ジャーナリスト伊藤詩織さん(32)が、元TBS記者山口敬之氏(55)から性暴力を受けたとして、1100万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審の第1回口頭弁論が21日、東京高裁であった。伊藤さんと山口氏本人がそれぞれ法廷で意見陳述を行い、審理を終えた。判決は2022年1月25日に言い渡される。(望月衣塑子)
一審の東京地裁は「
意見陳述で伊藤さんは「警察に届けた段階で、刑事司法の裁きを望んだが、逮捕は直前で取り消されかなわなかった。刑事司法の不透明な対応に左右され性被害が、なかったことにされるのに危機感を抱き、顔と名前を出して発信を決断した」と心境を明かした。
その上で「裁判はとても苦しかった。被害と向き合い続けたこと、ネットの2次加害だけでなく、裁判の内外で山口氏側が反論を超えた中傷、2次加害の扇動を続け、身の回りを詮索・邪推され事実でないことを発信され続けた」と批判した。
最後に「被害届を出そうとした私に捜査員が『人生が水の泡になるからやめなさい』と言った。どんな事件でも『被害者側に沈黙させる方が、被害者のために良いのだ』とされる社会の元では、今後も誰かを長期間苦しめる。被害者が司法で守られ、勝手なステレオタイプで誰かをおとしめるような事がおきないことを願う」と、時折涙で声を詰まらせながら訴えた。
一方、山口氏も意見陳述に立ち「伊藤さんは、すし屋に行ってから翌朝まで記憶がないと言っており、記憶がないことは証明できないが、その前後は明らかな矛盾だ。自ら飲みすぎて悪酔いし、記憶を亡くした酔っぱらいなのに『デートレイプドラッグをもられた』と、自分は怪しげな薬を盛る卑劣な人間にされた。人生1度もそんなことをしたことはなく、薬の存在も初めて知った。薬を盛ったというのなら証拠を示してほしい、示せなかったら誤りを認めてください」と主張した。
さらに「ありもしない事実を振りまき、私はあなたのうそに社会的に殺された。高裁では、真実に目を向けて頂きたい」と訴えた。
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