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産経新聞


 利用者が急増する電動キックボードを巡り、警察庁が、運転免許を不要とする道路交通法の改正を検討していることが12月23日、分かった。16歳未満の運転は禁止し、最高時速は20kmと想定。ヘルメット着用は努力義務とするという。また特定の条件下で無人の車を操作する「レベル4」相当のサービス実現に向け、事業者らを許可制とするなどの環境を整備する。警察庁はこれらを盛り込んだ道交法改正案を検討し、2022年の通常国会での提出を目指す。

 現行法で電動キックボードは、原付きバイクと同じ扱いで、原則として走行できるのは車道だけ。運転免許証が必要で、ヘルメットの着用やナンバープレートの装着なども求められる。

 検討する試案では、自転車と同様の交通ルールを求める。最高時速は自転車程度の20kmに規制され、ヘルメット着用は努力義務。運転免許は不要だが、16歳未満の運転は禁止され、引き続きナンバープレートの装着や自賠責保険の加入は必要となる。通行は原則車道だが、自転車専用通行帯なども可能。最高時速を6kmまでに制限するなどの条件を満たすと歩道での走行もできる。

 電動キックボードは利用者の急増とともに事故が相次いでおり、警視庁や大阪府警は、歩道走行や信号無視といった違反者に対し、交通反則切符(青切符)を交付する運用を始めている。

 試案でも、違反者には青切符を交付でき、違反を繰り返す場合は講習の受講を義務付ける。また、販売業者やシェアリング業者に対し、利用者への交通安全教育を行う努力義務も課す。

 一方、自動運転については、レベル4相当の事業者らを、都道府県公安委員会が審査し、許可制とすることも盛り込む。対象は廃線路などの限定地域で客を乗せるサービス。これまで一部地域で遠隔監視と遠隔操作で実施されてきたが、遠隔監視のみで運転者は置かない。こうした特定の条件下における完全自動運転の「レベル4」のサービスを22年度ごろに実現を目指すという。

 警察庁は自動運転や新たなモビリティー(乗り物)の在り方を検討してきた有識者の委員会が23日にまとめた最終報告書を踏まえてこれらの道路交通法改正案を検討する。