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■「この3年間はわたしの宝物です」(絹本夏海)、「皆さんの顔を見たら、やってきて良かったなってすごく思いました」(船井美玖)

3年前の12月23日、ザ・コインロッカーズは産声を上げた。そこからの3年間は、速度を緩めることなく急勾配の続く坂道を走り続けてきた。39人の仲間たちと、いろんな形を成しながら奏で始めた音楽は、今も歴史の道のうえにしっかりと刻まれている。しかし、歩みを重ねるごとにあらたな思いが生まれ、異なる道へ踏みだす人たちも多かった。

12月22日、東京・Zepp Hanedaの舞台には10人のメンバーが立っていた。有働優菜、Emily、絹本夏海、後藤理花、下島輝星、田村愛美鈴、HANNA、船井美玖、松本璃奈、森ふた葉。3年間、ザ・コインロッカーズという名前にプライドを持ち続けてきた彼女たちは、すべてを出し尽くそうと、誇りを胸に舞台に立っていた。

ザ・コインロッカーズ 『3周年!夢は弾いてかなえる!』、この日がザ・コインロッカーズとして名乗る最後の日。3年間の歩みを集大成し、華々しく旅立ち、ザ・コインロッカーズの名前を永久に封印する日…。

ザ・コインロッカーズの解散ライブは、「ねぇねぇねぇ」と推しにアピールする「君推し!」から幕を開けた。メンバー全員で演奏する姿も気迫もハンパない。この日も、彼女たちは応援してくれる人たちの「推しメン」として輝きを放っていた。その姿を、推しメンたちの瞼へ焼きつけるよう強気に挑発してゆく。続く「アイスちょうだい」でも、最後という悲しさを忘れさせるように、10人は強気な姿勢と演奏でフロアに熱を注いでいった。

エモいロックンロールナンバー「マジでピンと」を通し、彼女たちは観客たちに熱いモーションをかけてゆく。フロア中の人たちの心が騒ぎ、体が躍りだす。「コインロッカーの中身」では、彼女たちは3年という歩みのなかで貫いた尖った気持ちを突きつけるように声を張り上げ、音を奏でていた。

次のブロックは、曲ごとにメンバーが入れ変わる形で進行。アコギの演奏に乗せゆったりと歌う声が、胸をキュッと鳴らした。船井美玖がプロデュースした衣装に着替えたメンバーたちは、ミッドメロウな「月はどこに行った?」を奏で、観ている人たちの胸の奥に歌声を染み渡らせる。丸い月のように輝くミラーボールの照らす青い光に乗せ、淡い歌声をフロア中へ降り注いでゆく。切ない恋の物語は、春の景色へ。彼女たちは「桜なんか嫌いだ」を歌いながら、切ない胸の内を春風に乗せ、会場中にまき散らす。悲しみを抱いた歌声へ寄り添うように、桜色のペンライトの光があちこちで揺れていた。

リズム隊のセッションを合図に、ザ・コインロッカーズはデビュー曲「憂鬱な空が好きなんだ」を届けてきた。彼女たちの始まりの景色が甦る、無邪気な、でも無敵な気持ちで晴れた声を上げながら歌っていたあの頃の自分たちを甦らせるように、彼女たちはフロア中からつき上がる拳の景色を見ながら、この空間に熱い歌の風を巻き起こしていった。3年間の中で培った熱情をそこに重ね、思いきり心を解き放つように歌い奏でていた。

3年間の歩みを振り返る映像を受け、ふたたび着替えを終えたメンバーらが舞台へ。ザ・コインロッカーズのあらたな音楽性の扉を開け、彼女たちの支持を大きく膨らませた「仮病」が飛びだした。この歌を通してザ・コインロッカーズを好きになった人たちも多いだろう。彼女たちも、この歌を通して自分たちの運命を変えてきた。

熱した気持ちのまま、ザ・コインロッカーズは「泣かせてくれないか」を歌っていた。最後まで夢追いかける輝きに満ちた姿を仲間たちへ示しながら、涙なんか吹き飛ばしてしまえと言わんばかりの凛々しい姿で歌い奏でていた。

