もっと詳しく

Rapid Robotics(ラピッド・ロボティクス)が、シリーズAラウンドで1200万ドル(約13億2000万円)の資金を調達したと発表したのは、2021年4月のことだった。それから4カ月後、ベイエリアを拠点とするこのロボット製造企業は、Kleiner Perkins(クライナー・パーキンス)とTiger Global(タイガー・グローバル)が主導するシリーズBラウンドで、3670万ドル(約40億3000万円)の資金調達を実施した。このラウンドには、既存投資家のNEA、Greycroft(グレイクロフト)、Bee Partners(ビー・パートナーズ)、468 Capital(468キャピタル)も参加し、同社の資金調達総額は5420万ドル(約59億6000万円)に達した。

今回の資金調達により、同社の評価額は1億9250万ドルとなった。2020年にシード資金調達を行った会社としては驚異的な数字だ。今回のシリーズBラウンドは、Rapidにとって1年以内に3回目(!)の資金調達となるが、その背景には、無限に続くかのように思われる世界的なウイルスの大流行によって煽られた、ロボットや自動化に対する関心の高まりがあることは疑う余地がない。

関連記事:新しいコンセプトのロボティクスに挑むRapid Roboticsが13.2億円調達

企業が「ノンエッセンシャル(必須ではない)」な労働者の代わりになるものを探していることから、これらの技術への投資は加速する一方だ。新型コロナウイルス感染拡大期間中には、製造業のボトルネックもまた、柔軟でグローバルな生産体制の必要性を浮き彫りにした。

Rapidの価値提案は、プログラミングなどのロボット工学の知識がなくても、数時間で製造現場に導入できるRapid Machine Operator(RMO)ロボットだ。このシステムは、RaaS(Robotics as a Service「サービスとしてのロボット」)モデルとして提供されており、年間2万5000ドル(約275万円)で利用できる。このシステムには柔軟性があり、さまざまなタスクを割り当てることが可能であることも、専用のシステムを導入できない企業にとってはありがたい機能だ。

「半導体が不足しているという話はよく聞きますが、それは氷山の一角にすぎません。下請け製造業者の現場では、ガスケット、バイアル、ラベルなど、あらゆるものの製造が滞ってしまっているのです」と、RapidのJordan Kretchmer(ジョーダン・クレッチマー)CEOは、今回のニュースに関連したリリースで述べている。「U字型の黒いプラスチック部品1つが製造できなくなったために、自動車の生産ライン全体が停止してしまったケースを、私は見たことがあります」。

自動車業界はRapidが狙っている市場の1つだが、例えばベイエリアに拠点を置く健康関連企業のTruePill(トゥルーピル)という会社では、処方薬びんの充填とラベル貼りに同社のシステムを採用しているという。

関連記事
物流ロボットのサブスクを展開する「+A」がZOZO大型物流拠点に商品仕分けロボットシステム280台を提供
分身ロボット「OriHime」開発者が「テレワークで肉体労働」に挑戦したワケ
テスラはロボット「Tesla Bot」を開発中、2022年完成予定
あまり見ることがないBoston Dynamics人型ロボAtlasのずっこけNGシーン、失敗が成功を生む
画像クレジット:Rapid Robotics

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)