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TEXT BY 真野 彩

■絢爛豪華なステージが続々!韓国アワード事情

2021年のK-POP界で活躍したアーティストのパフォーマンスを一気に楽しめるのが、年末年始に行われるアワードや歌謡祭だ。

開催情報をもとに作成

すでに開催を終えた、『2021 THE FACT MUSIC AWARDS』(TMA/10月2日開催)、『ASIA ARTIST AWARDS 2021』(AAA/12月2日開催)、『MELON MUSIC AWARDS 2021』(MMA/12月4日開催)、『2021 Mnet ASIAN MUSIC AWARDS』(MAMA/12月11日開催)、4つのアワードをもとに、今年のK-POPシーンの動向を追っていく。

■他の追随を許さない、2021年も大活躍だったBTS

まずは、2021年も他を寄せつけない人気で、コロナ禍で沈むエンターテインメントを大いに盛り上げたBTS。4つのアワードで7つの大賞と13の賞(※1)を獲得。

しかし、今年は10月に行われたTMA以降、BTSが長期休暇期間へと入ったため、各アワードへの出演はなかった。どのステージでも自身の世界観で魅了する彼らの姿がアワードにないというのは寂しいものだが、そのぶんあらたなグループの芽吹きを感じられ、ワールドワイドに活躍するK-POPの層の厚みを実感する良い機会でもあった。

■K-POPの“層の厚さ”を感じた、第4世代の台頭

特に、今回アワードで多くの賞を受賞したのがITZYやTOMORROW X TOGETHER、THE BOYZ 、ATEEZ、Stray Kids、TREASURE、aespa、STAYCといった“第4世代”と言われる若いアイドルである。

そのなかでも、aespaは新人賞を総なめにし、MMAでは大賞である「今年のレコード賞」を獲得。今年もっとも躍進したグループと言えるだろう。

そんな彼女たちが「ファンの前で賞をもらうのは初めてです」とコメントしていたように、特に2019年以降にデビューしたアーティストは、コロナの影響で、直接聴衆の前に立つ機会が少なかった。

すでに個性際立つステージを見せてくれる彼ら・彼女たちが、コロナ収束後に“画面の向こう”ではなく、“目の前のファンに向けた”パフォーマンスを積み重ねると、さらに魅力を花開かせるだろう。その時、誰がBTSやBLACKPINKと肩を並べる人気グループへと成長するのか、2022年も目が離せない。

■キャリアを重ね、円熟期に突入したアーティストの躍進

そして、もう少し上の世代に目を向けると、SEVENTEEN、NCT、ASTROらがおり、彼らのパフォーマンスは円熟味を感じさせるものだった。

日本ではついBTSだけに目が向けられてしまうが、2021年のK-POP界には実力・ビジュアルを兼ね備えたグループがひしめき合っていたことがよくわかる。

そんなアイドルグループが活躍するなかで、アルバム『LILAC』 で音源1位を獲得したIUがMMAの「今年のアルバム賞」と「今年のアーティスト賞」を始め、5つの賞を獲得。韓国の音楽シーンではダンスグループだけではなく、情感たっぷりに歌を聴かせるアーティストが広い支持を得ているのだと痛感した。

また、忘れてならないのがBrave Girlsの大躍進だろう。彼女たちは、2017年に発表した「Rollin’」の軍隊慰問先でのパフォーマンス動画がYouTubeでバズったことをきっかけに、2021年チャートを一気に駆け上がった。ポップでキャッチーなメロディは、コロナ禍に沈みがちな人々の心を明るくする効果があったのかもしれない。

■Wanna One再集結!オーディション出身者の活躍ぶり

今年のアワードで多くのK-POPファンが待ち侘びていたのが、MAMAでのWanna One再結集ではないだろうか。

2019年の解散以降、約3年ぶりのステージだ。それぞれのメンバーがソロ、新しいグループなど別々の場所で積み重ねてきたものと、以前と変わらないメンバーの関係性とが合わさって作り出されたパフォーマンスに、涙したファンも多かったように思う。

さらに、今年は彼らのようにオーディション番組出身のアーティストがアワード受賞者の多くを占めていることに気づく。

Wanna Oneを生み出した番組の日本版『Produce 101 JAPAN』から生まれ、MAMAに登場したJO1(Best Asian Artist JAPAN賞)とINI(Favorite Asian Artist賞)に、「Worldwide Fans’ Choice TOP 10」を獲得したTREASURE、今年新人賞を数多く手にしているENHYPEN。AAAでは「今年のパフォーマンス賞」を受賞したStray Kids、MMAで「ベストソロ(男性部門)」を獲得したトロット歌手のイム・ヨンウンや、同じくMMAで「今年の新人賞(男性部門)」「ベストOST賞」をとったシンガーソングライターのイ・ムジンもサバイバル番組出身者である。

来年以降もこの流れが続くのか、気になるところだ。

■ITZYが『イカゲーム』ホ・ソンテとコラボ

個人的に強く記憶に残ったのは、MAMAでのITZYのステージだ。

全世界で人気を博するドラマ『イカゲーム』に出演する、俳優ホ・ソンテとのコラボレーションは、ハードボイルド映画の世界観とパフォーマンスが一体となっており、クールかつ迫力に満ちていた。YouTubeにアップされたこのステージの動画再生回数は、792万回(12月24日現在)と他のMAMAの動画と比べ群を抜いていて、多くの人にインパクトを与えたことがわかる。

このステージのように、授賞式一回のステージのためだけに映像・セットを作り込むクリエイティブ力と資金力、音楽でも映像作品でも世界中に知られたコンテンツを持っているという韓国エンタメの勢いをこういったところからも感じる。

■まだまだ続く!ここでしか観ることができないステージ

年の瀬には、地上波テレビ局の歌謡祭でグループを超えたコラボレーションや別のアーティストのカバーなど、豪華なステージも予定されており、年始のアワードもまだ3つ残っている。

それに加え、昨年に続き大手事務所が自社アーティストだけで年末年始に音楽イベントを開催。

12月31日HYBEカウントダウンライブ『2022 Weverse Con [New Era]』、1月1日 にはSMエンターテインメントの『SMTOWN LIVE 2022: SMCU EXPRESS@KWANGYA』。どちらも事務所の威信をかけたものになることが予想されるので、こちらも期待が高まる。

韓国のアワード、音楽祭でのパフォーマンスは、世界中で同時生中継されているため、「世界中の人に見てほしい」というアーティストの気迫に満ちており、衣装・曲のアレンジ・パフォーマンス・セット…すべてに力が入っているので、今のK-POPを体感するのには最高の機会だ。

コロナ禍もあり家時間が長くなる年末年始、綺羅星の如きアーティストのパフォーマンスに心躍らせてみてはどうだろうか。

※1…BTS受賞内訳は以下のとおり。

【大賞】
TMA:大賞
AAA:今年の歌
MMA:今年のベストソング賞
MAMA:TikTok Artist Of The Year / TikTok Album of the Year / TikTok Song of the Year / TikTok Worldwide Icon of the Year

【賞】
TMA:今年のアーティスト賞 / リスナーズチョイス / FAN N STAR 最多得票賞 歌手部門 / U+アイドルLive 人気賞
AAA :U+アイドルLive
MMA:ベスト男性グループ賞 / ネットユーザー賞 / MMA2021 TOP10
MAMA:TikTok Favorite Moment / Best Male Group / Best Dance Performance Male Group / Best Music Video / Worldwide Fans’ Choice TOP 10