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12月2日午前5時半すぎ、東京都足立区で歩道を自転車で走行していた男子高校生が、通行人の男性と接触。通行人の男性はぶつかった衝撃で車道に倒れ、2トントラックにはねられて死亡するという痛ましい事故が起こった。

各メディアによると、男子高校生は通学途中で耳にイヤホンを着け無灯火の状態で自転車を運転しており、「前をあまり見ておらず、ブレーキをかけたが間に合わなかった」と話しているという。

このニュースを受け、ネット上では「イヤホン運転」が話題に。「イヤホンをつけての運転は危険だから危ない」という声が多い一方、「イヤホンを付けていること自体が悪いわけではない」との指摘も目立った。実際にイヤホン運転にはどれほどの危険が潜むのだろうか? 今回は、WEB上のアンケートを通じて、イヤホン運転の実態を探った。

■正面から衝突するケースも……

イヤホンをつけて自転車を運転する人に危険な思いをさせられた経験がある人はどれくらいいるのだろうか? 今回の女性自身が実施したアンケート調査では、全回答者のうち37%の人が、イヤホン運転をする自転車に危険を感じたり事故に巻き込まれたことがあると答えた。

寄せられた体験談の中で目立って多かったのは、自転車運転手が歩行者に気づかず正面から衝突しかけるケース。さらに、イヤホンを付けているため注意が聞こえない、接触しても事の重大さに気づいていない、などの声も寄せられた。

前から近づいて来るのに、こちらに全く気づかずぶつかられそうになった。(こちらがギリギリ避けた)(50代・女性)

曲のリズムにのって軽快に自転車を運転しているためか、真正面しか見えていないようで……。すれ違いざまに歩いている私のバッグと買い物袋をこするように無理やり追い抜かれたことがあります(30代・女性)

急に自転車が飛び出してきて、子供がひかれかけた。イヤホンで子供の声に気づかなかったよう(30代・男性)

イヤホン着用で自転車に乗っていた男性が左右確認なしに曲がってきたところ、信号待ちの為自転車で止まっていた私に横から衝突……。勢いで倒れて膝を打撲し、1ヶ月以上痛みが残りました。相手の方は謝罪だけしてすぐその場から逃げるように消えました……。逃げなくてもと残念な気持ちです(40代・女性)

正面からぶつかりそうになりました。そして、イヤホンをつけているから、こちらの抗議や怒りに反応出来ないんですよね。悪びれる様子も無く、ただ「すいません」だけで去っていった。腹が立った(40代・女性)

■事故を起したら車の運転手にも責任が……

歩道を歩いているときだけでなく、車を運転する際に危険な思いをする人も多い。車の走行音やクラクションが聞こえておらず、ドライバーにとってはやっかいな存在のようだ。

車を運転中、自転車の人が車の接近や、クラクションに全く気付かない事がありました(40代・女性)

自転車の後ろを車で走っていたら、いきなり道を横切って反対側へ……急ブレーキを踏みました。轢いたら車を運転している私の責任になるので怖かった。音が聞こえないから、後ろに誰もいないと思ったのかもしれないが、非常識(20代・女性)

車を運転しているとき、イヤホンを付けて自転車を運転していた20代ぐらいの男性が、後ろを一度も見ることなく車道を左から右に横断して轢きそうになった。クラクションを鳴らして反射的に睨んでしまったら、相手側もかなり睨んできた。自分が違反運転をしていることなど全く思ってもいないような態度でイラッとした(30代・女性)

■イヤホン運転経験者のうち、4人に1人が危険な思いをしたことがあると回答

被害の声が切実なイヤホン運転だが、実際にイヤホンを付けて自転車を“運転したことがある”と答えた人は31%だった。そのうち26%がイヤホンを付けての運転中に、危険な思いをしたり、事故を起こしたことがあると回答。注意力が散漫になったり、外部音が聞こえず車や人の接近に気づかなかったりするようだ。どのような状況だったのか見ていこう。

周りの音が聞こえにくく注意力が散漫になり信号無視しかけた(50代・男性)

車のわずかな音が聞けず、目視で確認できない車に気付けなかった(30代・男性)

背後の左折する車の音に気付かず接触しかけた(20代・女性)

イヤホンをつけて音楽を聴いていて車のクラクションの音が聞こえなくてぶつかりかけた(30代・女性)

事故は無いが10年以上前、高校生の頃。イヤホンで音楽を聴きながら自転車に乗っていて、落とし物に気付いたすれ違った人が追いかけて来たことがある。赤の他人だけど息を切らしていて、申し訳なさでその日からイヤホン運転はやめた(20代・女性)

片耳だけでイヤホンしていたのですが、ちょうどしている側の方からくる歩行者の方とぶつかりそうになったことがありました(20代・男性)

イヤホンをつけたまま自転車で横断歩道を渡っている時に、自分の右側から車が来ていることに気づかずはねられたことがあります。幸い自身には大きな怪我はありませんでしたが、自転車のボディーが折れ自身も2メートル先まで飛ばされました。それ以降二度とイヤホンをつけたままの自転車走行はやめています(20代・女性)

まさかのカバンごと落としても気づかなかったってことがあり、イヤホンつけたらあかん! とおもいました(40代・女性)

■片耳だけのイヤホンなら大丈夫?

国が定める道路交通法は、自転車を運転中のイヤホン使用を明確に禁止しているわけではない。都道府県によってはイヤホンに関する規定があるものの、使用自体を禁止しているものは少ない。たとえば、東京都ではイヤホンの使用について以下のように規定している。

《高音でカーラジオ等を聞き、又はイヤホーン等を使用してラジオを聞く等安全な運転に必要な交通に関する音又は声が聞こえないような状態で車両等を運転しないこと。ただし、難聴者が補聴器を使用する場合又は公共目的を遂行する者が当該目的のための指令を受信する場合にイヤホーン等を使用するときは、この限りでない。》(東京都道路交通規則の第8条(5)より)

このように東京都の場合“安全に運転できない音量”で、イヤホン等を利用して音楽などを聴くのは違反となる。しかし、安全に運転できない音量がどれくらいなのかは、明記されていない。

このように、違反となる明確な基準が存在しないことが多いため、片耳だけならば大丈夫、との意見も見られるイヤホン運転。しかし、今回のアンケートには片耳イヤホンでも危ない思いをしたことがあるという経験が寄せられている。

安全のことを考えれば、両耳でも片耳でも、着用しての走行は避けるのが無難だろう。仮にどうしても着用する場合は、自分だけでなく誰かの命をも危険にさらすリスクが上がることを認識し、いつも以上に注意をはらって運転してほしいものだ。