蚊が媒介する原虫によって引き起こされる感染症、マラリアに最も有効とされる治療薬に耐性があるタイプのものが、東アフリカで急速に広がっていることが順天堂大学などの調査で分かりました。
マラリアは結核やエイズと並ぶ3大感染症とされ、WHO=世界保健機関によりますと、世界で毎年2億人以上が感染し、40万人以上が死亡しているとされます。
順天堂大学やウガンダのグル大学などの国際研究グループは、東アフリカのウガンダで、最も有効な治療薬の「アルテミシニン」に耐性があるマラリアがどれくらい広がっているか調査した結果を、アメリカの医学雑誌「ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に発表しました。
それによりますと、研究グループで調べた患者240人中、5.8%に当たる14人は「アルテミシニン」に耐性があり、このうちの13人では、原虫の遺伝子に耐性を示す特徴的な変異が確認されたということです。
さらに、患者の血液検査でこの変異が見つかった人は、2015年に調べた時にはいなかったのが、2019年には全体のおよそ16%と急速に増えていたとしています。
「アルテミシニン」への耐性がある原虫は同じ研究グループが3年前に初めて報告していて、今回は実際にまん延していることが裏付けられたとしています。
順天堂大学の美田敏宏教授は「耐性マラリアの監視体制の強化や、別の治療薬の開発が必要だ」と話しています。