Mercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)は、電気自動車の最上級モデル「EQS」の米国における販売価格を、ガソリンエンジン搭載車の「Sクラス」よりも8700ドル(約95万円)以上低く設定した。これは北米で高級EVの展開を確実に成功させるためにドイツの自動車メーカーが取った戦略的な動きと言える。
2021年秋より米国のディーラーで発売になるEQSの価格は、1050ドル(約11万5000円)の配送料込みで10万3360ドル(約1133万円)からとなっている。連邦政府の税額控除により、実質価格はさらに7500ドル(約82万2000円)安くなる。
メルセデス・ベンツはまず「EQS 450+」と「EQS 580 4MATIC」という2つのモデルを米国市場に導入する。2基のモーターを搭載するハイパワーで4輪駆動の後者は、ベース価格が12万160ドル(約1317万円)と高めに設定されている。さらにこの2つのモデルには、いずれも3種類のトリムが用意されており、最上級の「Pinnacle(頂点)」と呼ばれる仕様は、配送料込みでEQS 450+が10万9560ドル(約1200万円)、EQS 580 4MATICは12万6360ドル(約1385万円)になる。
配送料込みで11万2150ドル(約1229万円)からというSクラスよりも、電気自動車のEQSを低い価格で販売するというメルセデスの決断は、EVに賭けた将来の投資と見ることができる。Sクラスは長い間、メルセデスの伝統的な高級フラッグシップセダンだった。しかし、2020年代の終りまでにすべての新車販売を電気自動車のみにすると宣言し、そのために400億ユーロ(約5兆1420億円)を投資する計画を2021年7月に発表したメルセデスは、従来のSクラスのオーナーをEQSに移行させるか、あるいは新たな購買層を見つけなければならない。
この2022年モデルのメルセデス・ベンツは、期待される通り、超高級な雰囲気に溢れている。しかしEQSはそれだけでなく、56インチのハイパースクリーン、超強力なHEPAエアフィルター、ドライバーの要望や必要を直感的に学習するソフトウェアなど、最新技術も満載だ。おまけに「No.6 MOOD Linen」と名付けられた新しいフレグランスも用意されており、これは「イチジクとリネンの青葉のような香り」と表現されている。
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メルセデスは、これらの技術に加えて、パフォーマンス、デザイン、そして価格が買い手を惹きつけることに賭けている。TechCrunchが以前指摘したように、これはメルセデスにとって大きな賭けだ。このドイツの自動車メーカーは、北米でEQSの導入を成功させることで、かつてクロスオーバーEV「EQC」の米国導入につまずいた(そして今はもうなかったことになっている)記憶を消し去ろうとしているのだ。
画像クレジット:Mercedes-Benz
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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)