「養生してください」という言葉は、病気やけがをした人に対して、お見舞いの気持ちを表すときに相手を労わる言葉です。使われる機会がなかなかないですが、実際に「養生してください」と言われた時は、相手の気遣いに対して、失礼に当たらない気持ちのこもった返事をすることが大切です。ここでは「養生してください」の使い方や、返事の仕方について紹介していきます。
【目次】
・「養生してください」の意味は?
・「養生してください」の使い方
・目上の方に使うときの表現は?
・これで大丈夫!「養生してください」への返事
・「養生してください」の類語・言い換えは?
・最後に
「養生してください」の意味は?
皆さんは、「養生してください」という言葉を使ったことはありますか? あまり耳慣れない言葉かもしれませんね。今回は「養生してください」の意味や、使い方などを例文を用いながら紹介します! また、逆に「養生してください」と言われた時の返答の仕方についても紹介します。もしもの場面で困ることのないように、頭の片隅に入れておくと役に立つことがあるかもしれません。
「養生してください」の意味
まずは、「養生」の意味から説明します。「養生」とは、「生命を養ったり、健康を維持したりすること」「病気を治癒すること、手当てすること」です。
つまり「養生してください」は、病気やけがをした人に対して、お見舞いの気持ちを表すときに使います。また、回復に専念してほしいという気持ちを込めて使うこともあります。どちらにしても、相手を気遣って使う言い回しということです。
目上の方には使える?
「養生してください」は、目上の方にも使うことが出来ます。しかし、使い方に注意しなくてはなりません。
「養生してください」は相手を気遣って使う言葉ですが、「ください」という言葉が一方的に命令する意味の丁寧語なので、「養生してください」をそのままでは使わない方が良いです。
ですので、目上の方に使う際は、「ご養生ください」と言い換えるのがおすすめ。「ご養生」とすることで相手への尊敬の気持ちを込めることが出来ますし、「ください」であれば丁寧な命令形なので、失礼にはあたりません。
同様に、「養生なさってください」という言葉も、目上の方に使える表現です。「してください」では、一方的な命令形の形をとってしまってふさわしくないので、「する」の尊敬語を用います。
「養生なさってください」という言葉を使うときの注意点としては、「ご養生」としないことです。「養生」の尊敬語である「ご養生」と、「する」の尊敬語である「なさる」を同時に使うと、二重敬語となり、くどい印象や、「とりあえず丁寧にしておけばいい」という印象を相手に与えてしまいます。
「養生してください」の使い方
なかなか使わない表現なので、どのようにして使うのが正しいのか、悩む方も多いかと思います。例文を紹介するので、参考にしてみてください。
1:「くれぐれも養生してください」
この使い方は、「病気やけがを治すことに専念してください」という気持ちを込めた使い方です。丁寧な表現で相手を気遣う言い回しなので、こういった言葉を交わすことで、今後のコミュニケーションも良好に行うことができるでしょう。
2:「何も考えずに養生してください」
怪我や病気を患ってしまうと、今後への不安だったり、気持ちが落ち込んでしまいがちになり、ネガティブなことをぐるぐる考えてしまいませんか? そんなナーバスになっている相手に向けて使うことのできる言い回しです。「何よりもまずは、回復に専念してください。心配しないでくださいね」という気持ちを伝えることができるため、相手を励ましたり、安心させたりすることが出来ます。
3:「退院おめでとうございます。しばらくは無理なさらず、養生してください」
回復したばかりのときに無理をすると、ぶり返してしまったり、かえって悪化してしまったりすることもあります。
「病み上がりに無理をして、また体調を崩したり怪我をしたりしないように、お大事にしてください」という労わりのメッセージを込めて使う表現です。
目上の方に使うときの表現は?
先に取り上げた3つの例は、一般的な使い方の例でした。続いては、注意が必要な目上の方に対する使い方を紹介します。
1:「一同心配しておりますので、ご養生ください」
この例文は、目上の方に使う際の注意点として取り上げた「ご養生ください」の使い方です。意味合いは、今までに紹介した例文同様、「ご自身の身体を第一に、病気や怪我を治すことに専念してください」になります。
2:「たまには仕事のことを忘れて、養生なさってください」
使う相手が目上の方の場合には、「養生してください」という丁寧語ではなく、「養生なさってください」という表現を使うようにしましょう。
「養生」の意味には、病気や怪我の回復だけでなく、声明を養うという意味もあるため、「リフレッシュしてください」「気分転換して、体だけでなく精神的にも元気になってください」というニュアンスを含めることが出来ます。
3:「十分に養生されてください」
「養生されてください」という言い回しも、目上の方に使うことが出来ます。「される」は「する」の尊敬を込めてお願いするという意味を持つ言い方です。
「養生されてください」と言うことで、「どうか回復に努めてください」という気持ちを込めることが出来ます。
これで大丈夫!「養生してください」への返事
「養生してください」と言われる機会は、なかなかないかもしれません。だからこそ、実際に言われた時はきちんと返したいですよね。
「養生してください」と言われた時に、失礼に当たらない、気持ちのこもった返事の仕方を紹介します。
1:「お気遣いいただき、ありがとうございます」
「養生してください」は、相手の体調を慮ったいたわりの言葉です。ですので、「ありがとう」という感謝の気持ちを表現するといいでしょう。
「ありがとうございます」だけでも良いのですが、「お気遣いいただき」を付け加えることで、より丁寧な印象になります。
2:「ご迷惑をおかけします。早く復帰できるよう養生に専念いたします」
仕事等で迷惑をかけてしまっている場合には、「ご迷惑をおかけします」と返答すると、申し訳なさを表現することが出来ます。そして「養生いたします」と伝えることで、「早く復帰できるように頑張ります」というニュアンスを相手へ伝えることも出来るため、上司の方への返事としておすすめです。
3:「ご心配をおかけして申し訳ありません。養生いたします」
心配をかけてしまっていることに対して謝罪するとともに、早く治せるように、回復に専念しますという気持ちを伝える時に使える表現です。
「養生してください」の類語・言い換えは?
「養生してください」は、丁寧でビジネスシーンにおいても使える表現ですが、少し硬い印象がありませんか? 日常的にも使える表現もあわせて紹介します!
1:お大事にしてください
「自身の身体を大事にして、早く元気になってください」というニュアンスを込めて使います。顔見知りやご近所の人にも使いやすい表現ですし、友達にも使えるナチュラルな表現です。
2:ご静養なさってください
病気や怪我の症状が重い人に対して使う表現になります。「静養」とは、「心身ともに、ゆっくり休む、労わる」という意味があります。「ご静養ください」ということで、相手の心身を労わり、お見舞いのニュアンスを強める言い方です。
3:お労わりください
「労わる」は、<いたわる>と読みます。「労わる」は、「養生」と同じ意味で使うことの出来る言葉です。目上の方にも、親しい間柄の人にも使うことが出来ます。
最後に
病気や怪我の辛さや、精神的に不安定になっているときの気持ちは、当人しか分かりません。だからこそ、気にかけてもらったときの言葉は身に沁みます。
「養生してください」は、そういった相手を労わる、元気づけることの出来る言葉です。忘れずに大切にしていきたい言葉ですね。
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