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断熱とは、室内外の「熱」の移動を「断つ」こと。外は寒くても家の中は暖かく、外が暑くても家の中は涼しい。そんな春の陽気のように年中快適なマイホームをDIYで手に入れよう。今回は、DIYのポイントを建築のプロに伝授していただきました。

 

location1 窓ガラス → 二重窓で空気層を作るかガラスにシートを張る

・二重窓を作る

外気の影響を受けやすい窓の断熱は、内窓を取りつけてもともとある窓との間に空気層を作るのがもっとも効果的。木材を枠にガラスをはめ込んで一から自作してもいいが、アルミレールと中空ポリカがセットになった簡易内窓キットを使うのもおすすめ。

 

内窓キットの「エコな簡易内窓」(アクリサンデー)。フレームの色はホワイトとブラウンの2色で、サイズも豊富にある

 

窓枠の形状が特殊だったり、内窓キットのサイズが合わないときは一から自作にチャレンジしよう

 

・シートを張る

窓に直接シート状の透明フィルムを張るパターン。もっとも手軽に窓の断熱ができるが、デコボコした意匠性の高いものや、ワイヤー入りのガラスには使えないこともあるので注意しておこう。

 

窓に張るだけで二重ガラスの構造が作れる透明フィルム。断熱に加え、紫外線をカットしてくれる効果も。シールタイプと水に濡らして張るタイプがある

 

プチプチ(気泡緩衝材)のような構造をしたシートもある。細かい空気層があるため、断熱性が高い。張りつけ後は外の景色が見えなくなるので、すりガラスなどに最適

 

location2 壁 → 断熱材を入れて放射熱をコントロールする

・充てん断熱工法

柱や梁の間に断熱材を詰めていく工法。建物を建てたあとからでも施工がしやすい。ただ、スジカイが入った壁や配線が通った部分などはすき間ができやすく、しっかり詰め込まないと断熱効果が得られないだけでなく内部結露
の原因にもなるので注意が必要だ。資材はグラスウールやロックウールといった繊維系断熱材、吹きつけによる発泡ウレタンフォームなどがよく使われる。

 

・外張り断熱工法

柱や梁の外側から断熱材で覆っていく工法。配線などの障害物の影響を受けないのですき間ができにくい、結露しにくいというメリットがある。その反面、充てん工法よりもコストがかかる。資材は発泡スチロール(EPS)、スタイロフォーム、ネオマファームといった発泡プラスチック系断熱材がよく使われる。

 

DIYで使われる主な断熱資材

・グラスウール

溶かしたガラスを細く綿状に加工した繊維系断熱材。繊維系断熱材のなかでも比較的価格が安く、断熱性も高い。袋詰めされたタイプならそのままの状態で詰め込むことができ、軽いため施工しやすいのも特長

 

・スタイロフォーム

一般名称は押出法ポリスチレンフォームと呼ばれる、発泡プラスチック系断熱材。熱伝導率が非常に小さく、断熱性が高い。ホームセンターでも入手しやすく、発泡スチロールの一種なので加工もしやすいのがうれしい

 

・防風 防湿透水シート

壁用の防水紙。壁内の湿気を屋外に出し、結露を防ぐ効果があるので、湿気に弱い繊維系断熱材と併用して使いたい。また、風の流入を防ぐ効果もあるので断熱性もアップする

 

断熱DIYお役立ちアイテム

 

location3 建具のすき間 → すき間テープを使って外気の侵入を防ぐ

・窓のサッシに張る
ポイントは窓枠の横や、引き違い窓の中央部分(縦桟が重なる場所)。このわずかなすき間から冷気が入ってくるのを防ぎたい。テープの素材はポリウレタンフォームタイプ、モヘアタイプなどが主流。内窓を設置するスペースがないというときに有効な方法だ。

弾力性に富んだ毛足がついたモヘアタイプのシールを、引き違い窓の中央に張った例。不均等なすき間もバランスよくふさいでくれる

 

・ドアの下部に張る
冷気の侵入経路としてよくあるのが、ドアと床のすき間。家によっては、かなりのすき間があいているのでチェックしておきたい。テープの素材は弾力性のあるゴム、ドア下端にはめ込むモール材などが主流。

ゴム(アクリル系エラストマー)を両面テープでドアの下端に張った例。弾力性があるので床にこすれても傷がつかない

 

location4 天井・床 → 断熱材を入れて熱の上昇気流をなくそう

足もとから冷たい空気を入れない&暖かい空気を天井から逃がさない
暖かい空気は上昇する性質がある。床と天井の断熱性が低いと、足もとはいつまで経っても寒く、暖かい空気は天
井から抜けてなかなか室内に留まってくれない。熱の上昇気流を抑えることで、部屋全体を快適な温度に保ちやすくなる。

屋根の野地板の裏側、垂木の間にグラスウールを詰め込んで天井断熱を施した例。梁がある構造の建物なら、天井裏に断熱材を敷き詰めるだけでも効果がある

 

古い家屋の場合、畳下の床下地が古くなって、すき間ができてしまっていることがあるのでェックしておきたい。ここに防水透湿シート、アルミシート(または薄いスタイロフォームなど)を敷けば、冷気の侵入が防げる

 

河野 直 Nao Kouno

設計事務所「つみき設計施工社」代表。施主参加型の家づくりを提案し、定期的に道具の使い方ワークショップを開催。DIYマインドを持った建築家。http://tsumiki.main.jp/

 

*掲載データは2019年12月時のものです。

イラスト◎丸山孝広