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小堀龍之

 ミャンマー産の約1億年前(白亜紀後期)の琥珀(こはく)から、恐竜時代の小さなカニの化石が見つかった。現在と同じ姿をしたカニの祖先としては最も古いという。研究チームは「カニの進化の謎で重要な空白を埋める存在だ」としている。米国や中国などの研究チームが米科学誌サイエンス・アドバンシズに発表した。

 琥珀は粘り気がある樹液が固まった宝石で、閉じ込められた古代の生き物をタイムカプセルのように保存することがある。現代のカニと同じように当時から木に登る種がいて、琥珀にとじこめられたとみられる。

 カニが見つかったのは恐竜がいた白亜紀の約1億~約9900万年前の地層から出た琥珀だ。甲羅の幅が2ミリ、脚の長さが5ミリと小さなカニが入っていた。幼体なのか成体なのかはわかっていない。顕微鏡などで調べたところ、えらや複眼などもきれいに残っていた。

 チームによれば、今回の発見は、カニが海以外の環境に進出したことを示す最も古い証拠となる。これまでは化石の記録から、海にいたカニが陸地や淡水域に現れたのは、7500万~5千万年前と、ずっと後の時代になってからと考えられていたという。

 学名は白亜紀や水の精霊、不死を意味する言葉から「クレタプサラ・アタナタ(Cretapsara athanata)」とつけられた。カニの化石ははさみや甲羅など一部しか見つからないことも多く、チームは「これまでに発見された中で最も完全なカニの化石でもある」としている。

 論文は科学誌のウェブサイト(https://science.org/doi/10.1126/sciadv.abj5689別ウインドウで開きます)に発表された。(小堀龍之)

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