「歌いたくて歌いたくて 大声を出したくなる この胸に溜まっている言葉を吐き出そう」と、10人は心をひとつに歌いだした。最後にメンバーたちは、「歌いたくて歌いたくて」を沸き立つ気持ちのままに歌っていた。3年間彼女たちの心の軸にあったのは、この想い。いろんな夢を描いてきた。たくさんの傷を心に負ってきた。でも、彼女たちは歌いたくて、この舞台を選び続けてきた。最後の音色が消える瞬間まで、10人は溢れそうな涙さえ力に変え、歌い演奏していた。フロア中からつき上がる数多くのカラフルな光と拳が、その想いをしっかりと受け止めていた。

アンコールで、彼女たちは「僕はしあわせなのか?」を歌唱。その答えを示すように、10人は晴れ渡る演奏を通し、弾む歌声と明るい音符の花束をフロア中に降り注いでいった。もちろん悲しみはある。でも、出会った期間に差はあれ、彼女たちと過ごした瞬間瞬間を繋げた景色には、間違いなく笑顔浮かぶ幸せがあった。だからこそ彼女たちも、フロアにいた人たちも、しっかり前を向いた表情で、出会えた喜びを分かち合っていた。

ここで、メンバーらが一人ひとり、言葉を述べた。ここでは、代表して3人の言葉を記したい。

「わたしはオーディションのときに『人生を変えたいです』と言ったんですけど。あれは心の底からの本心です。本当にこの3年間で人生を変えることができました。皆さんの顔は絶対に忘れないです。応援してくれたことはすごくうれしかったです。この3年間はわたしの宝物です」(絹本夏海)

「3年間、どの場面を切り取ってもファンの皆さんに支えられてきたなとすごく思いました。ザ・コインロッカーズは解散してしまうんですけど、私たちが今まで作ってきた作品はこれからも残り続けるので、これからもザ・コインロッカーズが皆さんの側に寄り添い続けてくれたらなと思います。皆さんと出会えて幸せでした」(有働優菜)

「わたしは本当に全部悔しいなと想いながらやってきた3年間だったなと思います。もし、39人や13人でライブをしていたらどんな形だったのかなと思います。わたしはみんながいなくなるたびにしんどくて。13人になってからも、10人になってからも、すごくプレッシャーがあったんですけど。支えてくださったのはファンの皆さんでした。本当に感謝しています。もう少し続けようと思ったのは、皆さんがいたからです。
ザ・コインロッカーズはすごく不安定で、応援してて満たされてるのかなって不安になっていたんですけど。皆さんの顔を見たら、やってきて良かったなってすごく思いました。本当に3年間応援してくださってありがとうございました」(船井美玖)

ザ・コインロッカーズという3年間の物語へピリオドを打ち、それぞれあらたな物語を描き始めるために。各々が新しいステージへ羽ばたく約束を交わすように、最後の最後に彼女たちは「ステージ」を届けてきた。この歌には、ザ・コインロッカーズの3年間の歩みが刻まれている。この歌には、彼女たちの3年間の心の光と影が映しだされている。この歌には、夢見たステージへ立つための約束の言葉が綴られている。10人はこの歌を胸に、それぞれの新しいステージへ、ここ羽田からフライトする。それぞれに乗った飛行機(人生)の行き先は、今はまだわからない。でも、それぞれに描いた新しいステージでこの歌を思い返しながら、自分が思い描く輝く未来を手繰りよせていくに違いない。ありがとう。そしてまた、できるならステージの上とフロアで再会しよう。この「ステージ」を、約束の扉を開ける鍵にしながら…。

TEXT BY 長澤智典
PHOTO BY 鈴木恵

■『ザ・コインロッカーズワンマンライブ「3周年!夢は弾いてかなえる!」』
2021年12月22日(水)東京・Zepp Haneda(TOKYO)
<セットリスト>
01. 君推し!
02. アイスちょうだい
03. マジでピンと
04. 夢がない僕が夢をみたんだ
05. コインロッカーの中身
06. 月はどこに行った?
07. 桜なんか嫌いだ
08. 最後の蝉
09. 孤独でいることに慣れてしまった
10. 小田急線
11. その日
12. 永遠の記憶
13. 憂鬱な空が好きなんだ
14. 仮病
15. 泣かせてくれないか?
16. 歌いたくて歌いたくて
[ENCORE]
17. 僕はしあわせなのか?
18. ステージ


リリース情報

2021.12.08 ON SALE
MINI ALBUM『ステージ』


ザ・コインロッカーズ OFFICIAL SITE
https://thecoinlockers.com/