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1. ブロックチェーンを活用した「電子印鑑システム」が登場

 シヤチハタ、ケンタウロスワークス、早稲田リーガルコモンズ法律事務所はブロックチェーンを利用した電子印鑑システム「NFT印鑑」を共同開発した(CNET Japan)。NFT印鑑の特徴は印影データをNFT化すること。印鑑保有者の情報と印影情報を結び付ける。記事によれば「NFT印鑑が押印された電子文書には、印鑑保有者およびNFT化された印影の情報が刻印され、押印の記録は改ざん困難なブロックチェーンに記録されるため、『いつ、誰が、何に押印したのか』という、証拠を確実に残すことができる。押印された印影から押印者を証明するだけでなく、従来の電子印鑑が抱えていた印影の偽造リスクの問題を、ブロックチェーンの特徴である改ざん耐性を活用して解決する」としている。電子署名の一種ではあるが「印影」の真正性をデジタル技術で担保するところが特徴か。

 一方、「クラウド型電子署名サービス協議会」が設立された(INTERNET Watch)。メンバーはアドビ、サイトビジット、ドキュサイン・ジャパン、ネオキャリア、freee、弁護士ドットコム、マネーフォワードの7社。「関係する事業者間の情報交換と連携を図り、トラストサービスの法制度整備に対して意見の提言や、制作推進の支援を行う」ことを趣旨としている。

 リモートワークによって、一部では電子署名に関する関心は高まっているものの、一般的には爆発的な普及には至っていないようだが、今後のトラストサービスの枠組みや法整備に期待したいところだ。

ニュースソース

  • 「クラウド型電子署名サービス協議会」設立。アドビ、freeeなど7社が参加 デジタル庁が主導するトラストサービスに関する法整備に提言・支援[INTERNET Watch
  • ブロックチェーンを活用した電子印鑑システム「NFT印鑑」、シヤチハタらが共同開発[CNET Japan

2. メタバース――大手IT企業らが取り組む仮想空間技術

 ここのところ国内外のメディアでバズワード的に登場して来ているのが「メタバース」という言葉だ。記事(ケータイWatch)によれば、メタバースとは「1992年のこと。SF作家のニール・スティーブンソン(Neal Stephenson)氏による小説『スノウ・クラッシュ(Snow Crash)』の中で、この言葉が使われた」という。2007年ごろにはリンデンラボ社が開発した「セカンドライフ」というアプリケーションが話題となった。その後、メタバースのブームは去り、人々からは忘れられていたが、ここにきて、IT大手各社がメタバースへの取り組みを始めている。

 フェイスブックやマイクロソフトはこのメタバースに取り組んでいると報じられている(CNET Japan)。また、先ごろ、NVIDIAの最高経営責任者(CEO)であるジェン・スン・フアン氏が自宅のキッチンに立って、同社の最新技術に関する基調講演を行っているが、この講演の一部は全てコンピューターグラフィックスで作られたものだったことが明かされている(CNET Japan)。

 日本でもJR東日本がVRイベント「バーチャルマーケット6」に出展する「バーチャル秋葉原駅」の詳細を発表した(ITmedia)。「バーチャルなSuicaを発行して改札を通り、電車に乗ってVR空間内を一周できるという。駅前にはエヴァンゲリオン初号機などの3Dモデルも登場する」ということだ。

 一方で、「Pokémon GO」などを提供するナイアンティック社のCEOであるジョン・ハンケ氏は「テクノロジーが間違った方向に進んだディストピア的な未来への警告」であると述べたと報じられている(ケータイWatch)。同氏によれば、「現実世界と仮想世界をテクノロジーによってつなぎ、ユーザーに対してより良い現実の体験を提供すること」を目指すとしている。

 こうした一連の動きは新型コロナウイルス感染症の蔓延拡大で、自由に移動ができなくなった人類のフラストレーションから生まれているのか。また、それを実現するテクノロジーもかつてよりも格段に進歩しているということも当然のことながら寄与しているだろう。こうした技術動向はしばらく続きそうであるとみてよいのではないだろうか。

