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産経新聞


 【ワシントン=塩原永久】米財務省は21日、ロシアとチェコに拠点を置く暗号資産(仮想通貨)交換業者「SUEX」に制裁を科すと発表した。ハッカーが企業などから「身代金」を奪う際の不法な資金取引に利用されていると分析。サイバー攻撃の抑止策として初めて仮想通貨業者を制裁対象に指定した。

 米最大級のパイプラインの運営会社が2021年5月、身代金奪取に使うコンピューターウイルス「ランサムウェア」によるサイバー攻撃を受けるなど、ハッキングの被害が深刻化している。

 取引履歴を隠蔽(いんぺい)しやすい仮想通貨が身代金のやり取りに用いられるケースが多く、同省が把握したSUEXの取引の約4割にハッカーらの不法集団が絡んでいたという。

 イエレン米財務長官は声明で「米企業を食い物にするランサムウエアは経済への直接的な脅威だ。厳重に取り締まる」と強調した。

 制裁によりSUEXの在米資産は凍結。米国民は取引が禁止される。外国金融機関もSUEXとの取引で米国事業が制裁措置の対象となる可能性がある。

 バイデン米政権は外国からのサイバー攻撃防止を優先課題と位置づけ、省庁横断で対策を強化している。標的にされた企業などが身代金を支払えば攻撃を助長しかねないとして、安易な支払いを問題視している。