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初心者向けのポルシェ911は19,000ユーロ(約250万円)から!

ポルシェ911の一部の古いモデルは価値が下がり、若いモデルは再び価格を持ち直している。掘り出し物に賭けるなら、ヤングタイマーの911(996)に狙いを定めるのもいいだろう。16台のクラシックポルシェ911の市場分析2021年編はこちら!

2015年以降、10年以上にわたる異常な価格上昇を経て、「ポルシェ911」の価格は軒並み急落していたのである。
これは、初代モデルを中心に、他の旧モデルシリーズにも影響を及ぼした。
長年、夢のポルシェのために貯金をしていた多くのファンが、再び希望を持つことができる状況に好転してきた。
と思ったのも、つかの間、下落は止まったようだと、旧車市場のエキスパートであるクラシックデータ社の価格統計が示唆している。
2021年12月現在、「911」のほとんどのモデルが再び値上がりしており、一部は横ばい状態となっている。

初代「911」は、価格的にはどのような位置づけなのだろうか?
まず、オリジナルの初代「911」がコンディション2で22万ユーロ(約2,860万円)というとんでもない高値は粉砕されたが、安定した13万ユーロ(約1,690万円)という価格は維持している。
1973年に発売されたダックテールの「2.7 RS」は、前年と同様、保存状態がよければ、210馬力の夢のスポーツカーとして45万ユーロ(約5,850万円)という値が付いている。
「2.7 RS」は、2015年の時点でも59万ユーロ(約7,670万円)という値段が付いていた。

911カレラ2.7 RSツーリングの最近の評価は?

しかし、若いモデルへの需要は再び高まっているようだ。
「人々は今、ショックから抜け出している」と、クラシックデータ社のマリウス ブルーネ氏は言う。
これまで高い評価を得ていたモデルの価格は、ピーク時に比べてまだ大幅に低下しているものの、より手頃な価格帯のセグメントはかなり安定したままだ。
ブルーネは、「これは今、新しい客層が来ている」と指摘する。
主に若い客が、最初の水冷式「911」だけでなく、初代ボクスター(1996年~)にも興味を示しているというのだ。

911カレラRS 2.7(1972-73年): かつて70万~90万ユーロ(約9,100万円~1億1,700万円)と言われた価格の夢は打ち砕かれた。
Photo: Scott Pattenden ©2018 Courtesy of RM Sotheby’s

964の価格設定について

一方、富裕層のファンにとっては、ゼロ金利政策の継続もあり、クラシックカーはまだまだ投資対象として魅力的に映るようだ。
その中で、カントリーロードでも楽しめる高貴なポルシェが自然とクローズアップされつつある。
これも、「Gシリーズ」の価格が再び上昇傾向にある理由のひとつだ。
1990年代前半の「964型」は、少なくとも安定した価値を保っている。
一方、コレクターズコンディションの「964 RS」は再び値下がりした。
2020年にはマイナス2万1,000ユーロ(約273万円)、2021年には3万4,000ユーロ(約442万円)も急落し、現在は12万ユーロ(約1,560万円)となっている。

2年間で629%の価値向上。959は、市場が合理的に機能していないことを印象的に示している。
Photo: Roman Raetzke

Gモデルが晴れて勝利者となった理由

総合的に見て、ポルシェのプライスラリーのチャンピオンに輝いたのは、1973年から89年まで製造された「Gモデル」である。
例えば、コンディション2の「カレラ3.2」は、現在、2020年よりも3,400ユーロ(約4万円)高い54,000ユーロ(約702万円)だ。
カブリオレはさらに約2,000ユーロ(約26万円)高くなる。
180馬力の「SC」としても、Gモデルは1,000ユーロ(約13万円)の微増である。
「SC」モデルは1977年に「911」と「911カレラ」のバリエーションに取って代わったため、しばらくは唯一のモデルとして提供され、1980年代のカレラに再び取って代わられるまでは204馬力にまで達していたのである。

エントリーモデルである「ポルシェ996」の最近の価格

エントリーモデルは「996」は、コンディション3でも、現在も19,100ユーロ(約248万円)前後で推移している。
評判の良い目玉焼きのデザインを好む方に。
今がチャンスだ。
高品質の911がこれ以上安くなることはまずないだろう。
一方、その前身である最後の空冷「911ターボ」は、値段が固定しつつあるようで、1995年から98年に製造された408馬力のトップモデルは、2021年のコンディション2でも12万ユーロ(約1,560万円)で、5,000ユーロ(約65万円)の値下がりとなった。

