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Facebookが再度苦しい立場に追い込まれる。

ウォール・ストリート・ジャーナルは先にFacebookに関する複数パートからなるシリーズ記事を発表した。この記事では、著名人をホワイトリストに登録して水面下で特別扱いする同社の慣行から、Instagramが10代の少女の精神衛生に重大な打撃を与えることをFacebookが把握していた、といったことまで、内部文書から得られた内容が報告されている。

相次ぐ調査記事により、Facebookがすでに指摘されていた問題について表向きに口にしてきた言葉と、裏で同社が実際に把握していたこととが、必ずしも一致していないことが明らかになった。Facebookは何年にもわたって自ら種を蒔いてきたさまざまな社会的病気について素知らぬふりをしてきたわけだが、それでも今回発表された記事は衝撃を与えた。Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏がFacebookが2016年の選挙に影響を与えたという考えを「ばかばかしい」として否定したことを覚えておられるだろうか?Facebookが長いこと取ってきたPR戦略は、仮に調査によって問題が社内で明るみに出ていても、その危険性を隠し、社会への負の影響を把握していることを表向きには否定する、というやり方である。

このやり方は、誰かが内部調査報告書を入手するまではまったく問題なかったかもしれない。

WSJのレポートで明らかになった重大な問題の1つは、 Instagramが10代の少女たちの精神衛生に重大な危険を及ぼしていることをFacebookが把握していたことである。2019年の内部調査結果を報告するスライドには「我々は、3人に1人の割合で10代の少女の身体イメージに関する問題を悪化させている」と書かれていた。同社は現在、さらに年若く影響を受けやすい年齢層にもサービスを拡大する計画 を立てており、こうした事実を知っていたことは衝撃的である。

ついこの間の5月、InstagramのAdam Mosseri(アダム・モセリ)氏は、同アプリが10代のユーザーに与えるマイナスの影響について「ごくわずかである」として、懸念を否定したばかりである。

しかし、内部で把握していたことは、これとは異なるようである。WSJによると、2019年から2021年まで、同社はオンライン調査、日記研究、フォーカスグループ、大規模なアンケート調査などを通し、10代の若者の精神衛生について徹底的な調査を実施した。

ある内部スライドによると、この調査で、10代の少女の32%がInstagramによってマイナスの身体イメージを植え付けられたと報告していることがわかった。自殺念慮を持ったことのある調査参加者のうち、英国の10代の若者の13%、および米国の10代の若者の6%が、自殺への関心を直接Instagramと結びつけていた。

別の内部スライドには次のような記載があった。「10代の若者は、不安やうつ症状の増加に関しInstagramに原因があるとしている。この反応は自発的なもので、すべてのグループ層で同じ傾向が見られた」。

WSJのレポートを受け、Marsha Blackburn(マーシャ・ブラックバーン、共和党・テネシー州選出)上院議員およびRichard Blumenthal(リチャード・ブルメンタル、民主党・コネチカット州選出)上院議員が、Facebookについて、Instagramが10代の若者に与える深刻で致命的な危険について示した内部調査に対する同社の対応が透明性に欠けるとして、調査を実施することを発表した。上院の消費者保護・製品の安全・およびデータセキュリティ小委員会が調査を近々開始する。

「私達は、Facebookの内部告発者と連絡を取り合っており、Facebookがどのようなことをいつ頃知ったかについて、さらに詳しい文書を探すことや証人喚問も含め、あらゆるリソースを使って調査します。ウォール・ストリート・ジャーナルの衝撃的なレポートは氷山の一角に過ぎない可能性があります」と、ブラックバーン、ブルメンタル両上院議員は書いている。

ブラックバーン氏とブルメンタル氏だけがこのレポートに危機感を覚えた米国議員ではない。Ed Markey(エド・マーキー、民主党・マサチューセッツ州選出)上院議員、Kathy Castor(キャシー・カスター、民主党・フロリダ州選出)下院議員、Lori Trahan(ロリ・トゥラハン、民主党・マサチューセッツ州選出)下院議員もFacebookに別途書簡を送り、子ども向けのInstagramの立ち上げ計画を思いとどまるよう要求した。この書簡の中で「子どもと10代の若者は、オンラインによる害を特に受けやすい層であり、さまざまな知見により、Instagramが若者の心身の健康に著しい脅威をもたらすアプリであることを明確に衝撃的な形で示している」と彼らは述べている。

5月、44名の州検事総長が連名で書簡を送り、13歳未満の子どもにInstagramを提供する計画を放棄するよう同社に働きかけた。「Facebookはニーズに応えているのではないように見えるが、実はニーズを作り出しているのである。このプラットフォームは主にそれが存在しなければInstagramアカウントを持たない、または持たないであろう年齢層の子ども向けのものだからである」。と州検事総長らは書き、子ども向けInstagramは「有害だとする理由が数え切れないほどある」と警告している。

4月には、民主党の議員がやはり連名でInstagramが若年層のユーザーの心身の健康に与える影響について「深刻な懸念を」表明したほか、消費者擁護団体連合も子ども向けInstagramの立ち上げを再考するよう同社に要求している。

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WSJが入手した文書をもとに考えると、これらの懸念はすべて非常に妥当に思われる。広範な内部調査を実施しそこから重大な問題があることを把握していたにも関わらず、また規制当局が同社に対し何を実際に把握しているか知らせるよう定期的に求めていたにも関わらず、Facebookは表向き同社が持っている知識を過小に見せてきた。

Instagramのモセリ氏が先に、ソーシャルメディアと自動車についてしゃれにならない比較をしたことで、事態はさらに悪化したのではないかと思われる。モセリ氏はRecodeのポッドキャストでPeter Kafka(ピーター・カフカ)氏に「自動車があるために事故で亡くなる方がいますが、おしなべて考えれば、自動車はそうしたマイナスの要素よりもずっと大きな価値を世界にもたらしています。私はソーシャルメディアもこれに似ていると思います」と述べたのだ。

モセリ氏は、ソーシャルメディアの中毒性が十分な調査によって判明しているにもかかわらず、ソーシャルメディアと薬物、またはタバコとの類似性を否定し、かわりにソーシャルプラットフォームと自動車産業とを結びつけた。当然のことながら、同社を批判している人々はこの発言に飛びつき、ソーシャルメディアと死との関連性、および自動車産業はソーシャルメディアと異なり厳しい規制を受けているという事実を指摘した。

画像クレジット:Rafael Henrique/SOPA Images/LightRocket / Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Dragonfly)