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PXL_20211001_125405130.PORTRAIT 昨日アップした「秋に美味しい東北のビールの話」で、「フレッシュホップ」のビールについて取り上げた。その中で、「新米や新そばと同様、『実りの秋』はビールにも言えるのである。ぜひこの時期だけの東北の『新ビール』、味わってみていただきたい」と書いたが、ではどこがその「新ビール」を出しているのか、ということについて、どこにも情報がまとめられていないことに気づいた。

 そこで、言い出しっぺの責任として、私が把握している限りの情報にはなるものの、現在、あるいはこれから入手できる東北の「フレッシュホップ」のビールについてまとめてみた。現状では以下の通りである。

東北のフレッシュホップのビール一覧(2021.10.21現在)

青森県

Be Easy Brewing(弘前市)


自前のホップ畑「Be Easy Farms」で収穫したカスケードホップをその日のうちに使用し、そのフレッシュさを活かした、年に一度の特別なビール。今回はCold IPAにし、そのホップのフレッシュな風味をしっかり味わえる「Cold IPA」としてリリース。缶のラベルにはホップの収穫を手伝った参加者の名前が記載されている。

岩手県

ベアレン醸造所(盛岡市)

国産原料100%ビール
使用する原料がすべて東北産のピルスナー。大麦麦芽は宮城・東松島産の「希望の大麦」、ホップは岩手・遠野産の「IBUKI」と雫石産の「カスケード」のフレッシュホップを使用。華やかなホップの香りとキリッとした苦みが味わえる。昨年同様、岩手、宮城、福島の三県の生協でのみ購入が可能。

上閉伊酒造(遠野麦酒ズモナ)(遠野市)


今年は例年使っている遠野産ホップ「IBUKI」に加えて、村上ホップ博士が今年栽培した岩手県産ホップ「ハラタウ・ミッテルフリュー」を使用し、通常商品のゴールデンピルスナーよりもホップ感の強い、爽やかな飲み心地となっている。

遠野の華 WHEAT ALE

遠野産ホップ「IBUKI」のフレッシュホップを100%使用。苦味と酸味はやや控え目で、ホップから来る柑橘系のフレーバーが引き立つような味わいとなっている。苦めのビールは苦手という人にはこちらがオススメ。

IBUKI HOP IPA (FRESH HOP 2021ver.)
こちらも遠野産ホップ「IBUKI」を100%使用。例年遠野市内で実施される遠野市のホップの収穫を祝う「遠野ホップ収穫祭」のために醸造されるビールで、「」の“SMaSH(Single Malt and Single Hop)と呼ばれる1種類の麦芽と1種類のホップのみを使うシンプルな造りで、ホップの美味しさを引き出している。

Fresh Hop Harvest
こちらも遠野産ホップ「IBUKI」のフレッシュホップを100%使用したビール。ホップ投入のタイミングを計算して、新鮮で瑞々しい香りをより強く引き出している。ホップの和柑橘のような甘いフレーバーと、小麦を使うことで生まれるとろりとした飲み口が相まって、果実のような優しい味わいが堪能できる。

遠野醸造(遠野市)

フレッシュホップエール
遠野産の生ホップを使用したアメリカンペールエール。10月中旬リリース予定だが、まだオンラインストアには登場していない。(※動きがあり次第追記)

サンクスセゾン

遠野産ホップ「IBUKI」を使い、若手ホップ農家とコラボしたビール。12月中旬リリース予定。

いずれも樽生は遠野醸造のTAPROOMで提供が予定され、缶ビールは公式オンラインストアで購入できる予定である。

世嬉の一酒造(いわて蔵ビール)(一関市)

遠野産ホップ「IBUKI」を使用したESB(エクストラ・スペシャル・ビター)。フレッシュなホップの香りと麦芽の香りがバランスよく取れたビール。ESBはその名前ほど苦みはなく、甘い香ばしさとコクのある後味が特徴なので、こちらも苦くないビールが好きな人にはオススメ。

宮城県

穀町ビール(仙台市)

石巻のイシノマキファームが栽培したとれたてのホップを100%使用して造るビール。麦芽は東松島産の「希望の大麦」を使用しており、原材料がすべて宮城県産で「地元にあるものだけを使用して造ったビール」である。「の・ビール」は「希望の大麦」が収穫された土地、野蒜(のびる)とビールを掛けた名前である。

