は「多くの(歴代)大統領が、彼の助言と経験に頼ってきた」とし、「祖国と海外から高い尊敬を得てきた」とパウエル氏の功績をたたえた。