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2020年5月、Pixelは1つの時代の終わりを迎えた。Googleのチームは、変革的な未来に向けて前進する一方で、何人かの重要なプレイヤーを失った。それは当然のことだ。Pixelは決して悪いスマートフォンではなく、(長年にわたって苦戦を強いられてきたが)むしろ目立たないスマートフォンだった。しかし、悪いフラッグシップスマートフォンの購入が難しい時代に「なかなか良い」という評価は十分でなものではない。

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世界のAppleやSamsungとの差別化を図ろうとするGoogleの試みは、ほとんど失敗に終わっている。廉価版のAシリーズではそれなりの成功を収めているが、プレミアムメーカーと真っ向勝負するという夢は、今のところ実現できていない。2020年のPixel 5は、製品ラインの刷新に時間がかかるため、ファンが期待していたようなものではなかった。

画像クレジット:Brian Heater

しかし、先に開催されたバーチャルハードウェアイベントにおいて、Googleはついに「手に取って、もう一度やり直す」ことの意味を私たちに示してくれた。Pixel 6は、さまざまな意味においてGoogleのフラッグシップデバイスの歴史の中で最もラジカルな出発点であり、SamsungやAppleに対抗する同社にとって最も真剣な試みでもある。

Googleは2021年8月に、Pixel 6を初披露したが、それは発表までにまだ3カ月半ほどもあるデバイスとしてはおどろくほど完全なものだった。

ハードウェア部門の責任者であるRick Osterlo(リック・オスターロー)氏は、主にチップや設計、そしてGoogleが自社でチップ「Tensor」を開発し、Qualcommへの依存から脱却しようとしている最新の企業になったという事実について語った。

「AIは当社のイノベーション活動の未来を担うものですが、問題は、当社のミッションを完全に遂行することを妨げるコンピューティングの限界に突き当たっていることです。そこで私たちは、最も革新的なAIと機械学習(ML)をPixelユーザーに提供できるよう、モバイル向けのテクノロジープラットフォームの構築に着手しました。私たちは、Pixel 6を動かすために、独自のSystem on a Chip(SoC)の開発を始め、数年後の現在、それはもうすぐ実現します」とオスターロー氏はいう。

画像クレジット:Google(画像修正済み)

そして、Google TensorはPixel 6と6 Proに搭載されている。私は後者を手にしているが(レビューは近日中)、Pixelシリーズが根本的に新しい方向性にあることがわかる。Googleはこの新しいデバイスで明らかにプレミアムな方向に進んでおり、これまでのどのPixelよりもSamsungなどのデバイスと共通したDNAを持っている。

Pixel 6は、6.4インチのFHD+有機ELディスプレイを搭載しており、その画素数は411ppi。Proでは、6.7インチのQHD+、512ppiにアップしている。これらのディスプレイのリフレッシュレートは、それぞれ90Hzと120Hzで、エッジ部分がカーブしたGorilla Glass Victusカバーで保護されている。

画像クレジット:Brian Heater

一方、背面はGorilla Glass 6で覆われており、上部3分の1には大きくて特徴的なカメラバーがある。ケースに入れていない場合(上の写真)、カメラバーが斜めになっているため完全ではないが、同じ高さになっている。これは、Pixelがポップなカラーの電源ボタンを廃したことで、デバイスにもう少し色味を加えようとするためのものだ。ハードウェアとしてのカメラにフォーカスしたこと事態、Googleにとって新たな試みだ。これまで同社はコンピュテーショナルフォトグラフィーに対して非常に力を入れており、ハードウェアはほとんど問題ではないと考えてきた。将来的には、AIやMLが写真撮影において大きな部分を担うといった説得力のある議論ができるようになるかもしれない。しかし現在のところ、カメラのハードウェアが重要であることには変わりがない。

新Pixelに搭載されているカメラを見てみよう。Pixel 6では50メガピクセルの広角カメラと12メガピクセルのウルトラワイドカメラ、6 Proではそれら2つのカメラとさらに48メガピクセルの望遠カメラを搭載している。望遠カメラは、光学4倍ズーム、または最大20倍の超解像ズームにも対応しているが、コンピュテーショナルフォトグラフィーを使用しても、かなり早く性能は劣化する。一方、前面カメラは、Pixel 6が8メガピクセル、6 Proが11.1メガピクセルで、視野角はそれぞれ84°と94°だ。

