バルミューダがスマホに初参入し、SIMフリーとソフトバンク販路で第1号機「BALMUDA Phone」を投入しました。
日本の新たなプレーヤーからユニークなスマホが登場するのは本当に素晴らしいことで、大いに歓迎したいところです。
売りは約4.9インチディスプレイの小型ボディと、直線なく背面も湾曲のユニークなデザイン、独自のアプリなど。
スナドラ765機なので、SIMフリーで税込104,800円、ソフバンで143,280円というのはスマホの常識から考えるとむちゃくちゃ強気です。言葉を選ばずに言えば、コスパ観点ではあり得ないレベル笑
各社大画面化や薄型化を競い画一化するスマホにおいて、体験を重視する同社製品らしく独自アプリに力を入れ、持ちやすい小型機を志向し、価格も従来のコスパバランスを無視することでむしろ差別化されブランド価値を高めるという狙いは、一見すると同社の勝ちパターンに乗っているようにも思います。
ただ、「BALMUDA Phone」に関して言えば、(ターゲットカスタマーではないかもしれませんが)スマホに詳しい人であればあるほど食指は伸びにくいでしょうし、マスにもヒットする商品にはならないと思います。
私は、モバイル端末でバルミューダが製品を投入して成功する可能性があるカテゴリーは、スマホやタブレットではなくスマートウォッチだと考えています。
その理由を簡単に書いてみます。
スマホがバルミューダに合わないと思う理由
スマホは陳腐化が早く、5年~10年と長く愛用するような商品ではありません。
半年ごとに各社から最新機種が大量に登場し、そのたびにそれがニュースになり、手持ちの端末には型落ち感が出てきます。
平均保有期間は伸びていっているとはいえ、4~5年以上使うのは現実的ではありません。
マーケティング戦略とエコシステムの仕込みが巧みで、一見すると”コスパ競争”に乗っていないように見えるアップルのiPhoneでさえ、Android含めたハイエンド・ミッドハイ・ミッド・ミッドローといった価格セグメントには、エロージョン込みできっちり収めています。
同じ土俵で戦っているのです。
そう見えないとすれば、日本市場が世界の中で例外的にiPhoneシェアが高いことと、同社の巧みなマーケティングが功を奏しているからです。
一方、バルミューダが革新的なプロダクトを投入してきた白物家電など耐久消費財の世界では、それこそ大切に使えば、5年以上愛用することも何ら珍しくはありません。
コスパ観点でも、たとえ価格帯がマス向け商品から外れていても、それが良いものであれば少なくないユーザーが購入し、愛用する土壌があります。生活を豊かにするからです。
バルミューダは、”コト消費”のトレンドを先導し、スペックやコスパよりも、商品を使った体験を重視したプロダクトで成功を収めてきました。
だからBALMUDA Phoneでも、スペックよりも独自アプリ開発を重視したのでしょうが、スマホのアプリは、白物の機能とは少し訳が違います。
メーカー独自アプリが高評価を得ることは非常にまれで、メモアプリならOneNoteやNotionやEvernoteなど、各ジャンルのアプリで専業メーカーや部隊がしのぎを削っています。
端末メーカーがアプリも含めて革新的で最高のものを作ろうとしても、GAFAクラスでようやく勝負できる、というほどに資金と経験が必要になってしまいます。
というわけで、スマホというのは、バルミューダの勝ち筋が応用しにくいカテゴリーです。
バルミューダはスマートウォッチを作った方がいいと思う理由
翻って同じモバイルデバイスであるスマートウォッチは、少し様相が異なっています。
こちらも新機種はいつも出ているとはいえ、スマホほど陳腐化は早くありません。使おうと思えば長く愛用することができます。OSのライフサイクルも緩やかです。
多くの人はスマートウォッチに最新機能などは求めておらず、日時とスケジュールが見られて、通話や通知、メッセージが読めれば十分という人が多いでしょう。
スマートウォッチは、期待される機能が限定的です。
アプリという観点でも、スマホ向けのアプリほど複雑ではなく、斬新なアイデアというものが、そのままシンプルに実現できる環境があります。
一方でいつも身につけているものですし、ディスプレイがあって位置情報も生体情報も利用できることから、応用範囲も広いでしょう。
何よりこれは時計であり、スマホほどの必需性はありません。コスパや機能よりも、デザインやブランドが重要なカテゴリーです。
だからこそ、特徴的なブランドストーリーや、新しい切り口から商品カテゴリーを見直したような商品企画、オシャレなデザインが特徴のバルミューダには合うと思うわけです。バンドなど、アクセサリーの重要性が高いのも。
スマートウォッチの代表的なメーカーを見てみると、アウトドアやワークアウト、フィットネスといったジャンルに元々強かったアメリカのfitbitやGARMIN、専業時計メーカーであるタグ・ホイヤーやカシオ、スマホメーカーであるサムスンやファーウェイなど、出自も様々です。
価格も、3,000円ほどのものから100万円を超えるものまで様々です。
以上より、使用した体験を重視した斬新な企画力、オシャレなデザイン、ブランド力など、バルミューダの強みが発揮できるのは、スマホよりもスマートウォッチだと思うわけです。
今後もバルミューダの商品を楽しみにしています。
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