もっと詳しく

日が暮れるのが早くなった。街灯のない道はさぞかし暗いだろう。特に田舎道は。4歳の頃、父の転勤で東京から栃木県に引っ越した。母は自転車で通える洋装店に勤め先を決め、幼い私を連れて働きに出た。私は母の仕事が終わるまで店の近くで遊び、夕方、母は私を自転車の後ろに乗せ、家路を急いだ。その日は、母が道を間違ったのか、どれだけ自転車をこいでも家に着かなかった。途中、どんどんあたりが暗くなり、やがて墨を流したようにまっ黒な闇になった。おまけに石がゴロゴロしてい 全文
産経新聞 11月22日 05時00分