経産省の官僚とヤクザの娘が出会うことで、何かが変わる。
これまた凄いのが出てきた。まさに著者の作品という具合で、司法、メディア、警察を皮肉りながら、世界の裏側を描いていく。その裏側というのが、一般的に違法となるヤクザ側の世界で、麻薬、武器密輸、詐欺と黒い黒い。
特徴的だったのは、作中で描かれていることは違法で黒くてシリアスなのに、登場人物の扱い方や台詞回しがコミカルだということ。だからけして憎めない奴らに仕上がっていて、話の重さを抑えてくれる。
ただ、このコミカルさは単に序章としての話が淡々としているからというのが大きな理由にも見える。官僚とヤクザの娘が出会うのは終盤だし、その間には二人がどのような状況に陥って出会うことになったのかが描かれる。
はっきり言うと、退屈だった。前半は二人の人生に興味から楽しく読めたのだが、後半は出来ればそのまま出会って欲しかった。終盤での出会いに至るまでに、違法な世界を見せてくれるのは面白かったが、それは瞬間的なもので、やればもっとコンパクトに収まったと思ってしまう。
結果、特に痛快、爽快という部分がなく、あくまで序章として終わってしまっている。この辺りは期待と違って残念でした。
ここまで展開を引っ張ったのだから、二巻からは痛快さダークヒーローの格好良さを読みたい。
Presented by Minai.