編集部注:Nick Costelloe(ニック・コステロ)氏は、Demand Curveのコンテンツ責任者として、実用的なグロースマーケティングのインサイトを執筆している。
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私たちは、当社Demand Curve(デマンド・カーブ)と当社の代理店Bell Curve(ベル・カーブ)の仕事を通じて、ほぼすべての業界にわたり、スタートアップのために1000以上のウェブサイトのリライトを行ってきた。
これから紹介するコピーライティング戦術に従えば、サイト訪問者を顧客へと変えるコンバージョン率を倍にできるだろう。
アバブ・ザ・フォールド(Above the fold)のすべてを使って核心を伝える
ウェブサイトのトップページを開いて、スクロールせずに見ることができる画面領域を「アバブ・ザ・フォールド」、またはファーストビューという(紙媒体の新聞を考えてみよう。文字通りの折り目(フォールド)の上にあるものすべてが、その紙面で最も重要な情報である)。訪問者は、その画面領域に表示されるコンテンツを見て、スクロールして閲覧を続けるか、閲覧を終了するかを決める。
何をする会社なのか、自分の目的にかなう会社なのかどうかを、訪問者は数秒で判断しようとするということだ。
私たちは、スタートアップが犯しがちなある間違いに気づいた。それは、ファーストビューに表示されるコンテンツがおもしろくない、あるいはわかりにくいことだ。この間違いは多くの場合、マーケティング担当者がファーストビューにコンテンツを詰め込み過ぎることが原因である。
実のところ、ウェブサイトに掲載されている情報のほとんどは新しい訪問者とは無関係である。だからこそ、ファーストビューでは、新しい訪問者が抱える特定の問題を解決するためにその企業がどのように役立つかを説明すべきだ。
例えば、技術系ブログの最新記事を投稿したことをファーストビューで宣伝しても、その企業が何をしているかを知らない訪問者にとっては何の役にも立たない。
訪問者をさらに混乱させているのが、多くの企業がトップページに表示している、項目の多いナビゲーションバーだ。このナビゲーションバーを使えば、理論上は、ウェブサイト内の任意のページに簡単にアクセスできるようになるが、実際のところ、訪問者はナビゲーションバー内の項目を選ぶのに疲れてしまい、コンバージョン率も低下する。
その企業が何をしているのか、訪問者の目的にかなう企業なのか、という疑問に対して直接的に答えるコンテンツのみをファーストビューに表示し、それ以外はファーストビューから削除すべきだ。
ホームページのコンバージョン率を上げるには次の3つの方法がある。
- 「刺さる」ヘッダーを作る
- サブヘッダーを使ってヘッダーを補足する
- 意図を持ってデザインする
この記事では、上記の3つの分野を改善する戦術について取り上げる。
集団ではなく個人に訴求するヘッダーを書く
ヘッダーはウェブサイト上で最も大きなテキストだ。10ワード以内(推奨する最長の単語数。ただし、これは英語の場合)で、次の3つを達成する必要がある。
1.顧客が貴社の商品からどのように価値を得られるかを明らかにする。
これは最も重要な価値提案である。貴社の商品からどのように価値を得られるかを10ワード以内で説明できなければ、訪問者の注意を長く引き付けておくのは難しいだろう。
ここでは、貴社の主要な価値提案を明らかにする方法を説明する。
- 貴社の商品を入手できないときに使用される質の悪い代替品にはどのようなものがあるか。
- 貴社の商品が質の悪い代替品より優れている点は何か。
- 最後のステップを行動ステートメントとして言い換えると、それが価値提案になる。
Airbnb(エアビーアンドビー)を例として考えてみよう。
- 質の悪い代替品は、おもしろみのないホテルに閉じ込められ、本物の文化を体験できないことである。
- Airbnbのサービスが質の悪い代替品よりも優れている点は、地元住民の家に滞在できる点である。
- 2つ目の点を行動ステートメントとして言い換えると「初めての街での体験を、まるで住んでいるかのように楽しめる」という価値提案が得られる。
以下に、有名なスタートアップの例をいくつか紹介する。
2. 訪問者に読み続けてもらうための魅力的な仕掛けを組み込む
貴社がどんな会社かを訪問者に伝えられたらまずはひと安心だが、次は、貴社の商品に対してワクワクさせる必要がある。
多くのスタートアップは、ウェブサイトのコピーのせいで大きなチャンスを逃がしている。そのコピーが行動指向型ではないからだ。顧客が24時間いつでも買い物ができる世界では、訪問者が今すぐ行動を起こさなければならない緊急性はほとんどない。
フック(仕掛け)を組み込むことによって、訪問者が最初の訪問時に買い物をする可能性が高まる。
仕掛けを組み込むには次の2つの方法がある。
- 大胆に宣言する:顧客が「へー。こんなことができるなんて知らなかった」と考えるように、極めて具体的な内容にする。
