電動式ガソリンエンジンの登場: ホンダHR-Vハイブリッドの走りはこうだ。プラグはなくても、経済性は抜群。新型ホンダHR-V e:HEVは、フロントに2基の電動モーターを搭載したハイブリッド車だ。我々は早速チェックしてみた。
ホンダはわかりにくい名前をもう一度考えるべきかもしれない。
HR-V e:HEV・・・。
本当に一つのことしか考えていない小さな車にしては、かなりの文字数だからだ。
ホンダが提供するのは「燃費が良くて楽しい!」クルマに他ならない。
ようこそ、3代目「ホンダHR-V」へ。
そして、この車にはすべてが備わっている。
純粋なガソリンやディーゼルではなく、これからはハイブリッドしかないが、ホンダはダブルハートドライブで20年の経験を持ち、電動式ガソリンエンジンのようなものを作りあげた。
今回のハイブリッドシステムは、107馬力と131Nmを発揮する1.5ガソリンエンジンに比べて、2基の電動モーターは、131馬力と、253Nmとほぼ2倍のトルクを持っている。
よりパワフルなエンジンが主役であることは明らかだ。
そのため、「HR-V」は街中では電気で走り去り、より大きなトルクが必要なときだけハイブリッドモードに切り替え、電動モーターのためにエネルギーを生成するときには、エンジンがかなり大きな音をあげる。
内燃機関の余剰電力はバッテリーに入り、ブレーキ時にも充電される。
その後、「Econ」モードを選択し、エアコンやスロットルレスポンスをエコノミーに調整すれば、燃料消費量をさらにカットすることができる。
公式にはリッターあたり18.5kmとなっているが、我々のテストラップでは20.8kmを記録した。
しかも、エコノミードライブではなく!
ホンダはシャシーのバランスを重視している
走りの印象は?
まずは高速道路を走ってみたが、ガソリンエンジンは、急加速したい気持ちを緊張感のある唸り声で表現してくれた。
「HR-V」が得意とするのは市街地であり、電動で走ることで燃料を節約する。
このクルマを自動車のグライダーとして理解するなら、燃料節約はあなたの新しい趣味になるだろう。
電動モーターとガソリンエンジンの相互作用は、振動などでは体感することはできないものの、耳で聞くことができる。
シャシーはスポーツ傾向でバランスが取れており、ステアリングはコミュニケーションを取りながらダイレクトに操作することができるようになっている。
新型「HR-V」の外観がこのようなものになったのは、顧客からの意見や要望を採り入れたおかげだ。
その結果、スロープ状のルーフライン、Cピラーに隠されたリアドアハンドル、そして18インチアルミホイールなどの標準装備が実現された。
価格: ホンダはハイブリッド車を30,400ユーロ(約400万円)で販売
インテリアも、細部にまでこだわった良いものになっている。
厚みのある3本スポークのスポーツステアリングホイール、エアベント用のロータリーノブ、ナビゲーションとマルチメディア用の中央タッチディスプレイ、その下のクライメートコントロールユニットなど、すべてが一目瞭然で、実用的で、良いものだ。
良いといえば、「マジックシート」と呼ばれる、リアシートのコンセプトについて話さなければならない。
「ホンダ ジャズ」と同様、シートは折り畳むことができる。
ホンダは、前輪を外したマウンテンバイクを2台、ちゃんと押し込むことができると約束している。
4.34mの車に!?
価格は30,400ユーロ(約400万円)で、Android AutoとApple CarPlay搭載のナビ、フロントシートヒーター、パーキングアシストが標準装備されている。
そして、リアにはこんな文字が。
「HR-V e:HEV」。
難しいアルファベットの羅列だけど、覚えておきましょうね。(笑)
テクニカルデータ: ホンダHR-V e:HEV
● ガソリンエンジン: 4気筒、フロント横置き ● 排気量: 1498cc ● 最高出力: 107PS@6000rpm ● 最大トルク: 131Nm@4500rpm ● 2基の電動モーター: 96kW(131PS) ● 最大トルク: 253Nm@4500rpm ● 駆動方式: 前輪駆動、e-CVT ● 全長×全幅×全高: 4340×1790×1582mm • 乾燥重量: 1452kg • ラゲッジコンパートメント容量: 335~1305リットル ● 最高速度: 170km/h ● 0-100km/h加速: 10.6秒 ● 燃費: 18.5km/ℓ ● CO2排出量: 122g/ℓ ● 価格: 30,400ユーロ(約400万円)より
結論:
ホンダがこんなにも若くてシックな存在だとは思っていなかった。
「HR-V」は立派なハイブリッドSUVであり、4.34メートルという適切なサイズで、価格に見合う多くのものを提供している。
しかし、注意してほしいのは、よく高速道路を走る人や、速く走るのが好きな人は、別のものを買ったほうがいいということだ。
AUTO BILDテストスコア: 2
もはやホンダはミニバンとSUVメーカー一直線で、スポーツカーと呼べるのは「シビック タイプR」くらいなもの・・・。そんな寂しい状態ではあるが、乗ってみればSUVの完成度はかなり高く、全輪駆動システムも、ハイブリッドシステムも、なかなかの水準にある、というのは事実である。
実際このHR-V(ヴェゼル)は、日本においてホンダの稼ぎ頭となっていて、かなりバックオーダーもある状態だ。その状況は「CX-5」に屋台骨を支えられているマツダにも近い感じのものだが、「ホンダ ヴェゼル」はやや小さめのSUVであり、マツダで言えばCX-30あたりとライバルになるという違いはある。
そんなヴェゼル、本文にも記されている通り、名前がなんともわかりにくい。
「HR-V e:HEV」とは、元素記号かと思うような煩雑さで、あまりにも言いにくい。せっかくの久しぶりにシンプルで格好いいデザインなのに、この名前じゃかわいそうすぎないだろうか。もちろんホンダだけではなく、他のメーカーも似たような状況ではあるのだが、サニー、パブリカ、シビック・・・。ストレートに名前を覚え、呼んでいた時代が懐かしい。今度のトヨタのEVは「bZ4X」って何度聞いても覚えられない。JR横浜の駅ビル「NEWoMAN」もそうだが、ネーミングは無責任な広告代理店の言いなり(?)になど、ならないでほしい。魂込めて作ったエンジニアがかわいそうだ。
Text: Andreas May
加筆: 大林晃平
Photo: Honda Motor Co., Ltd.