モード逍遥#116
紳士服地を扱う業態には、ミルとマーチャントがある。
ミルとは機屋(はたや)のこと。原毛を仕入れ、紡績、染色し、服地を織る製造業者(メーカー)を指す。
英国のハダーズフィールドなどに小さなミルがたくさんあった頃は、「ウチはウーステッド専門とか」、「昔から織るのはツイードだけ」というようにそれぞれ得意分野があり、特長のある製品を送りだしていたものだ。
いっぽうマーチャントは、そういった機屋から製品を買い集めて市場に出す、いわば仲買卸売業者のこと。
ミルにもマーチャントにも、それぞれ規模の大小があり、大きなミルはマーチャントに頼らず、自らの社名を生地の耳につけて(たとえばMADE IN ENGLAND ARTHER HARRISONとか)世界に売り出していた。
いっぽう大きなマーチャントは、ミルにオリジナルの製品を大量に別注し、服地の流行をリードすると同時に、ブランド化(たとえばDORMEULのTONICなどという独自性のある商品を開発するなどして)も狙ったのである。
紳士服地はミルで選ぶか、マーチャントで買うのが正しいか?はByron(バイロン)で公開された投稿です。