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「気候変動から逃げている」 グレタさん、米議会で批判(日本経済新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN22F290S1A420C2000000/
2021年4月23日 5:54

スウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥンベリさんは「いつまでも責任を問われず、気候変動を無視し続けられると思うのか」と訴えた=ロイター

【ニューヨーク=白岩ひおな】スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんは22日、米下院の委員会にビデオ会議で出席し、各国の政治家らが「気候変動から逃げている」と痛烈に批判した。グレタさんは各国の気候変動対策が「あいまいで不十分だ」と一蹴し、化石燃料への補助金を打ち切るべきだと主張した。

グレタさんは「今は2021年だ。いまだにこんな議論をして、化石燃料への補助金に税金を投じているのは恥ずべきことだ」と糾弾した。今世紀末の気温上昇を産業革命前から1.5度以下に抑える目標の実現に向け「行うべきことと実際の行動のギャップが刻々と広がっている」と警鐘を鳴らした。

米国主催の気候変動サミットでは各国首脳が新たな温暖化ガスの排出削減目標を表明したが「国や企業が漠然とした遠い目標を立てれば何かが解決すると信じるほど、私たちの世代は甘くはない」と指摘した。「あなた方のような権力者が、本気でいつまでも逃げおおせると信じているのか?」と問いかけた。「遅かれ早かれ、今まで何をしていたのかと責任を問われるのは避けられない」とし「賢明な選択」を求めた。

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グレタ・トゥーンベリからの手紙──今こそ「王様は裸だ」と大声で叫ぼう。(VOGUE)
https://www.vogue.co.jp/change/article/greta-thunberg-pens-a-passionate-letter-on-why-we-must-do-more-to-tackle-the-climate-crisis-cnihub
2021年4月22日

2018年8月、スウェーデンの国会議事堂前で抗議活動を始めたとき、グレタ・トゥーンベリはまだ15歳だった。動機は、気候危機に対する世間の関心の低さに対する憤りだった。彼女の情熱、そして怒りの炎は消えていない。今日4月22日のアースデイに寄せて、18歳になったグレタがオープンレターを綴ってくれた。

世界では今日(日本時間の夜9時から)、ジョー・バイデン米大統領の呼びかけにより気候変動サミットが開催される(編注:日本の菅総理大臣も参加する)。この場で世界各国は、気候変動に関して自国が取り組む新たな環境目標を提示する予定だ。これには2050年までにネットゼロ(温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすること)を達成することも含まれている。世界の首脳は、この数字上のターゲットを、野心的なものだと自画自賛するだろう。だが、現時点で最も正確な科学的データと、これらの不十分な「気候ターゲット」を比較すると、その間に大きなギャップがあるのは明らかだ。このままでは思い切った対策が取られないままに、数十年が無駄に費やされてしまう。

もちろん、未来および現在の生活水準を守るための努力に反対する人はいないだろう。これらのターゲットも、手始めとしては素晴らしいものだったかもしれない。だが、多すぎる漏れや抜け穴が、志を台無しにしているのも事実だ。たとえば、輸入品や世界を結ぶ航空および船舶による輸送、バイオマスの燃焼により生じる温室効果ガスは、このターゲットの対象から外されている。さらには基準となるデータが改ざんされ、大半のフィードバックループやティッピングポイントが除外されているほか、平等性という世界規模で見て重要な要素が取り入れられておらず、過去に排出された温室効果ガスも考慮されてない。そのため、これらのターゲットは、現状では空想の産物のような、実用化にはほど遠い炭素回収技術に完全に依存する状態になっている。だがここでは、これ以上この問題に立ち入らないでおこうと思う。

有権者としての責任。

簡単に言えば、これらのターゲットが私たちが真に必要としている成果につながると装うために、私たちは炭素収支という「創意工夫」を利用し、欺瞞を続けることはできる。だが、私たちは他人(そして自分)を欺き続けることはできるても、自然や物理の法則を欺くことはできないことを忘れてはならない。私たちが正しく計測するかどうかを問わず、排出した温室効果ガスは大気中にとどまり続けるのだ。

つまり現状として、権力の座にある人たちは、この問題を見て見ぬ振りをしてやり過ごそうとしているに過ぎない。気候危機に関する意識の差はあまりに大きいからだ。これは、この問題の核心とも言える課題だ。世界各国の誓約や目標を「大胆」や「野心的」と褒め称えている人たちは、私たちが直面している危機の緊急性をまるでわかっていない。

私はたくさんの世界の首脳と会ってきたが、こうした首脳自身でさえ、自らが掲げるターゲットは本来の目的と結びついていないと認めている。それも当然のことだ。首脳たちが実行しているのは、政治的な視点で可能だと判断したことだけだから。政治家の仕事は、有権者の望みを実現することだ。つまり有権者が本当に効果的な環境対策を求めない限り、真の変化は訪れない。ただし幸いなのは、政治は民主主義で成り立っているという点だ。自由主義の社会では、人々の世論が世の中を動かす。変化を望むなら、私たちは危機意識をさらに広め、不可能にも見えることを可能にするべく働きかけなければならない。

今でも多くの人がベストを尽くしているが、世の中は複雑だ。必要とされている取り組みが容易ではないことを私たちも理解している。そして、もちろん、これらの不十分なターゲットでも、ないよりはマシだ。それでも私たちは、「ないよりはマシ」という理由だけで満足してはならない。私たちは、さらにここから前に進む必要がある。できると信じて進めよう。私たちにはその力がある。力を合わせ、実現を誓えば、私たち人間はほぼどんなことでも達成できるはずだ。

私はまだあきらめるつもりはない。

サミットで世界の首脳が示す誓約は、地球温暖化を1.5℃にとどめる、いわゆる「1.5℃ターゲット」の放棄を認めるものだ。これは自らの約束、そして私たちの未来の放棄だ。みなさんがどう思っているかはわからないが、私はまだあきらめるつもりはない。絶対にあきらめないと心に誓っている。安心できる未来に向けて、私たちは戦い続ける。1℃に満たないわずかな変動も重要で、それは今後も決して変わらないはずだ。

「変化を起こすことは可能だ」と信じる私たちを、世間知らずだと呼ぶ人もいるだろう。それはそれでかまわない。だが少なくとも、世界各国や企業の努力によって問題が解決に向かうと楽観的に考えるほど、私たちは無知ではない。彼らはメディアや一般の人からの強い圧力を受けることなく、曖昧で遠い先に設定された不十分なターゲットを掲げることで、お茶を濁そうとしている。

本当に必要な手だてと実際の行動の間のギャップは刻々と広がっている。緊急に対処が必要なのにもかかわらず、この問題への注目は低く、意識が全く追いついていない状態だ。また、気候問題に関する「ターゲット」と、現時点で入手可能な最も正確な科学データとの間にも、もはや無視できないほどの差がある。

行動、意識、時間に関するギャップは、厳然と存在しているのに無視されている最大の問題だ。私たちがこれらのギャップの解消に向けて手を打たない限り、真の変化は期待できない。また、解決策も見つからない。

さあ今こそ、「王様は裸だ」と大声で叫ぼう。今挙げたギャップに目を向けるように呼びかけて、この手記を締めくくりたい。

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