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 19日午後5時ごろ、北海道中標津町の中標津警察署標津駐在所前で、外国人が立っているのを不審に思った町内の男性(70)が話しかけると「パスポートを持っていない」などと答えたため、同署に通報した。男性が毎日新聞の取材に通報の経緯を証言した。この外国人は男性で自らをロシア人と名乗り「国後島から泳いで渡ってきた」と話していたという。ただ、眼鏡をかけ、服はぬれていなかった。

ロシア人男性「国後島から泳いできた」 亡命を希望 北海道に上陸

 道警はロシア人から事情を聴き、札幌出入国在留管理局に身柄を移送した。捜査関係者によると、ロシア人は「亡命目的」と話しているという。ただ、関係者は「本当に亡命なのか疑問」と取材に語った。今後、入管当局が詳しい経緯を調べ、「一時庇護(ひご)」により上陸を許可するか、本国へ送還するかを判断する見通し。

 証言によると、男性は駐在所の前に立っているロシア人に気付き「何か聞きたそうなそぶりで、観光客が宿でも探しているのか」と思い、英語で「英語を話せますか」と尋ねると「ロシア」と答えたという。さらに、片言の日本語で「パスポートない」「クナシリ(国後)」「泳いで」などと話したことから、男性は「まずい」事案と直感。駐在所が不在だったため中標津署に通報した。

 男性によれば、ロシア人は30歳前後とみられるという。つばのある帽子をかぶり、金縁の眼鏡をかけ、不織布の白いマスクを着用。上下はスポーツウエア姿でスニーカーをはき、小さなリュックサックをかつぎ、肩からひもでつるした小袋を持っていた。

 男性は「泳いで来たという割に服はぬれていないし、汚れてもいなかった。着替えたのかもしれない」と話した。【本間浩昭】