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最近、斎藤幸平という人に注目しています。
生活クラブの小冊子『生活と自治』1月号に「危機の時代を超えて━新たな社会への希望と協同組合の可能性」という対談が載っていました。

若い経済思想の研究者だそうです。
本『人新世(ひとしんせい)の「資本論」』を読む前にユーチューブで
斎藤幸平さんの発言を探して聞いたりしています。

斎藤幸平「私たちはコロナ後、元の生活に戻ってはならない」 ”人新世”とは何か?

https://dot.asahi.com/wa/2020122500034.html?page=1
2021.1.3 09:02週刊朝日

「人新世(ひとしんせい)」という言葉が注目されている。地球が新たな時代に入ったことを意味するもので、環境危機と人類の文明をとらえ直すなかで広く議論が起きている。関連の著書もある気鋭のマルクス研究者、斎藤幸平・大阪市立大学大学院経済学研究科准教授は、新型コロナウイルスと「人新世」には深い関係があると分析している。その斎藤氏に、「人新世」について解説してもらった。

* * *
「人新世」とは、ノーベル化学賞受賞者のパウル・クルッツェンが提唱した時代区分で、人類の経済活動が世界全体に広がり、その痕跡が地球上のいたるところまで及んだ年代という意味です。

 地質学的にみて、現在の地球は約1万1700年続いた「完新世」の時代。それが新たな年代に突入したのではないかと議論されています。現在の経済活動、すなわち際限なく利潤を追求する資本主義が、それほど地球に大きな影響を与え、環境を破壊しているということです。

 なかでも、「人新世」の時代で地球に大きな影響を与えているのが、人類が大気中に排出している二酸化炭素で、気候変動という人類の存亡にも関わる大きな問題を引き起こしています。

 一方、2020年は、新型コロナウイルスが世界を襲いましたが、これも人新世と無縁ではありません。経済のために森林破壊を続け、人とウイルスの距離が近くなり、人やモノが移動することでパンデミック(世界的な大流行)が起きやすくなった。ただ新型コロナに関しては、ワクチンがパンデミックに終止符を打ち、私たちの生活は、まもなく以前の姿に戻れるのと期待されています。

 けれども、私は、元の生活に戻ってはならないと考えています。気候変動の観点から考えると、大量生産・大量消費・大量廃棄で、二酸化炭素を排出し続ける資本主義への逆戻りは、人類滅亡への道でしかないからです。

 すでに、世界の主要国は50年までに温室効果ガスの排出量をゼロにすると宣言し、日本政府もようやく同じ目標を掲げました。そうしないと、もはや人類文明が存続できないからです。けれども、気候変動の原因である資本主義そのものに挑まなければ、目標達成はできないでしょう。

 こういった話をすると、気候変動問題は科学技術で解決すべきで、そのためには資本主義をもっと発展させるべきだと主張する人がいます。この「緑の資本主義」の考え方は経済成長を加速させるわけですが、経済の規模が拡張を続ければ、二酸化炭素排出量は増加し、気候危機は止まりません。 

 日本はこれまで、先進国として大量に二酸化炭素を排出する生活を続けてきました。だからこそ、日本は世界に先駆けて“脱炭素・脱資本主義社会”を実現しなければなりません。新年となる21年は、地球規模の危機に立ち向かうことが求められています。

>>後編:内田樹×斎藤幸平「『人新世』の人類滅亡危機にマルクス経済学が必要になる理由」に続く

(構成/本誌・西岡千史)

※週刊朝日 2021年1月1・8日号掲載記事に加筆

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