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インスタやメディアのニュースでは話題性のあるハイプなスニーカーが日々取り上げられますが、スニーカー市場全体で見るとハイプじゃない方が大多数を占めるし、その“じゃない方”が好きという人もたくさんいます。

今回の主役は〈ヴァンズ(VANS)〉のオーセンティック。いつでもどこでも買える、ハイプとは真逆のポジションに位置するスニーカーです。FACYに参加するショップスタッフの中でも特に「オーセンティックを偏愛している」というZABOU TOKYOの大井勇人さんに、愛用している理由やその魅力を聞きました。


大井勇人 / ZABOU TOKYO スタッフ
“紳士をつくる”をコンセプトに国内・海外問わずオーセンティックなアイテムをセレクトする大阪のショップ『ZABOU』の東京店スタッフ。いつも素敵な笑顔と関西弁で迎えてくれる同店のフロントマン。

ー編集部・杉山から、大井さんが大のオーセンティック好きだと聞きました。確かにZABOUのインスタでもよく履かれているのを見かけます。いつ頃から愛用されてるんですか?

初めて買ったのは中学生です。今28歳なので、15〜16年前くらいですかね。正確に何歳かは覚えてないんですけど……。最初に買った〈ヴァンズ〉はオーセンティックではなく、ABCマートで買った有名じゃないモデルでした。そこから〈ヴァンズ〉というブランド自体が気になって、最終的にオーセンティックが始まりのモデルっていうことを知ったんですよ。

ーオーセンティックとの出会いが早い! 「始まりのモデル」という情報はどこで知ったんですか?

父親が出張に行くといつも新幹線で『Fine(雑誌)』を買って読んでたんです。それを出張帰りに「読んだからやるわ」って渡されてたんですよね。今のFineはアウトドア全般をカバーしてますけど、当時はサーフカルチャー特化。当然のように〈ヴァンズ〉も掲載されていて、そこでオーセンティックのことを知りました。

 

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ー当時まわりでオーセンティックを履いている人はそこまでいなかったんじゃないですか?

オーセンティックというか〈ヴァンズ〉を履いている人は他にもいましたけど、僕のまわりでは〈コンバース(converse)〉を履いている人の方が全然多かったですね。〈ヴァンズ〉ってカルチャーを含めて不良っぽいところがあるじゃないですか? その空気感がカッコいいなって思っていて。履いていると「俺はそっちじゃない!」みたいな感じを出せたんですよね(笑)。

ーサーフやスケートカルチャーが背景にある、というのは大きいですよね。そこからはずっとオーセンティック一筋ですか?

さすがに中学の時はまだですね(笑)。高校からはバイトを始めて少しお金もあったので、〈コンバース〉や〈アディダス(adidas)〉、〈ナイキ(NIKE)〉、〈プーマ(PUMA)〉と一通り履きました。で、いろいろ履いた結果、「中学に履いたときの〈ヴァンズ〉がなんか良かったなあ〜」とふと思ったんですよね。ただ、その頃はオーセンティックじゃなくて、スリッポンかエラを履くことが多かったです。

ーあ、そうなんですね。当時はモデルにそこまでこだわりはなかったと。

〈ヴァンズ〉ってブランドに惹かれてたんですよ。高校時代、地元に古着屋さんができて、バイト先からも近かったんでよく通ってたんです。そこのオーナーさんの格好がいつもシャツに、〈リーバイス(Levi’s)〉のスタプレ、ほんで〈ヴァンズ〉とかのローテクのシューズみたいな。その影響はあったかなと思います。

ー『オーセンティック』を意識して履き出したのはいつ頃ですか?

ここから履き始めました!って感じではないんですよね。積み重ねというか、いろいろ履いていくうちに「やっぱりオーセンティックが自分の足にフィットするな〜」ってことが分かったという感じです。オーセンティックって“いろんな意味”で履きやすいんですよ。コーディネートに合わせやすくて、お値段もそれなりに安くて、気軽に買い足しと買い替えができて。

ー“いろんな意味で”ってところが重要ですよね。履くときに、こうした方がカッコいい! みたいなポイントってあるんですか?

オーセンティックはサラ(新品)じゃない方がカッコいいです(笑)。たまに日焼けさせたりもしますね。

ー日焼け……?

〈リゾルト(RESOLUTE)〉のデザイナー・林さんがスニーカーを日焼けさせてるみたいなことを言ってたんで、いっぺん試しみたんですよ。今日一足持ってきたんですけど。

1年間日焼けさせた、現行のオーセンティック(カラーはネイビー)。紐だけ付属の化繊のシューレースからコットンシューレースに変更している。

ーおお、全然違いますね(笑)

サラのやつを買うてきて、それを1年間ベランダに置いといただけです。何もせずに本当に置いとくだけ(笑)。アッパーだけが日焼けするんでソールの減りはゼロっていうのが良いんですよね。

ーここまで日焼けするとヴィンテージのような雰囲気がありますね。

雰囲気はそれなりに出ますね。ただ、本当に置きっぱなしだったせいで中も汚れてしまって……。履く前に一回洗うはめになりました(笑)。

ー今日は他にもお気に入りのオーセンティックを何足か持ってきていただきました。

大阪の実家にはVANSが全部で50足くらいはあるんですけど、東京にはあんまり持ってきてないんですよね。今手元にあるオーセンティックは7足で、今日は日焼けさせたやつ含めて5足持ってきました。ほとんど東京に来てから買ったやつです。

ーすべて通常モデルではなく、アナハイム・ファクトリー・コレクション(※)のものですか?

さっきの日焼けのやつ以外の4足は全部アナハイムです。スニーカーは“履けてなんぼ”。ヴィンテージとかに興味ない分、「履きやすさ」をすごい大事にしてるんです。通常のオーセンティックはインソールがペタペタだけど、こっちはウルトラクッシュっていう最新のものを採用しているからクッションが全然違う。断然アナハイムの方が履きやすいです。慣れると普通のモデルには戻れないですね(笑)

※アナハイム・ファクトリー・コレクション(Anaheim Factory Collection):Vans創業当初、カリフォルニア州アナハイムにあるファクトリーで製造されていたオリジナルモデルの面影を残しつつスペックをアップデートしたシリーズ。

ーアナハイム・ファクトリー・コレクションは発売当初のディテールを再現したデザインでも人気ですが、大井さんはあくまで実用性重視で選ばれているんですね。カラーはどんな基準で選んでいますか?

オーセンティックのネイビーと黒はやっぱり定番として絶対に持っておきたいカラーじゃないですか? この2色はずっと履いていて、いつも履きつぶす前に買い足すようにしています。

ー確かにその2色はあると落ち着きますよね。他はベージュとホワイト、全て単色ですね。

今回持ってきたのは単色だけですが、ときどき色物も買ってます(笑)。ベージュは単純に合わせやすくて、ZABOUのスタイルであるジーンズや軍パンと相性が良いんですよ。ホワイトはこの春買ったやつです。実は白のスニーカーって履くのがこそばゆくて今までずっと避けてたんですけど、久々に履いてみるかな〜って。実際履いてみるとそれなりにええですね。

ー今後もオーセンティックは大井さんの定番としてあり続けると思いますか?

履きつぶす前に買い足す、今度もその繰り返しになると思います。「あなたのスニーカー1位は何ですか?」って聞かれたら、それがオーセンティックというのは自分の中では揺るがないと思いますね。というか、揺るぎたくもないの方が正しいかな。これより良いやつ出てきたら浮気せなダメでしょ? またそれをこんな風に集めなくちゃいけないので。それはやりたくないです(笑)


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