1990年代前半に製造されたポルシェ911タイプ964は、昨年は比較的安定した価格で推移している。
Photo: Bonhams

希少価値が高いほど需要が高まる「911」の先見性

今後の展開としては、希少な宝石であればあるほど需要が高まる。
少なくともツッフェンハウゼン産のものであれば。
例えば、1993年に作られた300馬力を発揮する「RS 3.8」は、少量生産されただけで、現在でもその恩恵を受けている。
コンディション2の場合、2021年には約92万ユーロ(約1億1,960万円)という価格が付いていた。
また、「スピードスター」についても、中期的には上昇トレンドが期待できる。
2007年当時、231馬力の「G型」は5万4,000ユーロ(約700万円)で販売されていた(コンディション2)。
5年前は17万5,000ユーロ(約2,275万円)という高値を付けたが、スピードスターは今でも13万ユーロ(約1,690万円)の価値がある。
ここでも、「911」の市場は独自の法則を持っている。

以下、クラシックなポルシェ911の相場をご紹介:

Photo: Angelika Emmerling
ポルシェ911クーペ(1965~1966): 下降&停滞傾向。「ポルシェ911」の市場減速はやや緩和され、エルファーは価格が安定した。クラシック「911」ブームも2017年にピークを迎えた。現在、1965/66年製の「ナロー911クーペ」は、コンディション2で約13万ユーロ(約1,690万円)、コンディション3でも11万5,000ユーロ(約1,495万円)と、4割も価値が下がっている。
Photo: Roman Raetzke
ポルシェ912(1968~1969): 下降状態。もしあなたが高性能を重視せず、初期の「911」のフォルムに憧れているなら、自動的に「912」に出会うだろう。最初は安価で、その後6気筒の兄弟をトップに持って行き、今は再び下り坂だ。2013年にはまだ23,200ユーロ(約300万円)の価値があり、90馬力の4気筒ポルシェの保存状態の良い個体は、2020年には51,000ユーロ(約663万円)程度であった。しかし、2021年には、49,000ユーロ(約637万円)にまで値下がりしている(コンディション2)。コンディション3の場合でも、購入者は約34,000ユーロ(約442万円)という価格となっている。
Photo: Werk
ポルシェ911 T(1967~1968): 下降状態。2011年から2015年にかけて、「ポルシェ911 T」の価格は大きく上昇し、13万ユーロ(約1,690万円)前後に落ち着いていたが、今回の市場分析では、コンディション2の個体で85,100ユーロ(約1,106万円)まで価格曲線が下がった(コンディション3: 63,400ユーロ=約824万円)。
Photo: Toni Bader
ポルシェ911カレラRS 2.7(1972~73): 下降&停滞傾向。スポーツ「911」で最も有名なのは「カレラRS 2.7」である。1,308台のツーリングと217台のスパルタンな装備と100kgの軽量化を実現したスポーツバージョンが生産された。「ダックテールを備えたカレラ」は、過去5年間の大敗北者の一台ある。50~90万ユーロ(約6,500~1億1,700万円)の夢は打ち砕かれたのである。今は底を打ったようで、高値で停滞している。現在(2021年末)、コンディション2の「RS 2.7」は45万ユーロ(約5,850万円)で取り引きされている(コンディション3: 32万ユーロ=約4,160万円)。
Photo: Roman Rätzke
ポルシェ911 SCタルガ(1980~83): 勝ち組。1973年に登場した「G型」は、ウインカー一体型のベローズバンパーが特徴的だ。価格面では、1980年代の「ポルシェ911 SC」モデルが空冷911の世界への入口となる。近年の価格面での勝ち組といえば、「911 SCタルガ」だろう。1万ユーロ(約130万円)もアップして、現在では時価54,000ユーロ(約702万円)にもなっている(コンディション3: 35,600ユーロ=約462万円)。
Photo: Roman RätzkeUli Sonntag
ポルシェ911カレラ(1983~86): 下降後やや上昇傾向。1980年代前半に発売された231馬力の3.2リッター「911カレラ」は、クラシックモデルとして長く親しまれ、再び手頃な価格になりつつある。このクルマの価格は、2019年に7万7,000ユーロ(約1,000万円)といい感じで安定した後、2020年にはコンディション2でも5万4,000ユーロ(約702万円)にまで落ち込み(コンディション3は3万9000ユーロ=約507万円)、2021年には再び5万9100ユーロ(約768万円)に上昇した(コンディション2)。一方、コンディション3は、39,000ユーロのままで停滞した。
