もっと詳しく

オープントップの熱気。

コルベットのカブリオレは妥協を許さない。新型コルベットが欧州の正規モデルとして登場した。アメリカンスポーツカーのアイコンであるカブリオレに乗ってみた。

屋根がとんでいく。
少なくとも感覚的には・・・。
新型「コルベット カブリオレ」が17秒でハードトップをエンジンルームの上に折り返すと、フロントでは事態が急速に動き出す。
野球帽が飛び、髪の毛が吹き飛び、幸せホルモンが宙返りする。

それは、初めてドライバーの後ろにミッドエンジンを搭載した、8代目「コルベット」が、「カブリオレ」になっても、そのスポーティさを少しも失っていないからだ。
ルーフパネルが取り外せるクーペと同じ性能がそれを物語っている。
具体的には、最高速度296km/h、0から100km/hまでのスプリントは3.5秒。
他に質問は?
そして今、ヨーロッパへ正規に輸入されることになったオープンエアの「C8」とともに、欧州の人々は、ガソリンパティキュレートフィルター(OPF)、現地語のインフォテイメント、そしてもちろん正規の認可を受けた本物のユーロモデル(欧州仕様)が楽しめるようになった。
これまでは、スタートラインに立つのは常に米国仕様だった。
ユーザーに取って見れば、OPFなどあってもなくてもどうでもよかったかもしれないが、6.2リッターのスモールブロックV8は、それでも幸いにも自由な音を奏でる。

コルベット カブリオレは、3.5秒で0から100km/hに到達し、最高速度は296km/hだ。

V8は少しだけパワーを失った

データシートには20馬力程度の減少と記載されている。
しかし、ドライバーがそれに気づくのは、信号待ちで、たまたま隣に「USモデル」が並んでいたときだけだろう。
我々が運転した「カブリオレ」では、20馬力のあるなしは無意味なものだ。
なにしろ、482馬力がフルに発揮されているのだから。
トルクも637Nmから613Nmへと若干低下したが、そのかわりに、650rpmも早くから、フルに発揮される。
「カブリオレ」では、高速道路のスピードに達する前にドライヤーをダメにするのに十分な量だ。
16バルブ、プッシュロッド駆動のセントラルカムシャフト、そしてドライサンプ潤滑、ダイレクトインジェクション、気筒休止。
オリジナルのV8エンジンは、我々を恍惚の世界へと導く。

スポーツカーの仕事場: 異形のステアリングはすぐに手になじむ。一方で、シートは背の高い人には少し高すぎる。

パワートランスミッションも現代的だ。
特にスポーツモードでは、8速デュアルクラッチの反応が非常に速く、型破りな形状のステアリングホイールにあるシフトパドルもしっかりと握れる。
批判的な点としては、シートは座り心地がよく、同時にサイドサポートもしっかりしている一方、背の高い人にとっては位置が少し高すぎる。
標準装備の「Z51」サスペンションは、柔らかさと俊敏さの間をうまく行き来し、ステアリングの精度と、フロントアクスルからのフィードバックは、他のコルベットとは比較にならないほど優れている。
トップレスでもクローズドでも、その走りに違いは全くない。

オープンエアの「C8」とともに、欧州の人々も、ガソリンパティキュレートフィルター(OPF)、各国語のインフォテイメント、そして正規のユーロモデルを楽しめるようになった。

しかし、OPFなどなくても、ユーザーは喜ぶはずだ。幸いなことに、6.2リッターのスモールブロックV8は、まだ自由なサウンドを奏でているが、パワーはじゃっかん落ちている。データシートには約20馬力減、482馬力と記載されている。トルクも637Nmから613Nmへと若干低下したが、パワフルさは変わらない。

オリジナルのV8エンジンは、2つの世界をつなぐコンバーターだ。16バルブ、プッシュロッド駆動のセントラルカムシャフトを採用しているが、ドライサンプ潤滑、ダイレクトインジェクション、気筒休止を採用している。

批判的な点としては、シートに関するものがある。座り心地がよく、同時にサイドのサポートもしっかりしているが、背の高い人には位置が少し高すぎる。

テクニカルデータ: シボレー コルベット スティングレイ カブリオレ
● エンジン: V8、リアセンター縦置き ● 排気量: 6162cc ● 最高出力: 482PS@6450rpm ● 最大トルク: 613Nm@4500rpm ● 駆動方式: 後輪駆動、8速DCG ● 全長×全幅×全高: 4634x1934x1234mm • 乾燥重量: 1767kg ● 0-100km/h加速: 3.5秒 ● 最高速度: 296km/h ● 平均燃費: 8.2km/ℓ ● CO2排出量: 277g/km ● 価格: 93,400ユーロ(約1,230万円)より

結論:
「コルベット スティングレイ」の「カブリオレ」バージョンのベース価格は93,400ユーロ(約1,230万円)で、クーペに比べて6500ユーロ(約85万円)も高くなっている。
しかし、「カブリオレ」は、ドライビングプレジャーの面で大きな妥協をすることなく、本物のオープンエア感覚を提供してくれる。
AUTO BILDテストスコア: 2

今度の「コルベット」はとにかく本物のスポーツカーらしい、ということはもう何回も書いてきたが、それでもあえて「フェラーリの半分で買える素晴らしいミッドシップスポーツカー」だということはもう一度書いておきたい。
さらにこれほどの自動車が、アメリカでは一年間に驚くほど作られ、普通の街を、普通の使い方で乗られているという事実。やっぱりアメリカは大きく、すごい国であるとつくづく思う。ヨーロッパのスーパースポーツカーでは考えられないほどのイージーさと、信頼性をあわせ持ち、性能は超一級、そんな「コルベット」はやっぱりアメリカが誇るべきスポーツカーである。
今回の「カブリオレ」はさらに開放的で快楽主義な車だが、普通のコルベットだって屋根がはずれるわけで、それにもかかわらずもっとオープンなスポーツカーを作る、というところにも豪胆さを感じると同時に、オープンモデルもクーペも間違いなくかなりの数を販売できるという確信があってのことだろう。
ハイブリッドシステムだ、EVだ、そんな話題ばかりが毎日発表されるヨーロッパを相手にせず、あっけらかんとV8のスポーツカーをどんなもんだい、とばかりに発表するGM。安直な感想かもしれないが、なんとも明るく頼もしいアメリカを見る思いではある。

Text: Alexander Bernt
加筆: 大林晃平
Photo: Lena Willgalis / AUTO BILD