タイにおける新型コロナワクチンの接種は、成人から子どもへの接種へと焦点が移りつつある。一時中止していた学校の対面授業が各地で再開されつつあるためだ。タイの英字紙バンコクポストは、10月28日付の社説でこの問題を採り上げた。
2回接種を終えた生徒は4割
社説によると、タイでは8割の教員が1回目のワクチン接種を終えた。しかし、2回目のワクチン接種まで終えた人は少なく、ある学校では2回まで終えた教師の割合は3割にとどまっているという。また、12歳から17歳までの子どもの対象者350万人についても、 10月22日時点で2回まで接種を終えた子どもは4割にとどまっているという。社説は、「学校が再開されるためには、85%の生徒がワクチン接種を2回終えていなければならない。現状では多くの学校で閉鎖が続くことになる」と、指摘する。
タイ教育省も、学校における新型コロナの感染対策として、さまざまな方法を打ち出している。たとえば「サンドボックス安全地帯」方式が挙げられる。これは、一度に教室に入る生徒の数を制限し、生徒と教師に対して繰り返し新型コロナ感染検査を実施する、というものだ。
しかし社説は、この方式を実行できるのは、一部の私立のインターナショナルスクールだけだろう、という。「多くの学校が感染リスクの高い地域に隣接しており、再開の条件を満たしたとしても学校を再開できない」として、「こうした学校を安全に再開する唯一の方法は、ワクチン接種を加速することだ」と、主張する。
抗原検査も活用して
また社説は、別の手段として「ハイブリッド」方式の検討を提言する。感染リスクの高い地域にある学校では、対面式とオンラインの両方で授業を行い、家庭にいる必要のある生徒はオンラインで授業を受けることを認めるとともに、1教室あたり10人までは対面で授業を受けられるようにする。このシステムでは、登校する生徒はワクチン接種を2回終えているか、新型コロナの抗原検査によって陰性が証明されていることが条件になる。
社説によれば、教育省は以前、すべての生徒に「抗原検査」を義務付けることを検討していたが、延期した。この理由について、社説は「おそらく予算の都合だろう」との見方を示した上で、次のように訴える。
「検査数を増やせば増やすほど、学校に戻ってこられる生徒が増える。教育省は、検査にもっと多くの予算を注ぐべきだ。ワクチン接種を2回済ませた生徒たちが十分な人数に上るまで全生徒を自宅で待機させるよりもいいはずだ」
教育省は各学校に再開の準備が整っているかの判断を任せているという。社説は、「何よりも子どもたちの学習を滞らせないことが教育省の責任だ」と、述べている。
(原文https://www.bangkokpost.com/opinion/opinion/2205359/schools-need-more-jabs)
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