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コロナ禍で政府が「出勤者数の7割削減」を呼びかけ、テレワークが注目されるようになりました。しかしながら、現在実際にテレワークを行っているのは約2割の企業にとどまっています。本来、テレワークはワークライフバランスを整え、多様な働き方に対応するためのものです。一時的なコロナ対策ではなく、アフターコロナでも持続できるテレワークを今から考えてみてはどうでしょうか。

そもそもテレワークとは?

テレワークとは、「tele=遠い」と「work=働く」を合わせた造語で、『ICT(情報通信技術)を利用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方』のことです。

テレワークには、主に在宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィスの3形態があります。

テレワークという言葉が浸透したのはここ数年のことですが、その始まりは意外と早く、日本では1980年代のことといわれています。

当初はサテライトオフィス型のテレワークが主流でした。その頃はまだ通信環境が整っていなかったため定着せず、本格的に広がったのは2000年代になってから。インターネットの常時接続が定着し、さらに2010年代に政府がテレワーク施策を始めたことがその理由です。

テレワークのメリット

テレワークを推進すると、企業にも従業員にも大きなメリットがあることが見込まれています。

企業側のメリット

・ 優秀な人材の雇用
まず挙げられるのは、優秀な人材の雇用と離職防止。なぜなら、能力がありながら介護や育児などの制約で離職せざるを得なかった人材も、在宅勤務で業務を続けることができるようになるからです。

また、多様な働き方に対応することで、企業のイメージアップにもつながります。

・ BCP(非常時の業務継続)対策
災害が起きたときでも、従業員が自宅で対応できるシステムができていれば事業を止めずに済み、損害を最小限に抑えることができます。コロナ禍で緊急事態宣言になったときも、事前にテレワーク対策がとれていた企業はスムーズに在宅勤務へ移行ができました。

・ 業務プロセスの改善・経費削減
テレワークでは、オフィスと同様の機器がそろえられないため業務プロセスの見直しが必要になります。面倒なことに思えますが、その際に業務の棚卸しを行うことで、結果として社内フローのムダを発見することにつながります。

また、ペーパーレス化によりプリンターのコストや紙書類の保管スペースが空くことによるオフィスの賃貸料などの経費も削減することが可能になります。

・ 営業力の強化
サテライトオフィスや在宅勤務のスタッフが増えることで、営業活動の距離が広がる可能性があります。オンラインでの営業を取り入れれば、遠方や海外のお客様への営業活動も視野に入れられます。

従業員のメリット

・ ワークライフバランス向上
通勤時間がなくなると、1日の中で自由に使える時間が増え、その分、育児や介護、家事を充実させたり、睡眠時間を確保したりできるようになります。スキルアップのための勉強や自己啓発を始める人もいるようです。

・ 自己管理能力の向上
オフィスで仕事するときよりも、自分自身で目標や進捗管理をする必要が出てくるので、それが自己管理能力につながることも望めます。

政府のテレワーク関連施策

団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年は目前に迫ってきました。労働人口の確保は政府にとって喫緊の課題。その解決策の一つがテレワーク推進です。

各省庁では、テレワークのためのさまざまな施策を行っています。

総務省テレワーク・サポートネットワーク

テレワーク導入やシステム、セキュリティについての困りごとの相談を受付けたり、セミナーを開催したりしています。セミナーはオンラインでも行われていますし、相談窓口は日本全国各地にあるので、確認してみてください。

https://www.teleworksupport.go.jp/index.html

総務大臣賞・テレワーク先駆者(百選)

テレワークの優れた取組に対して、毎年「総務大臣賞」が授与されます。

選ばれた企業の事例は、テレワークを進める上での参考になります。

選ばれているのは大企業のみならず、従業員数名の小規模事業所まで。毎年公募されるので、これを目指してみるのもいいかもしれません。2021年は8月に公募開始予定。

https://telework.soumu.go.jp/case-studies

人材確保等支援助成金(テレワークコース)

厚生労働省では、良質なテレワーク新規導入、実施により人材確保・雇用管理改善の効果をあげた中小企業への支援助成金制度を設けています。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/telework_zyosei_R3.html

厚生労働省 テレワークポータルサイト

テレワークに関する資料の提供、テレワークセミナーやイベントの紹介、テレワークに関するQ&Aなど、有用な情報が掲載されています。

https://telework.mhlw.go.jp/

まとめ

・テレワークはワークライフバランスをととのえるためのもの
・テレワークは企業にも従業員にもメリット大
・政府もさまざまなテレワーク施策を行っている