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産経新聞


 スマートフォンの普及や5G通信システムのエリア拡大など通信の高速化が進む裏側で、旧方式の3Gサービスが来年から段階的に終了していく。3Gが終われば従来型携帯電話(ガラケー)の多くが利用できなくなるが、高齢の利用者の約4分の1が「終了を知らない」と答える調査結果もあるなど不安もくすぶる。携帯電話大手は主に高齢者を対象にしたスマホ教室などで、4Gや5Gに対応した機種への乗り換えを支援しており、20年前に携帯電話に革新をもたらした3Gの終焉(しゅうえん)が近づいている。

 3G終了の影響が最も早く出るのが22年1月に3G用の電波を一部停波するNTTドコモだ。ドコモによると、06年以前に発売した一部の端末で、利用できないエリアが出始めるという。ドコモの3Gが終了するのは26年3月末と先だが、同社は古い端末の利用者は近くの携帯電話ショップで確認するよう呼び掛けている。

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 またKDDI(au)は22年3月末、ソフトバンクは24年1月下旬に3Gを終了する予定。ホームページなどで利用者に注意を呼びかけている。

 しかし3G終了の認知度は十分ではない。調査会社のMMD研究所によると、60〜79歳のガラケー利用者の26.4%が3Gの終了を知らないと回答。「知っている」と答えた利用者も約3割が自分の利用している携帯会社の終了時期を知らなかった。利用者の7割は3Gが終了してガラケーが使えなくなると困ると回答する一方で、4割はスマートフォンへの買い替えは検討していないという。

 このため各社はガラケーからスマホに乗り換えた人向けの料金割引サービスを打ち出し、携帯ショップでスマホの使い方を習う教室を開くなど、混乱回避を図る。ドコモ系のモバイル社会研究所によると、高齢者のスマホ所有は加速しており、60代で8割、70代で6割に達している。

 各社が3G用を終了させるのは、4Gなどの提供を踏まえ、自社の周波数帯を有効利用するためだ。政府も4Gやスマホの普及などを前提に、インターネットで行政サービスの手続きができる電子化を進めており、スマホで介護や補助金の申請、税手続きなどが簡単にできるようになる社会を描く。

 3Gは01年にドコモが世界に先駆けて開始。通信の高速化で送信できる写真の画質が向上し、「写メ」の利用が拡大するなど携帯電話の時代を塗り替えたが、役割を終えたといえる。(高木克聡)