もっと詳しく

日本全国にホテルを展開する東急は、定額制回遊型住み替えサービス「TsugiTsugi(ツギツギ)」の第2弾の募集を開始しました。これは2021年4月に先行体験として実施した同サービスを大幅にバージョンアップしたものです。同社は11月16日、その概要説明会を羽田エクセルホテル東急にて開催しました。

↑羽田エクセルホテル東急で開かれた定額制回遊型住み替えサービス「TsugiTsugi」の発表会

 

このサービスは都市型とリゾート型のホテルを次々と自由に泊まり、「旅するような暮らし」を目指す、言わば東急が提供するホテルのサブスク型利用プランです。東急グループではビジネス系ホテルからリゾート系ホテルを揃え、その範囲は北は北海道から南は沖縄県まで全国規模に及びます。まさに数多くのホテルを抱える東急グループだから実現できた企画と言ってもいいでしょう。

 

このプランが登場した背景にはコロナ禍でテレワークやワーケーションを採用する企業が増えてきたことがあります。オンラインで済む仕事であれば、職場から遠く離れた場所にいても支障はありません。郊外に住宅を求める人が増えているのもその考え方を反映したものと言えます。

↑TsugiTsugi利用者は「仕事しながらすぐ隣でリゾートできるので、今までとは違った刺激のある日々を送れている」と話した

 

アイデアは5年前に社内起業家育成制度で生まれた

その一方でホテルの稼働率はコロナ禍で一気に下がりました。そうした中、稼働率を少しでも上げるための策としてこのプランは誕生したのです。実はこのアイデアは過去に募集した社内起業家育成制度で提案されていました。アイデアを出したのは東急 ホスピタリティ事業部 アコモデーション戦略グループ 課長補佐の川元一峰氏。

↑定額制回遊型住み替えサービス「TsugiTsugi」について説明する東急 ホスピタリティ事業部 アコモデーション戦略グループ 課長補佐の川元一峰氏

 

川元氏によれば、「2016年に実施された税制改正で通勤手当非課税の上限が15万円に拡大し、その枠内でどこまで行けるか調べると長野県上田市でした。開通したばかりの北陸新幹線にはWi-Fiや電源が完備されており、これなら通勤途中でも新幹線内で十分仕事ができるかもしれない」と考えたのがきっかけだったそうです。

 

つまり、この通勤手当を活用してホテル利用の拡大につなげようとしたんですね。しかし、「当時はテレワークという言葉も普及しておらず、事業としては保留のままとなってしまった」そうです。そして、コロナ禍となった今、そのアイデアは見事復活を果たし、TsugiTsugiとしてサービスを展開する運びとなったわけです。

 

まず第1弾として2021年4月に先行体験として定員100名を募集したところ、9倍を超える応募があり、利用者の満足度も88%に上る高い評価を獲得しました。川元氏はこれに「しっかりとした手応えを感じた」とのことです。ただ、予約サイトの操作性や予約できるホテルが都市部に集中したことや、さらには移動に伴う費用で負担感を感じる人が多かったなど改善すべき点も多々見つかりました。

↑スタンダードルーム。ゆったりとくつろげる空間になっています

 

要望に応えて180泊/90泊/30泊の長期プランを用意

そこで今回は提携会社を加えることでサービスの価値をさらに引き上げることにしました。これについて川元氏は「今回提供する第2弾は先行体験していただいたお客様の実体験を踏まえてバージョンアップしたもの。多くの企業に参画していただきましたが、根底にはライフスタイルの多様化に対応することがあり、企業もそれに寄り添う必要性を感じていると思う」と述べました。

↑「旅するように暮らす。もっと自由に、簡単に」がTsugiTsugiのコンセプト

 

中でも先行体験で要望が多かったのが長期利用プランでした。そこで第2弾では長期宿泊プランとして180泊と90泊、気軽に利用できる30泊プランを用意。それぞれに「スタンダード」とより+αの楽しみ方ができる「Enjoy+(エンジョイプラス)」もラインナップに加えました。一方で、先行体験で多くの人に好評だった、同伴者1名まで無料になるサービスは継続しています。

↑「Enjoy+」ではANA国際線ファーストクラスシートを置いた部屋も予約できる

 

↑このシートは2012年までANA国際線ファーストクラスで実際に使用していたもの

 

また、対象ホテルを従来の39拠点から78拠点へと倍増して利用チャンスを拡大したことも見逃せません。その中には都市型ホテルであるエクセルホテル東急や東急REIホテルに加え、スノーリゾート地にある「ホテルタングラム」や長期滞在向けホテル「東急ステイ新宿イーストサイド」を用意したほか、今回はテーマパークホテルの「ザ パーク フロント ホテル アット ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」まで加えているのです。

↑東急のネットワークをフル活用し、利用できるホテルは従来の39施設から78施設に倍増。エリアも拡大し、様々なステイスタイルを叶えるバリエーション豊富なラインナップを用意

 

↑例えば羽田エクセルホテル東急に泊まっていれば、同じターミナルのANAで遠方までもひとっ飛び

 

↑ANAのチェックインマシンで搭乗手続きもアッという間

 

利便性アップを目指して様々な企業と提携

移動に対する負担感については、ANAや個人間カーシェアリング「Anyca(エニカ)」と提携することで解決を図っています。全プランでANA航空券や旅行商品の購入でANA SKYコインを特典として提供し、それは10コイン=10円として利用できます。また、Anycaでは利用料が20%OFFとなるクーポンを付与することにしたのです。

↑TsugiTsugiの第2弾はサービス内容を大幅に拡充し、“もっと自由な”旅するような暮らし方を目指す

 

見逃せないのはEnjoy+を申し込むと、ANA SKYコインの増額に加え、全国の東急ホテルズで使えるギフトカード2万円分を30泊ごとに受け取ることができることです。これらを活用することで移動費用や滞在費をさらに抑えられるというわけです。

 

長期宿泊となると、当初は不要と思っていたモノが想定外に必要になることも少なくありません。そこで荷物の取り回しとして宅配型トランクルームを展開する「サマリーポケット」と提携。さらに東急ホテルズでは届いた荷物を数日間預かることにしました。また、チェックインまでのすきま時間に仕事をする場所が欲しいという要望には、「カラオケ館」の個室利用でいつでも利用料金20%オフで使えるクーポンを付与することにしたのです。

↑サマリーポケットではあらかじめ預けておいた荷物をいつでも宿泊先に届けてくれる

 

↑サマリーポケットから届いた荷物は、東急ホテル側が数日間預かり受け取ることも可能

 

気になる料金は?

第2弾の募集は400名限定で、専用ウェブサイトから11月22日の12時より開始します。気になる料金は、180泊プランが「スタンダード」で30泊あたり22万円(特典:1万コイン)、「Enjoy+」が26万円(同:5万コイン)。90泊プランは30泊あたり「スタンダード」が22万5000円(同:7500コイン」、「Enjoy+」が26万5000円(同:4万7500コイン)、30泊プランは「スタンダード」が23万円(同:5000コイン)、「Enjoy+」が27万円(同:4万5000コイン)。なお、「Enjoy+」を選ぶとすべてのプランに東急ホテルズギフトカード2万円分が追加される予定です。

↑第2弾ではプランを180泊/90泊/30泊の3つから選択。「Enjoy+」だと2万円分のギフトカードがもらえる

 

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】