ワクチン入りトマト流通プロジェクト、ワクチン入りのトマトが出来たとの情報–。
そんな真偽不明の情報を紹介する画像や記事が、インターネット上で拡散している。この「計画」にかかわる企業として、カゴメやカルビーなど、実在する15の大手企業の名前も紹介されている。
そのため、いわゆる「反ワクチン」の人たちなどから、企業への不買まで呼びかける動きがある。
トマトを使った商品で知られるカゴメは8月20日、弁護士ドットコムニュースの取材に、ワクチン入りトマトの開発や使用を完全に否定したうえで、消費者に向けて「安心してほしい」とコメントした。
●ワクチン入りのトマトが出回るとする情報が広まっている
「ワクチン入りトマト」に関する情報がツイッターなどSNSで急激に拡散したのは8月17日ころだ。
ワクチン入りのトマトがすでに作られ、市場に出回る可能性について言及した記事(4月配信)を紹介する投稿が拡散されている。記事では、トマトケチャップで知られる食品大手カゴメや、人材大手のパソナの関与を思わせる記述もされていた。
この記事のほかに、「ワクチン入りトマト流通プロジェクト」という「計画」に参画する15の企業名が書かれた画像の投稿も数多くリツイートされている。
「ワクチン」は「新型コロナウイルスのワクチン」とするものではないが、この情報を受けとった人たちの中には、コロナワクチンがトマトに入っているとして、該当する企業への不買運動を呼びかけるものまで現れた。
弁護士ドットコムニュース編集部は8月20日、名前をあげられた企業に、事実確認をおこなった。
●カゴメ「事実と異なる情報」、カルビー「誤った情報で拡散」、モス「一切関知していない」
カゴメはワクチン入りトマトの使用や開発を否定した。
〈SNSの一部の投稿において、弊社がワクチンを投入したトマトの開発・販売に関与しているといった事実と異なる情報を確認しております。
弊社が原料や商品として使用するトマトにワクチンが投入されたものはございません。またワクチンを投入したトマトの開発を検討していることもございません。
お客様におかれましては、どうかご安心くださいますようお願い申し上げます〉
「モスバーガー」を展開するモスフードサービスも〈当社は「ワクチントマト」について一切関知しておりません〉と回答した。
また、カルビーは、3月設立のプロジェクト「Plant Based Lifestyle Lab」の情報が「誤ったかたちで拡散されていると推測する」とコメントした。
設立時にパソナが出したリリースには、プロジェクト参画企業として、カルビーやカゴメなど、ネット上で紹介されているものと同じ15の企業名が並んでいる。
食品の通信販売「オイシックス・ラ・大地」は投稿についてすでに把握していたとしたうえで〈弊社でワクチン入りのトマトを開発・販売するといった事実はございません〉と答えた。
また、〈「Plant Based Lifestyle Lab」にも弊社より事実確認を行いましたが、同じくそのような事実はないとのことです〉とも。
パソナグループも「弊社においてそのような事実はありません」とコメントした。
(8月20日18時09分 パソナのコメントを追記しました)