秋田県

田沢湖ビール(仙北市)

琥珀ピルス -Kohaku Pils-
秋田県産の生ホップとチェコ産ホップ「ザーツ・ザーツ」を使用した限定の、秋を思わせる琥珀色のビール。フレッシュな香りと上品な苦味が楽しめる。アルコール度数は3.5%と低めで、後味スッキリの飲みやすいアンバーラガーである。

IBUKI HOP IPA [フレッシュホップVer.]
横手産ホップ「IBUKI」と遠野産フレッシュホップ「IBUKI」を使用したIPA(インディア・ペール・エール)。単一のペールエール麦芽とホップを使用した非常にシンプルなビールで、通常の約3倍のホップを投入しているため、IBUKIホップの特徴であるフルーティな香りとしっかりとした苦味が楽しめる。

YOKOTE SINGLE HOP IPA “GALENA”
横手市大雄にある「小棚木ファーム」で栽培されたホップ1種類のみ使用して醸造する「シングルホップ」シリーズのビールで、今回は「ガレーナ」を使用。リーフホップのまま醸造に使用しており、ホップの特徴が楽しめる。

羽後麦酒(羽後町)

羽後麦酒として初めてのフレッシュホップのビールが登場。セッションIPAなので、ホップの香りを楽しみつつ、度数は低めで飲みやすい味に仕上がっているものと思われる。まだオンラインストアには並んでいないが、いずれ並ぶものと思われる。(10/21更新)

福島県

ホップジャパン(田村市)

Abukuma Fresh(アブクマ・フレッシュ)
市内で収穫された手摘みにこだわった生ホップだけを使ったビール。品種の異なる2種のホップのビールがリリースされており、ホップの違いによる味の違いが楽しめる。

チヌーク
ホップの苦味が穏やかで飲みやすいフレッシュホップビール

センテニアル
ホップの苦味がしっかりと感じられる爽快なフレッシュホップビール

フレッシュホップ大平エール245
今年収穫した自家栽培のとれたてホップを使用したフレッシュホップビール。この時期にしか味わえないライト感覚でホップの香りが濃厚なエールタイプのビール。数量限定のため売切次第終売。10/19現在、まだ在庫があることを確認。10/22~26の「しらかわ食・人フェア2021」でも購入可。(10/21更新)

フレッシュホップセゾン

自前のホップ畑で取れたホップ「チヌーク」と町内の「ゲストハウスひととき」の佐々木さんが栽培した「カスケード」を使ったセゾンスタイルのビールが「Taproom Beer Fridge(ビア・フリッジ)」で飲める。

その他

一番搾り とれたてホップ

キリンの看板ビール「一番搾り」に、遠野産ホップ「IBUKI」を100%使用した限定ビール。2004年から販売しており、「フレッシュホップ」のビールの草分けとなったビール。同社の「氷結」の技術を使い、収穫したホップを熱加工することなく瞬間冷凍し、粉砕して使用している。今年は11月2日販売開始である。缶と瓶は全国で買えるが、樽生は東北六県限定である。

サッポロの看板ビール「黒ラベル」に、青森県南と岩手県北で栽培されたホップ「ホクトエース」を100%使用した限定ビール。副原料の米も宮城県産米である。こちらはフレッシュホップとの表記はないが、今年取れた東北産ホップを使った「新ビール」なので挙げておく。今年は10月26日販売開始である。缶は東北六県限定で、樽生は青森県と岩手県限定である。

岩手県産ホップと宮城県産米「だて正夢」を使用し、福島工場で製造した東北の「スーパードライ」。やはりフレッシュホップとの表記はないが、同じく東北産ホップのビールなので追記。売上1本につき1円が東北地方における復興支援、地域振興などのために役立てられる。缶のみの販売で、東北六県限定である。(10/21追加)

他に、こうしたフレッシュホップのビールを意識して入荷している飲食店もある。「癒.酒.屋わおん」がそうで、東北内外のフレッシュホップのビールを樽生や瓶で仕入れ、店内で提供する他、同じ場所にあるクラフトビール専門店「クラフトビア・ティニー」でテイクアウトと通販を取り扱っている。ここで紹介したビールのうちの何種類かも在庫がある。