毎日新聞が「非実在児童ポルノ」に関する事実誤認を放置していました。
- 山田太郎による「非実在児童ポルノ」の問題点の解説
- 毎日新聞が「児童ポルノ」の定義に関して事実誤認を放置
- 2018年当時のAFEEからの公開質問状と毎日新聞の回答:再質問を放置
- 実在児童をCG化した児童ポルノとして処罰対象となった裁判例
山田太郎による「非実在児童ポルノ」の問題点の解説
山田太郎議員による「非実在児童ポルノ」の問題点の解説動画。
16分くらいから始まる共産党の政策文言について。
以下で述べたことと同意見です。
なお、児童ポルノ規制法は【児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律】という名称ですが、検索では出てきにくいのでリンクを置いておきます。
毎日新聞が「児童ポルノ」の定義に関して事実誤認を放置
2018年に毎日新聞が「児童ポルノ」の定義に関連してサイバー犯罪条約に対する事実誤認をしていたので公開質問状を送付し、回答も得たが政府の立場とは異なる内容が書かれていました。
それについて再質問しても放置された、と言及しています。
日本政府の認識は平成28年(2016年)に以下示されていました。
参議院議員山田太郎君提出国際約束上の児童ポルノの定義に関する質問に対する答弁書 答弁書第六七号 内閣参質一九〇第六七号 平成二十八年三月八日
三について
お尋ねの「児童ポルノとして制限を課す国際約束上の義務」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、二についてで述べたとおり、児童の売買等に関する児童の権利条約選択議定書に関して、我が国は、およそ実在しない児童を描写した児童ポルノについて、児童の売買等に関する児童の権利条約選択議定書に規定する義務を負うものではない。
また、我が国は、サイバー犯罪条約に関して、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成十一年法律第五十二号。以下「児童ポルノ禁止法」という。)第七条の犯罪に該当する行為以外の行為については、サイバー犯罪条約第九条1d及びe並びに2b及びcの規定を適用しない権利を留保している。児童ポルノ禁止法における「児童ポルノ」の定義については、児童ポルノ禁止法第二条第三項に規定されているところ、先の答弁書(平成二十七年二月十三日内閣参質一八九第一六号)一についてで述べたとおり、およそ実在しない児童を描写したものであれば、この「児童ポルノ」には該当しないと解される。したがって、我が国は、およそ実在しない児童を描写した児童ポルノについて、サイバー犯罪条約に規定する義務を負うものではない。
2018年当時のAFEEからの公開質問状と毎日新聞の回答:再質問を放置
【拡散希望】毎日新聞社会部は「児童ポルノの定義にはマンガ・アニメ・ゲームの実在しない児童の性描写を含む」と正式回答。児ポ法は定義外、条約は日本は部分留保、リオ国際会議は所謂準児童ポルノを巡り国内では大議論、世論は定まってないはず。毎日の回答自体に間違いがあり新聞社として大問題です https://t.co/uGQqeb7KvG
— 山田太郎 ⋈(参議院議員・全国比例) (@yamadataro43) 2018年12月30日
毎日新聞は2014年6月26日社説で「日本製アニメなどの性表現の過激さが海外で強く批判‥日本が世界から信用を失う。業界は本気で自主規制に取り組むべきだ」と偏った言及。同人誌やコミケを取締れという事か?今年社会部は漫画アニメでも児童ポルノに当たるものありと拡大解釈https://t.co/DXSAgPSADe
— 山田太郎 ⋈(参議院議員・全国比例) (@yamadataro43) 2018年12月30日
毎日新聞に対する児童ポルノの定義に関する公開質問 – AFEE エンターテイメント表現の自由の会
毎日新聞からの公開質問状の回答 – AFEE エンターテイメント表現の自由の会
公開質問状とその回答文書はリンク先を見て頂くとして、毎日新聞からの回答は以下。
<回答> ご指摘の通り、児童買春・児童ポルノ禁止法が規制対象として定義する児童ポルノには、実在しない児童を描いたものは含まれません。しかし広義では、児童ポルノという言葉が、実在しない児童を描いたものを指す場合もあると考えています。
たとえば、欧州評議会が発案したサイバー犯罪に関する条約(略称・サイバー犯罪条約)では、児童ポルノを定義した項目の一つに、「性的にあからさまな行為を行う未成年者を表現する写実的影像」との記載があります。この項目は実在しない未成年者も対象にしていると解釈されています。日本は2012年11月に同条約の締約国となり、条約の内容を承認しています。
また、UNICEF(国連児童基金)などが共催した「第3回児童の性的搾取に反対する世界会議」(2008年11月)での成果文書「児童の性的搾取を防止・根絶するためのリオデジャネイロ宣言および行動への呼びかけ」では、「実在しない子どもの性虐待描写物を含む児童ポルノの製造、配布、故意の入手、所持、国境を超えた流布、WEB上でのアクセス、閲覧する行為」を犯罪として定義するよう求めています。
こうした例により、児童ポルノという言葉には、児童買春・児童ポルノ禁止法が規制対象とするもののほか、実在しない児童の性的描写を含むことがあると認識しています。
つまり、毎日新聞は「サイバー犯罪条約について日本が締約国となり内容を承認している」ことを根拠の一つとして、児童ポルノの定義には実在しない児童の性的描写を含むことがあると認識していると回答しています。
確かに最終的な認識の根拠としてUNICEF共催の2018年の成果文書で実在しない子供の性虐待描写物を含むものを定義するよう求めていることも挙げており、その限りでは【見解の問題】にすぎません。
しかし、日本国が条約の内容を承認しているとして、留保している項目についての認識が誤っている。これは【事実の問題】です。
前掲の通り、日本政府はサイバー犯罪条約第九条1d及びe並びに2b及びcの規定を適用しない権利を留保しており、児童ポルノ禁止法では実在児童に関する規制をしていることから、日本政府は「実在しない児童の性的描写」を「児童ポルノ」の定義に含めていませんから、毎日新聞の回答は事実誤認があるわけです。
山田太郎議員の動画では他にも現行法の「児童ポルノ」の定義が児童を虐待から守ることに寄与しない部分があり、また、児童ポルノに該当する可能性のある行為として不適切なものがあるという点も指摘していますが、本稿ではその指摘の紹介に留めます。
実在児童をCG化した児童ポルノとして処罰対象となった裁判例
東京高等裁判所判決 平成29年1月24日 平成28(う)872
>必ずしも,被写体となった児童と全く同一の姿態,ポーズをとらなくても,当該児童を描写したといえる程度に,被写体とそれを基に描いた画像等が同一であると認められる場合には,その児童の権利侵害が生じ得る
判決は「被告人の本件CGの作成方法については,原判決が認定するとおり,一から手描きで描いたものではなく,パソコンのソフトを利用して素材画像をなぞるなどして作成されたものであると認められ,純粋な手描きによる絵画とは異なる」とし、「一般に,写真による複写の場合であっても,現在の技術を前提とすれば,データを容易に加工することが可能であり,他方,手描きによる場合であっても,被写体を忠実に描写することも可能である」ことからすれば,必ずしも,描写の方法いかんによって児童ポルノの製造に当たるか否かを区別する合理的な理由はないとしています。
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