画像クレジット:Brian Heater

カメラ機能の詳細については、いくつかの記事で紹介しているが、ここでは両モデルでできることをリストアップする。

  • 消しゴムマジック
  • モーションモード
  • リアルトーン
  • 顔のぼかし解除
  • パノラマ
  • 手動によるホワイトバランス調整
  • ロックされたフォルダ
  • 夜景モード
  • トップショット
  • ポートレートモード
  • ポートレートライト
  • 超解像ズーム
  • モーションオートフォーカス
  • よく撮影する人
  • デュアル露出補正
  • Live HDR+

最も興味深い新機能は「リアルトーン」「モーションモード」「消しゴムマジック」「顔のぼかし解除」だ。最後の「顔のぼかし解除」はその名称のとおり、撮影後に被写体の顔をシャープにする。「モーションモード」は「ポートレートモード」と同様に、動いている被写体にモーションブラーをかける。「消しゴムマジック」は、Photoshopのようなツールを使って写真の背景から不要な被写体を取り除き、その隙間をAIが埋めてくれる。一方「リアルトーン」は、これまでのスマートフォンにはあまりなかった、肌の色に関係なく、被写体をよりきれいに撮影するための機能だ。

画像クレジット:Brian Heater

Pixel 6と6 Proには、ディスプレイ内に設置された迅速な指紋認証リーダーと、Pixelデバイスに期待されるあらゆる種類のファーストパーティソフトウェアが搭載されている。その中には「Live Translate」「Recorder」Androidの新機能である「Material You」が含まれている。Material Youは、壁紙やアプリに一貫した美しさを与えるものだ。前回のI/Oでは、この機能を次のように説明してた。

Material Youは、デザインに対してより人間的なアプローチを探求しています。デザインの感性と個人の好みとの間の緊張感を大切にし、感情から逃げないものです。アプリケーションの機能的な基盤を損なうことなく、Material Youは、あらゆるスタイルに対応した個性的なデザイン、あらゆるニーズに対応し、アクセシブルなデザイン、あらゆるスクリーンに対応する生き生きとしたデザインを目指しています。

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また、新機能の「Calling Assistance」は、Duplexと同様に、人間とロボットオペレーター間のやり取りを容易にするために設計されている。本機能では、日にちと時間に基づいて、フリーダイヤルの待ち時間を予測して表示する。一方「Direct My Call」は、Googleの文字起こし機能を利用して、ダイヤルパッドに直接入力される音声メニューをテキストで表示する。一方「Hold For Me」は、通話を待ち人間が電話に出たときに通知する機能だ。

また「Assistant Voice」の入力も改善されている。「ねぇ Google、タイプ」というと、アシスタントがテキストを入力してくれる。「Stop」すると機能がオフになり「Send」するとメッセージが送信される。難しい単語を1文字ずつ入力したり、絵文字を入力したりすることもできる。

画像クレジット:Brian Heater

Googleは、従来モデルで発生していたバッテリー問題の一部に対処している。Pixel 6と6 Proには、それぞれ4614mAhと5003mAhのバッテリーが搭載されており、Pixel 5の4080mAhから大幅に増加している(Pixel 4からも大幅に増加)。Googleによると、約24時間の使用が可能で、Extreme Battery Saverモードにするとほぼ約2倍になるとのこと。また、別売のGoogle 30W USB-C Chargerを使ったオンボードの急速充電では、30分間で半分の充電が可能。また、両モデルともQiによるワイヤレス充電にも対応している。

画像クレジット:Brian Heater

Pixel 6は、8GBのRAMと128または256GBのストレージを搭載し、Proは12GBのRAMと128、256GBのストレージを搭載している。Googleはそれでも価格を低く抑えることに成功しており、Pixel 6は599ドル〜(日本では税込7万4800円〜)、Pixel 6 Proは899ドル〜(税込11万6600円〜)となっている。現在、予約注文を受け付けており、10月28日に発売される。

画像クレジット:Brian Heater

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(文:Brian Heater、翻訳:Katsuyuki Yasui)