日銀は、2%の物価安定目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで大規模な金融緩和を継続するとしています。
第2次安倍内閣の発足を受け2013年に就任した日銀の黒田総裁は、デフレからの脱却のため、2%の物価上昇率の目標を掲げて大規模な金融緩和に踏み切りました。
国債の買い入れを増やして市場に大量の資金を供給し、さらに複数の株式をまとめてつくるETF=上場投資信託の買い入れなども進めた結果、金融市場では円安・株高が一気に進みました。
しかし、当初は2年程度で実現するとしていた2%の物価目標は達成できず、2016年1月、日銀は金融機関から預かっている当座預金の一部にマイナス金利を適用する「マイナス金利政策」を導入し、いっそうの金融緩和に踏み切りました。
続いて、その8か月後には、短期金利はマイナスにしたうえで、長期金利をゼロ%程度に抑える金融政策に変更。さらに、去年3月に新型コロナウイルスの影響を受けた経済を支えるため、国債やETFなどの買い入れを一段と強化するなど、2%の物価目標を掲げた金融緩和が続いています。
この8年余りに及ぶ大規模な金融緩和で、さまざまな「副作用」も指摘されています。マイナス金利政策の影響で、企業などへの融資でのいわゆる「利ざや」が縮小し、金融機関の収益が圧迫されています。
また、日銀が保有する国債の残高はことし6月末時点で540兆円と全体の44%を占めるまでになっています。
日銀が大規模に国債を買い入れることで国の財政規律が失われるという批判も出ています。さらに、保有するETFの額はことし3月末時点で、51兆円余りと、東証1部に上場する株式の時価総額のおよそ7%に上り、市場の価格形成をゆがめているという指摘もあります。