米ファイザー社製の新型コロナウイルスワクチンについて、大阪市が2021年10月上旬で「一旦終了」すると医療機関にあてた通知文がツイッターに投稿され、関心を集めている。
もしそうだとすれば、9月中にも接種すべきなのだろうか。ワクチンの状況について、市や厚労省に話を聞いた。
「安定供給だと思い込んで、どんどん接種の予約を入れると困ることになる」
「ファイザー社製ワクチンの供給終了について」。こう題した9月17日付通知文は、医療関係者とみられる複数のツイッターユーザーが20日ごろにその写真をアップした。
大阪市新型コロナウイルスワクチン接種推進監から医療機関の長あてになっており、通知文では、国からのワクチン供給について、「接種対象人口の8割が2回目接種に必要な量の配送が完了することから10月上旬を以て一旦終了となる予定です」と告知している。
留意点として、ワクチンの配送は10月で終了し、国からの追加供給がない限り、11月以降の配送はないとして、10月の上限数の範囲内で2回目接種分を確保するよう呼びかけた。また、10月配送のワクチンの消費期限は12月末だとして、計画的な発注を求めた。国から追加供給があったときは、別途お知らせするともしている。
写真投稿者の1人は、9月中に1回目の接種を受けるべきとの意味なのではないかと推測した。ワクチンの予約が段々と難しくなって10月には接種できる医療機関が減り、自治体によっては早く終了するところが出てきそうだとも指摘した。
個別接種で多く使われているファイザー社製ワクチンが、もうすぐ打てなくなるというのは、本当なのだろうか。
通知文について、大阪市保健所の感染症対策課は9月21日、J-CASTニュースの取材に次のように説明した。
「10月の最終週までワクチン供給がありますが、11月以降の配送について、国から供給見込みが通知されていません。各医療機関が安定供給だと思い込んで、どんどん接種の予約を入れると困ることになります。医療機関に迷惑がかからないようにと、通知文を出しました」
厚労省「もう少し確保されており、足りなければ自治体に配送できる」
10月最終週配送のワクチンは、12月末が使用期限のため、3週間前の12月上旬に1回目を済ませれば間に合う計算にはなる。しかし、医療機関によっては、10月最終週に1回目を打たないと間に合わないケースも出て来るかもしれないとした。
これは、国の供給体制に関わることから、大阪市だけのことではなく、全国の各自治体も同じ状況ではないかとしている。
コロナワクチンには他に、モデルナ製とアストラゼネカ製がある。大阪市の場合、ともに集団接種を11月まで行っており、モデルナについては、すでに満員だという。アストラゼネカは、予約が空いているが、12月以降は見通しが立っていない状況だ。
市の保健所では、「ワクチンを受けたいのであれば、なるべく早く接種の予約をしてほしい」と呼びかけている。
厚労省の予防接種室は9月21日、取材に対し、ファイザー製ワクチンの供給について次のように説明した。
「これまで10月4日の週までの供給を発表していますが、これから10月までに2000万回分が輸入される予定です。打ち止めではなく、もう少し確保されており、足りないようであれば、各自治体に配送することができます。高齢者の接種は9割ほどで、ワクチンを打たない人もいるため、12歳以上の人口の100%にはなりませんが、9割近くは供給できる見通しです」
大阪市が医療機関に供給終了を通知したことについては、こんな見方を示した。
「厚労省としては、1か月ぐらい前に供給見通しを示しており、今回までの分は8月後半に示しました。自治体の方で、今後の供給が見通せないためお知らせしたのだと思います。ワクチンが足りないというのは地域の実情もあり、地域間で融通するなどして使い切ってほしいと思っています」
国は、早ければ年内にも3回目の接種を実施したいとしている。そのときに1、2回目の接種ができる可能性については、「こうした接種が混ざるとオペレーションが大変になります。ですから、早めに打っていただきたいと思っています」と話している。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)