上野千鶴子はよっぽど悔しかったのだろうか。
- 上野千鶴子「武蔵野市住民投票条例案は7割が賛成」
- 「7割が賛成」のソースは2021年3月実施のアンケート
- アンケート実施時期(2021年3月)の言論状況
- 情報提供の状況は住民投票条例の制度趣旨からしてどうなの?
上野千鶴子「武蔵野市住民投票条例案は7割が賛成」
武蔵野市議会で外国人に投票権を認めた住民投票条例案否決。住民の7割は賛成している。否決した議員の落選運動をやったらよい。
— 上野千鶴子 (@ueno_wan) 2021年12月21日
上野千鶴子が「武蔵野市住民投票条例案は7割が賛成」「否決した議員の落選運動をやったらよい」とツイート。
この「住民の7割が賛成」についてはソースがあります。
「7割が賛成」のソースは2021年3月実施のアンケート
武蔵野市住民投票条例(仮称)骨子案に関する無作為抽出市民アンケート実施結果
「7割が賛成」のソースは2021年3月実施のアンケートです。
無作為抽出の2000人にアンケート用紙を送付したら509人の回答があったというもので、外国人への投票権付与については回答者は508人。73.2%が賛成でした。
アンケート実施時期(2021年3月)の言論状況
さて、2021年3月というのは、本条例案についてパブリックコメントが展開されていた時期でした(同年8月にもより具体化した条例案についてパブリックコメントを実施)
このアンケートは、3月のパブリックコメントに付随してなされたもので、武蔵野市の同じページ内に置かれています。
【<3月15日(月)まで>住民投票条例(仮称)骨子案への意見を募集しています】
住民投票条例(仮称)の骨子案について、市民の皆さんからの意見を募集しています。意見募集期間は、3月15日(月)までです。#武蔵野市 #住民投票 #パブコメ https://t.co/pmdgxfPcks pic.twitter.com/Dp0LcsQG7M— 東京都武蔵野市 (@musashino_hope) 2021年3月11日
しかし、Googleで同時期の報道記事を検索しても何も出てきません。
Twitterでも上掲ツイートと武蔵野市議川名ゆうじ氏のブログが僅か1件が本人によってシェアされているだけです。
武蔵野市議 川名ゆうじ blog : あれこれ考えてみた 武蔵野市住民投票条例骨子案https://t.co/D4NIltnPHg
— 川名ゆうじ(武蔵野市議) (@kawanayuji) 2021年3月10日
あれこれ考えてみた 武蔵野市住民投票条例骨子案 : 武蔵野市議 川名ゆうじ blog
もっとも、彼は外国籍住民の投票参加に肯定的な立場。
つまり、【外国人に投票権を付与すること】を市民が広く知り得る状態ではなかった。
さらには住民投票条例の意義すらほとんど理解されていないままだった。
ちなみに、3月のパブリックコメントで提出された意見はたった6人による16件。
意見交換会も3人が参加して25件の意見が寄せられたのみ。
8月も意見総数125件、市民意見交換会参加者10名であり、政治に詳しい者の中でもコアな人たちくらいしか政策の存在すら知らなかったという状況だと言ってよい。
※「市政だより」「市議会だより」などで各家庭に配布されていたかどうかは不明。そういう主張は賛成派からも出ていない。
そういう状況でアンケートに積極的に回答するのは、住民投票条例案に賛成の人が多くなるだろう、ということが予想されます。
署名、ご協力のお礼 – 武蔵野市の住民投票条例を考える会
>6000筆を超える(うち約7割が武蔵野市内に在住の方)署名を頂戴しました。
約4200筆が反対。市が実施した2回のパブリックコメントは150も無かったしアンケート回答は507だったのに比べてこれは大きい。https://t.co/TCSJ44BzXe
— Nathan(ねーさん) (@Nathankirinoha) 2021年12月22日
【ご挨拶:武蔵野市の住民投票条例を考える会 代表 金子宗德】14名の議員の皆様の良識あるご判断をもって、武蔵野市住民投票条例 議案は否決されました。市内市外6000名を超える直筆署名とネット署名19445名の皆様のお力添えを賜りました。重ねて心から感謝を申し上げます。 https://t.co/BVceaxZEl8
— 深田貴美子 (@fukakimi) 2021年12月21日
他方で、武蔵野市の住民投票条例を考える会が12月中旬までに行った街頭署名では約4200筆が集まっています。ネット上の署名は19445名ですが武蔵野市民の内訳は不明。
武蔵野市民に限った署名ではないのは、本件が全国的に波及する問題だからです。
また、本署名をもって議会に対する請願をしているのですが、この数字自体をもって民意とする趣旨ではない。これも本件に関心のある者が積極的に署名したものであることに注意が必要。
情報提供の状況は住民投票条例の制度趣旨からしてどうなの?
何度書いても、何故市長選挙の公約に掲げていないのか?騙し討ちでは無いのか?と聞いてくる方がいます。
今年、8月の武蔵野市議会総務委員会の行政報告では令和3年11月に住民投票条例案を第四回定例会に上程予定とも説明しています。
決して、騙し討ちではありません。— 松下玲子 (@matsushitareiko) 2021年12月20日
松下玲子市長は「議会で行政報告をしている」などと言っていますが、住民投票条例の制度趣旨は、【個別の問題や事柄において、市長と議会がどうしても市民全体の意向と違う方向を向いているという状況】を是正するためのものです。
ですから、住民の代表たる議会に対して説明しただけでは不十分で、住民との関係で直接的に周知することが理念からして当然なのですが、そうではなかったということ。
ということは、別の目的があったのでは?と疑われても仕方がないでしょう。
松下玲子武蔵野市長「騙し討ちでは無い、議会で行政報告した」:外国人住民投票否決に – 事実を整える
武蔵野市の住民投票条例案否決:外国人投票権と松下玲子市長の問題点|Nathan(ねーさん)|note
ところで、今回の住民投票条例、反対派の議員の理屈が「周知が不十分」「日本人と同じ条件はマズイ」なので、ここを修正したら通る可能性が高いですよ。
手続や条件でなく、キチンと外国人の参加自体の問題を論じてる人を支持して行かないと今後は厳しいですね。
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