ニュースソース

  • 「バーチャル秋葉原駅」は仮想Suicaで入場、駅前にはエヴァがそびえ立つ VRイベント出展の詳細明らかに[ITmedia
  • マイクロソフトやFacebookらが目指す「メタバース」を取り巻く様相[CNET Japan
  • NVIDIA、CEOの基調講演を一部CGで生成–制作過程を公開[CNET Japan
  • ナイアンティックCEO、「メタバースはディストピアの悪夢」[ケータイWatch

3. フェイスブックが偽情報2000万件以上を削除、タリバンとみられるアカウントも削除

 フェイスブックと傘下にあるインスタグラムは2021年6月までに、新型コロナウイルス感染症に関する偽情報を含む投稿を2000万件以上削除したと報じられている。フェイスブックによれば、新型コロナウイルスやそのワクチン関連の偽情報を削除する条件として65項目以上の基準を設けているとしている(CNET Japan)。

 また、イスラム原理主義勢力タリバンがアフガニスタンの政権を掌握したという情勢を受け、フェイスブックやグーグル(YouTube)がタリバンとみられるアカウントを削除すると伝えられている(ITmedia)。

 インターネット上の情報の健全性についてはプラットフォーマーの責任において管理されるものであるが、いずれの場合も個別の投稿ごとに削除の判断が難しいところもありそうだ。

ニュースソース

  • Facebook、コロナ偽情報を含む2000万件超の投稿を削除[CNET Japan
  • FacebookやYouTube、タリバンとみられるアカウント削除へ BBCなど報道[ITmedia

4. 2020年度の電子書籍市場は4821億円、28.6%の大幅増加。コミックが4002億円を占める

 株式会社インプレスが電子書籍の市場規模の推計を発表した(INTERNET Watch)。

 それによると2020年度における電子書籍の市場規模は4821億円で、2019年度の3750億円から1071億円(28.6%)の大幅増加になったという。とりわけ、電子書籍市場で83.0%を占めるジャンルがコミックである。2020年度の電子コミックの市場規模は4002億円で、2019年度の2989億円から1013億円の増加。2020年度における電子書籍市場の成長はほとんどがコミックになると分析している。

 昨年からの新型コロナウイルス感染症の蔓延により、オンラインでのコンテンツ消費が活況であるが、出版メディアにおける姿が見えてくる調査結果ということができるだろう。

ニュースソース

  • 2020年度の電子書籍市場は4821億円、28.6%の大幅増加。コミックが4002億円を占める[INTERNET Watch

5. 増加する「セキュリティ関連事案」

 大規模なサイバー攻撃事案が報じられている。製粉大手のニップン(東証一部上場)は8月16日、サイバー攻撃を7月7日に受け、「グループ会社を含むサーバの大半が同時攻撃を受け、バックアップを含む大量のデータが暗号化されて復旧不能に。外部専門家に「前例のない規模」と報告を受けた」と公表した(ITmedia)。

 財務システムも影響を受けたことから、8月5日に発表予定だった2021年4~6月期の決算は約3カ月延期するということもあわせて発表されている。具体的な攻撃手法には言及されていないが、暗号化されたということから、何らかのランサムウェアの可能性もあり、もしそうだとすると暗号化を解除するための「身代金」の要求などがあってもおかしくはない。

 そのほか、クレジットカード会社が銀行などの金融機関を名乗るフィッシングはこれまでもあったが、厚生労働省や通信事業者を名乗るフィッシング詐欺(INTERNET WatchケータイWatch)も巧妙だ。さらに「PCサポート詐欺」(ITmedia)と称する高齢者を狙った強引な手法も報告されていることから、家族としても油断はならない。

ニュースソース

  • 日本の製粉大手に「前例ない」大規模攻撃 大量データ暗号化 起動不能、バックアップもダメで「復旧困難」[ITmedia
  • 「PCサポート詐欺」コロナ禍で拡大 狙われる高齢者……電話かけさせリモート操作、マルウェア仕込む[ITmedia
  • 厚生労働省をかたるフィッシング詐欺、件名「【重要】新しいコロナウイルスの発生の予防と管理」などの不審メールに注意 コロナウイルス関連詐欺に注意[INTERNET Watch
  • 通信事業者騙るフィッシング詐欺が増加傾向、JC3が注意呼びかけ[ケータイWatch