Photo: Werk
ポルシェ911ターボ3.3(1977~1988): 下降後ふたたび上昇傾向。コンディション2の「930 911ターボ3.3」は、2019年に116,000ユーロ(約1,508万円)と最も高かった。2020年の市場価値は10万7000ユーロ(約1,391万円)にまで急落した(コンディション3: 7万7,000ユーロ=約1,001万円)にまで急落したが、再び上昇し、2021年現在、コンディション2は11万5,000ユーロ(約1,495万円)、コンディション3は、7万8,000ユーロ(約1,014万円)にまで回復した。
Photo: Werk
ポルシェ959(1986~1988): 下降後ふたたび上昇傾向。この数年、80年代後半のエルファーが、市場はもはやいかなる合理的メカニズムにも従わないということを印象的に示している。2005年当時、価格はまだ下がり続けていた。2010年には、450馬力のマシンが20万ユーロ(約2,600万円)を切っていた。しかしその後、「959」は100万ユーロ(約1億3,000万円)の大台を超え、2015年には120万ユーロ(約1億5,600万円)にまで上昇した。だが2020年には再び78万ユーロ(約1億1,400万円)にまで下がり、2021年には90万ユーロ(約1億1,700万円)と、再び飛躍する傾向を見せている。ちなみに、コンディション3の個体の見積もりはない。「コンディション3の959など見たことがあるか?」とクラシックデータ社のブルーネ氏は我々に問いかける。その通りだ。
Photo: Werk
ポルシェ911スピードスター(1989): 引き続き上昇中。1989年に発売されたスモール生産シリーズの「コンバーチブル(2,102台のみ製造)」は、決して安くはなかった。希少性は需要であるため、価格は上昇を続けている。2020年にはコンディション2の個体が13万ユーロ(約1,690万円)前後(コンディション3: 8万ユーロ=約1,040万円)だったが、1年後にはすでにコンディション2で15万4,000ユーロ(約2,002万円)、コンディション3で10万2,000ユーロ(約1,326万円)となっている。
Photo: Porsche AG
ポルシェ911カレラ4(964、1989~1993): 若干上昇傾向。ピュアリスト(純粋主義者)は「カレラ4」に肩入れし、後輪駆動の「964」を好む。 現在このモデルは若干上昇傾向にあり、2020年のコンディション2の58,000ユーロ(約754万円)とコンディション3の37,000ユーロ(約481万円)から、2021年には、コンディション2で69,000ユーロ(約897万円)、コンディション3で、45,500ユーロ(約591万円)へと上昇中だ。
Photo: Werk
ポルシェ911(964 RS、1991~1992): 下降後ふたたび上昇傾向。2015年には、1991年製の「ポルシェ964 RS」に、ファンは19万ユーロ(約2,470万円)という高値を払わなければならなかった。260馬力のレーサーは、2020年のコンディション2の15万4000ユーロ(約2,002万円、コンディション3は11万ユーロ=約1,430万円)から、現在はコンディション2で、16万5,000ユーロ(約2,145万円)とコンディション3で12万ユーロ(約1,560万円)に価格が上昇している。
ポルシェ911カレラ(1994~1998): 引き続き上昇傾向。最後の空冷式ポルシェ、「993」のブームは続いており、コンディション3の個体でも5万ユーロ(約650万円)以下で買えることはまずない。そして、75,200ユーロ(約977万円)がコンディション2の個体の価格だ。
Photo: Ingo Barenschee
ポルシェ911カレラ(996、1997~2002): ビミョー。お買い得情報: 「996」はヤングタイマーとして決して高いものではなかったが、現在、価格はガタ落ちしている。水冷と目玉焼きのようなヘッドライトを搭載した初代モデルは、まだファンの間で受け入れられていない。そして、それは当分の間、続くようだ。2019年の18,000ユーロ(約234万円、コンディション2)から2020年の29,200ユーロ(約379万円)まで、反循環的に価格が上昇した。ただの蜃気楼? 2021年、「996クーペ」はコンディション2で26,600ユーロ(約345万円)、コンディション3の個体は現在19,100ユーロ(約248万円)で販売されている。これ以上安く「911」に乗れるわけがない。「996」が、いずれ「純血種911」の仲間入りをするのか(価格は5倍になるのか)、それはわからない。
Photo: Roman Raetzke

Text: Jonas Uhlig
Photos: Porsche AG