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ワクチンを1本も無駄にしない、アルカディア・システムズがキャンセル待ち希望者と余剰ワクチンのマッチングシステムを試験運用開始

医療現場で役立つITソリューションを提供するアルカディア・システムズは8月23日、新型コロナウイルスの余剰ワクチンとキャンセル待ちの接種希望者とをマッチングさせるシステム「VAMCS」(ヴァンクス)を開発し、8月中に複数施設での試験運用、また9月には全国展開をはかる予定と発表した。

新型コロナワクチンの不足が続いている。一部には突然の予約キャンセルなどで余ったワクチンをキャンセル待ちの人に融通する措置を講じているクリニックなどもあるが、それには電話連絡や待機者のリスト管理などの業務負担が大きく、実施したくてもできない施設があるとアルカディア・システムズは言う。そこで同社は、ワクチンの簡単な余剰登録をするだけで、メールで自動マッチングをするVANCSを協力施設の指導の下開発した。

キャンセル待ち希望者は、1人で5件まで医療施設に登録でき、医療施設でワクチンの余剰が発生すると順番にメールが自動送信される。医療機関に来訪できる人とマッチングできるまで、15分ごとに次の人へ順番が回され、連絡が行くという仕組みだ。ワクチンは希釈後6時間で利用できなくなるため、すぐに応諾できる方をマッチングできるようにしている。希望者は、有効期限内(メール到着から15分以内)にシステムに応諾の入力をすることで接種予約が完了する。

医療施設の側では、希釈時間、受付終了時間、ワクチン種類、余剰数(シリンジ単位)を入力するだけで、マッチングが開始される。

8月17日の時点で、試験運用に参加している施設は以下のとおり。

  • 福岡東ほばしらクリニック(福岡県福岡市)
  • 岸辺くすのき透析クリニック(大阪府吹田市)
  • 横田クリニック(大阪府大阪市)
  • 下地診療所(沖縄県宮古島市)
  • 大正くすのきクリニック(大阪府大阪市)
  • 一般財団法人 医療情報健康財団(福岡県福岡市)
  • 中馬病院(兵庫県尼崎市)

また現在、試験運用に参加を希望する医療施設を募集している。試験運用に応じた施設には、システムが無償で提供される。9月中予定の本格運用に移ると、医療施設には月額2000円(税抜)の経費がかかるが、試験運用の参加施設は9月以降も無償となる。

アルカディア・システムズは、「VAMCS」というネーミングにはある願いを込めているという。「Vaccines Available Matching Circle System for COVID-19」の頭字語なのだが、この中の「Circle」には、ワクチンの循環という意味のほかに、「みんなで協力して新型コロナウイルスとの闘いに打ち勝てるように」との思いも表現されているとのことだ。