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 自民党総裁選が佳境に入る中、菅首相は23日夕、米ワシントンへと最後の外遊に出発した。

 「新型コロナウイルスの新規感染者数は大幅に減少している。こうしたことは継続が大事で、さらに収束に向かって進めてほしい」

 首相は青空が広がる羽田空港で記者団にこう語り、総裁選に出馬した河野太郎行政・規制改革相にエールを送った。

 首相は17日に河野氏支持を表明して以降も、総裁選で表立った活動を控えている。ただ、自ら団体幹部に支援を働きかけるなど、水面下で積極的に動いてきた。河野陣営関係者からは定期的に情勢報告を受け、「河野は伸びしろが大きい」と発破をかけている。

 退陣間際の外遊を巡っては、「卒業旅行」(安住淳・立憲民主党国会対策委員長)などと批判が多い。それでも首相が訪米に踏み切ったことについて、首相周辺は「首相にはようやく成果が出てきたコロナ対策に加え、良好な対米関係を河野氏に引き継ぐ狙いがある」と解説する。

 4月の初訪米時、首相は同じ地方議員出身のバイデン大統領と意気投合し、「ジョー」「ヨシ」と呼び合う関係になった。今回、バイデン氏が「ぜひ、ヨシが在任中にもう一度会いたい」との意向を伝えてきたことも再訪米に向けて首相の背中を押した。

 首相の思いは混戦の総裁選にどのような影響を与えるのか。政府高官は「首相は首脳外交の合間に総裁選の行方も気にかけねばならず、忙しい外遊になる」と語った。