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c22f6a4d.jpg 早いもので10月も下旬となりました.今回は,そろそろ収穫シーズンを迎えるキウイフルーツ果実の成分や栄養について紹介をいたします.
 キウイフルーツには多くの品種・系統があり,それぞれ果実成分が異なりますが,ここでは一般に市販されている緑色果肉品種であるヘイワード種ならびに黄色果肉品種であるゴールドキウイ(ホート16A種)の果実について,種々の成分値を表に示します.

 以下にそれぞれの成分に関する簡単な説明をいたしますが,ここでは最も一般的なグリーンキウイ(ヘイワード種)を単にキウイフルーツと記すこととします.

ビタミンC(アスコルビン酸)
 キウイフルーツの栄養を考えるときには,忘れてはならない成分です.中型のキウイフルーツ1個で50 mg以上のビタミンCが補給できますので,2個食べれば1日の推奨量を摂取することができる計算となります.
 ビタミンCは,生体内でのコラーゲン合成を促進し,骨,筋肉,血管,皮膚などの組織を健康に保ちます.また,抗酸化作用をもちますので,心血管疾患やがんなどに対する予防効果も期待できます.そのほかにも,脂肪酸代謝に必須なカルニチン合成を促進したり,消化管での鉄の吸収を高める作用も有しています.
ゴールドキウイ果実は,普通のキウイフルーツの1.5倍程度のビタミンCを含んでおり,さらに優れたビタミンC供給源となります.

食物繊維
 キウイフルーツは,100g当たり2.5gの食物繊維を含みます.これは,りんごやセロリの1.5倍以上に相当し,また,食物繊維が豊富とされるさつまいもよりも,やや高い値です.そのため,便秘改善効果が期待されます.キウイフルーツでは,食物繊維の中でも特に便秘改善効果に優れるとされる水溶性繊維が豊富です.

カロテノイド
 キウイフルーツには,β-カロテンやルテインなどのカロテノイド色素も含まれています. 特にルテインの含有量は,フルーツの中ではトップクラスです.
 これらの色素は,強い抗酸化作用をもっていますので,各種疾患に対する予防効果が期待されます.特にルテインの摂取は,急激な視力低下を伴う加齢黄斑変性症に対する予防効果を示すと考えられています.また,β-カロテンは,生体内でビタミンAに変換されるため,眼や皮膚の健康を保つために役立ちます.
 意外なことに,ゴールドキウイ果実に含まれるカロテノイド量は普通のキウイフルーツより少なく,特にルテイン含量は半分以下にとどまります.

アクチニジン(アクチニダイン)
 キウイフルーツ果実には,タンパク質分解酵素であるアクチニジンが豊富に含まれています.アクチニジンは,pH 3程度の強い酸性条件下でも,食肉タンパク質や乳タンパク質などを活発に分解しますので,キウイフルーツを食べることによって,消化促進効果が期待されます.
 一方,ゴールドキウイ果実にはアクチニジンがほとんど含まれていないため,消化促進効果は期待できません.

その他
 上記以外にもキウイフルーツには,フルクトース(果糖)クエン酸も豊富に含まれていますので,素早いエネルギー補給や疲労回復にも効果があるといわれています.また,キウイフルーツには,成熟したフルーツとしては珍しくクロロフィルが含まれています.そのため果肉は,フルーツとしては特異な緑色を呈しますので,デザート類の彩りとして重宝です(写真2参照).
 その他,キウイフルーツには有機酸の一種であるキナ酸や,ビタミンB群の一種であるミオイノシトールが非常に豊富に含まれています.現在のところ,これらの機能性については明らかになっていませんが,今後の研究が期待されます.

 キウイフルーツは,比較的安価で日持ちも良く,上記のように種々の機能性成分を含む優れたフルーツです.上手に利用してください.ただし,数百人に一人の割合で食物アレルギーを発症することが報告されていますので,この点はご注意ください.