薬局薬剤師になったけど、いまいち勉強できない。
適当に本を買ったりしているけど、何が良いのかな。
私は薬局薬剤師になってから8年目です。新人の頃に勉強しておけば良かったことを書いていきます。
薬局薬剤師で管理薬剤師のなおどらです。
薬剤師になるまで勉強に時間がかかるほうでした。
私は要領が悪いです。
人生かけ続けて勉強して、薬剤師国家試験には現役で合格しました。
卒業して薬局に就職してからも勉強を続けています。
今回の内容は
やっと薬剤師になったし、資格があればいつまでもやっていけるっしょ。
薬剤師ってなってからも勉強がいるの?
今年に卒業したばかりで、勉強ってなにをしたらいいの?
そんな人に向けた内容です。
新人社会人としての勉強もしますが、今回は新人薬剤師向けです。
結論としては
ベテラン薬剤師となっても何を勉強していいかわからず、苦しんでいる人がたくさんいます。
なぜ、薬剤師になっても勉強する必要があるのか。
薬剤師は勉強を生涯に渡って勉強する必要があります。
理由は、薬剤師免許を剥奪されることを防ぐため
患者に重大な薬害を発生させないため
です。
勉強をするときは必ずその話をします。
もちろん、倫理的な話も行います。
しかし、私はまず、自分自身に起きてしまうといけないことや患者の体のことを伝えています。
管理薬剤師になってから、中途薬剤師の方の指導を行う機会が多いです。
そのときに通常の業務ができるかを確認するために質問や問題を出します。
例えば、
- 調剤薬局として働くため、保険請求の流れや保険の意味や医療安全の確認。
- 薬歴の書き方SOAP。特に個別指導でも問題ない書き方を重点的に確認。
- ハイリスク薬の特別な指導はどのような内容が必要かを確認。
上記の内容を始めに確認します。
そうすると、私の指導した薬剤師のすべての人が答えることができません。
指導の内容は難しいものもありますが、8割も答えることができません。
これではいつか大きな医療事故を起こすことになります。
これは言い換えると、
「薬の適正使用を伝えることができない」
ことと等しいです。
医療訴訟の事件数自体は少しづつ減っています
平成28年では大体800件前後で医療裁判が行われています。
この対象とならないためにも、常日頃勉強が必要です。
解説していきます。
私の指導の客観的に伝えられる部分は資料を渡して解説もしています。
1,保険の知識と医療安全にかかる法的知識を勉強すること。
保険の知識と法的知識を理解することが自身の身を守ることです。
保険知識がなければ⇨保険処方箋1枚に対して適正に金額の徴収ができません。
例えば、
処方箋1枚につき、自己負担が3割負担の場合は7割が保険請求した上薬局の売上となります。
この保険請求が適正でなければ、少なく徴収することになります。
多めに徴収した場合でも、後述する個別指導で返還を求められます。
通常の保険の勉強以外にも公費や福祉の勉強が必要です。
公費負担医療
公費負担医療とは、医療費の全額もしくは大部分を公的管理された基金が負担する医療制度。
引用:Wikipedia
福祉医療公費負担制度
福祉医療公費負担制度は,重度の障害をお持ちの方や乳幼児などに対して,保健の向上や福祉の増進を図ることを目的として,医療費の一部を助成する制度
引用:広島県健康福祉局
年齢や症状に応じて適正に制度を利用できるように患者すべて説明をしなければなりません。
医療安全にかかる法的知識がなければ、行政処分で免許剥奪されます
例えば、薬剤師による調剤過誤が発生した場合、問題となる責任の種類は
- 「法的責任」
- 「それ以外の責任」
に分けられます。
「法的責任」とは、
- 「民事責任」
- 「刑事責任」
- 「行政上の責任」
に分けられます。
「それ以外の責任」とは、「社会的責任」ともいわれます。
この中の行政上の責任により薬剤師免許の取り消しを行うことができます。
医師、薬剤師等の免許を取得している医療従事者が医療事故を起こした場合等、「行政上の責任」を問われることがある。薬剤師について言えば、厚生労働大臣は、罰金以上の刑に処せられた薬剤師等に対して、薬剤師法第8条に基づき免許の取消し、3 年以内の業務の停止あるいは戒告という行政処分をすることができる。
引用:医療安全にかかる法的知識の基礎(第2版)