- よくある反対意見に答える:訪問者がすでに考えている可能性の高い疑問や反論に答える。反論にすぐに対処するのは意外に感じるかもしれない。しかし貴社の弱点に注意を向けることによって、訪問者は貴社ブランドへの信頼感を高めるだろう。直販チームがいないため、コピーを駆使してできるだけ多くの疑問に対処する必要がある。
以下は、最も大きい反論に前もって対応している有名スタートアップの価値提案の例である。
3. 想定する顧客ペルソナに直接訴える
ヘッダーのメッセージで訪問者の心をとらえるには、顧客ペルソナに直接訴えるように価値提案を書き直す必要がある。
そのためにまず、上位2~3の顧客ペルソナをリストアップする。そして、商品の中でそのペルソナが最も重視する部分を取り上げるようなヘッダーに作り直す。業界用語ではなく、想定した顧客ペルソナが普段使う言葉で書くことが重要だ。顧客が貴社の商品のどこを気に入っているかをウェブサイトで示すには、1対1のインタビューを掲載するか、顧客の成功事例を簡潔に紹介するのが最も効果的だろう。
想定する顧客ペルソナに直接訴えるヘッダーを作成した後は、どのヘッダーがコンバージョン率を上げるかを判断するA/Bテストを実施したり、各ヘッダーを使用してカスタムのランディングページを作成し、さまざまなソースからのトラフィックを特定のページに誘導したりできる。
例えば、ゲストのブログ投稿に貴社のウェブサイトへのリンクを追加する場合、最も関連性の高いヘッダーが表示されるページにその閲覧者を誘導する。
以下は、同じスタートアップのために書かれた複数の価値提案の例である。
サブヘッダーを使用してヘッダーに書かれた内容の実現方法を説明する
あなたの時間の約50%をヘッダーの作成に、25%をサブヘッダーの作成に費やして欲しい。ヘッダーがおもしろくなければ、訪問者はわざわざサブヘッダーを読むことはないからだ。
サブヘッダーは次の2つのことを詳しく説明するために使用する。
- 貴社の商品の機能に関する正確な説明
- ヘッダーに記載した大胆な宣言の根拠となる機能・特徴
上位2~3つの機能・特徴を利用して、ヘッダーに書かれた内容を実現する方法を説明できる。
例えば、Airbnbのヘッダー「地元体験型の休暇をお楽しみください。最低滞在日数はありません」について考えてみよう。
この文の根拠を示すには「地元体験型の休暇」と「最低滞在日数なし」をどのように可能にするかを説明する必要がある。
サブヘッダーには「お住まいの地域にある何千もの短期賃貸物件を扱うオンラインマーケットプレイスです」などと書くことができる。
サブヘッダーやヘッダーには業界用語や技術用語を使用せず、小学校5年生の読者でも理解できる言葉を使用する。文章は短くすること。また、長い段落は読者の勢いをそいでしまう。
以下に、サブヘッダーを使用してヘッダーを説明している例をいくつか紹介する。
親しみやすく期待通りに機能するホームページを作る
高いコンバージョン率を持つホームページを作成する際に検討すべき最後の点はデザインだ。多くのハイテクスタートアップは、その独創性を見せつけるためにウェブサイトを利用している。
私たちの経験から言わせてもらえば、ウェブサイトは独創性を発揮する場所ではない。
ウェブサイトのデザインは独創的であるべきではない。独創的であるべきなのは商品である。ウェブサイトは商品の独創性を伝えるための一般的な媒体でしかないのだ。
機能性
他のウェブサイトでも広く利用されている使い慣れたボタンとナビゲーションを使用すると、訪問者がウェブサイトの機能を覚える手間が省ける。例えば、私たちはページの左上に「ホーム」ボタンがあるものだと思っている。右下に同じボタンを配置して独自性を出そうとすると、混乱が生まれ、おそらく顧客を失うことになるだろう。うまく機能しているものに忠実であるべきだ。
画像
ホームページに画像を追加するときは、次の目的を検討しよう。
- 実際に動いている商品を見せることによって、不安要素を取り除く。GIFやループ動画は、スペースを取らずに商品の仕組みを示す優れた方法である。
- 物理的な商品を販売する場合は、画像を使って、素材や生地のさまざまな使用事例とクローズアップを示す。これにより訪問者は商品の品質を評価し、商品が自分たちにふさわしいかどうかを検証できる。
行動喚起ボタン
行動喚起ボタン(CTA)は、ウェブページの訪問者をアクティブ顧客に変換する場所である。したがってCTAは、ヘッダーコピーの中に組み込んだ仕掛けの延長線上に配置しなければならない。
CTAボタンのコピーは、行動に焦点を置き、クリックしたら何が起きるかを訪問者に伝えるものにする。
以下に紹介するCTAボタンは、ヘッダーコピーからストーリーが続いているため違和感がない。
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画像クレジット:Anna_leni / Getty Images
[原文へ]
(文:Nick Costelloe、翻訳:Dragonfly)
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