行政上の責任で処罰を受けた場合、薬剤師としての業務ができないようになります。
これら適正な知識を理解した上で業務に臨む必要があります。
勉強するためのおすすめの本はこちらです。
2,適切な薬歴の書き方を指導。証拠として残す。
患者への薬の説明は薬剤師の義務です。
そのためには薬歴でどのように説明をしたかがわかるようにしなければなりません。
平成 25 年 12 月 5 日に可決・成立した「薬事法及び薬剤師法の一部を改正する法律案」において、薬剤師法第 25 条の2の条文が改正されることとなりました。
(情報の提供及び指導)
第 25 条の2 薬剤師は、調剤した薬剤の適正な使用のため、販売又は授与の目的で調剤したときは、患者又は現にその看護に当たっている者に対し、必要な情報を提供し、及び必要な薬学的知見に基づく指導を行わなければならない。
引用:医療安全にかかる法的知識の基礎(第2版)
薬剤師は対物業務⇨対人業務へ移行しています。
患者個別で具体的な指導が要求されています。
薬歴は当時の説明を表す重要な証拠となります。
裁判所で、「言った、言わない」の争いになると、最終的には、証人尋問を行い、どちらのほうが信用できるかの心証で決めることになります。しかし、書面に残っていると、裁判所はその書面を重要視してくれることが多いので重要なことは薬歴などに必ず残す意識が重要です。薬歴に書いてあるのと書いていないのでは、全然印象が違います。実際、副作用を説明していないという案件では、薬歴に書いてあったことで解決できた事案もありました。
引用:薬剤師のための法的知識の基礎
つまり、人と薬のオーダーメイドの薬歴を書くことです。
全部一律して同じ説明はありえないということです。
しかし、新人であればあるほど、
副作用について説明していなかったり、
薬の効果の説明をしていなかったり、
医師の判断ですといってしまったり、
説明不足もありますが、説明していても薬歴に記載をしていないことが多いです。
そのためにSOAPです。
簡単に問題点を説明することができ、項目から次回の注意点などを次の薬剤師にも理解しやすい薬歴を残すことができます。
さらに説明不足の部分も一目瞭然です。
3,ハイリスク薬の服薬指導の内容を理解し、優先的に覚えてもらう。
ハイリスク薬(特に安全管理が必要な医薬品)とは「薬局におけるハイリスク薬の薬学的管理指導に関する業務ガイドライン」(第2版)について に定められています。
詳細については、直接見てもらったほうが良いと思います。
ここで文章で書くと、ものすごい量です。
⇩を読んでください。
薬局におけるハイリスク薬の薬学的管理指導に関する業務ガイドライン(第2版)
ハイリスク薬は簡単に話すと、患者にとって重要な薬であり、副作用が出やすい薬です。
そのため、薬剤師だけでなく患者自身も薬に対して理解することが大事です。
さらに患者が理解不足だと医療事故も起こしやすい薬です。
きちんと勉強して説明できることが大事です。
知識は古くなります。
常日頃から知識をアップデートしましょう。
素晴らしい文章がありました。
ここで注意してほしいのが、最善の注意義務は患者に対して負っているもので、医師など他の医療従事者に対してではない点です。だから、基本的に裁判になったとき、「医師がこう指示しました」だけでは通りません。
引用:薬剤師のための法的知識の基礎
すべての薬剤師は知識をアップデートし続けましょう
薬剤師業務だけでなく、医師、看護師など医療従事者は常に医療裁判から離れることはできません。
対人業務の内容がどんどん強化されています。
その中で薬はどんどん発売されています。
新しい薬は新しい治療薬として活躍します。
しかし、その裏で珍しい副作用や飲み合わせなども常に覚えていなければなりません。
勉強を一度でも止めてしまうと、あっという間においていかれます。
まずは今回の3点を重点的に勉強しましょう。
意外と忘れていたり、知らないこともあるかもしれません。
私の勉強方法はタブレットを用いています。
以上!おわり!
「薬局におけるハイリスク薬の薬学的管理指導に関する業務ガイドライン」(第2版)について
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