Appstoreの手数料が半分になる!?
アプリ市場において大きな問題となっているのがアプリ手数料です。従来はアプリ課金に対して高額な手数料が請求され、反発する事業者も多い状況でした。そして手数料への反発は「Apple対Epic」といった構図で大きな火種を生んでいます。
AppStoreを経営しているAppleは、長年「手数料は必要であり下げられない」と主張してきました。しかし最近その流れが変わりつつあります。2020年11月中旬、App Store Small Business Programを正式に発表したのです。
今回はこのApp Store Small Business Programについて知りたい方向けに、AppleのAppStore手数料に関する最新動向とともに分かりやすく解説していきます。
1.Appstoreの利用手数料は実は高い!
AppStoreでアプリを提供したい中小のアプリディベロッパーにとって、アプリ手数料は大きな重しとなっていました。AppStoreを使えばAppleの経済圏にいる多くのユーザーへ自社のアプリをリーチさせられますが、コストがかさむと将来的な利益の最大化の障壁となります。
具体的にはAppStoreの手数料は、
・アプリをストア内で登録して配布:99ドル/年
・有料アプリの購入成立時:売上の内30%
・アプリ内での課金成立時:売上の内30%
・サブスクリプションの課金成立時:初年度30%、2年目から15%
と定められています。
アプリストアへの登録料金はそこまで掛かりませんが、有料アプリ購入やアプリ内課金などには30%もの手数料が請求されるのが問題です。
アプリ事業者にとって売上の30%をAppleに徴収されてしまうのは痛手です。Apple側では「30%の手数料は、アプリストア内でのアプリ品質チェックやその他サポートを提供するためにも必要な料金」と主張していますが、納得できない方も多いでしょう。
しかもAppleは一時期、「最初の1年だけ40%を徴収してみたらどうか」といった話を社内でしていたようで、もし実現していたら30%以上に中小事業者が悲鳴を上げていたかもしれません。
2.引き金?記憶に新しい、Appleと中国アプリディベロッパーとの手数料をめぐる争い
最近Appleの手数料問題がアプリ事業者以外の一般人の間でも話題になったのは、AppleとEpic(Epic Games)が手数料に関して争いを激化させたのが理由です。
Epic Gamesはアプリストアでの手数料発生を嫌がっており、Android向け「フォートナイト」をリリースした際も「Google Play」ではなく自社サイトでアプリを独自配布しています。
そしてAppStore版のフォートナイトでは仕方なく手数料を今まで支払っていましたが、「Epic ディレクトペイメント」という独自の決済手段をアプリ内で実装して、アプリ内での決済を避ける姿勢を打ち出しました。しかし独自決済の実装はすぐAppleに発覚し、2020年8月14日にフォートナイトはAppStoreから削除されてしまいました。
Epicとしては、あえてAppStoreから削除されるように仕向けることで「Appleは手数料に反発する事業者を、権力を乱用して排除するつもりだ」というのを世間に知らしめたかったのでしょう。実際ストア削除直後にAppleの姿勢へ反対する動画を公開しており、一般ユーザーへ反対運動への協力を呼び掛けています。
現在AppleとEpicの手数料を巡る争いはアメリカ連邦地裁に闘争の場を移しており、結果はまだ出ていません。あえてAppStoreから削除される行為を取ったのは褒められる行為ではないかもしれませんが、Appleのアプリ手数料が高額だということを世間に周知できたという意味では成功と言ってよいでしょう。
3.膨張していた「手数料引き下げ」の声
Appleの手数料問題に関しては、Epic以外の有名企業も現在声を上げています。
たとえばスウェーデン発の大手音楽ストリーミングサービスSpotifyは、EpicがAppleとことを構える以前からAppleへの批判を続けていました。現在SpotifyはAppStoreでもアプリとして配布されていますが、有料課金の際はアプリ内から有料サービスの紹介ページへのリンクを貼り、それからユーザー側で課金用のページを検索するよう求めています。
課金用のページリンクを直接アプリに貼ってしまうと規約違反になるからです。AppStoreへ手数料を支払いたくないSpotifyの姿勢がよく表れています。
またSpotifyはEpicといった他の企業といっしょに、「アプリ公平連合」を立ち上げています。アプリ公平連合では「アプリエコシステムにおいて、選択の自由と公正な競争を提唱する」を目的に活動を行っていく予定です。
他にもFacebookが中小企業サポートのため導入した独自サービスに対しても、Appleは圧力を掛けて30%の手数料を徴収しようとしました。中小企業を締め付ける行為だとしてFacebookからの非難も上がっています。
いくらAppleが「GAFA(経済を握るアメリカのITテック大手4社の総称)」の1つを担っている大企業でも、EpicやSpotify、それに同じGAFAのFacebookといった各有名企業と対立を深め過ぎたらブランドイメージにも傷がつくでしょう。それにAppleも気付いているのか、ついに手数料に関して譲歩の姿勢を見せています。
ちなみにGoogleもかなりの手数料をアプリ事業者へ請求しており、EpicにAppleと同じタイミングで訴えられています。現在Appleのほうが注目されていますが、今後はGoogleの手数料改定にも焦点が当たるかもしれません。
実際Google Playに関することではありませんが、Googleは現在米司法省と11州の司法当局に訴訟を起こされている最中です。検索サービスにおいて独占的な位置を築いている状況で、競争を阻害する悪質な行為を行っていたと批判されています。
また2021年度には新大統領ジョー・バイデン氏がアメリカで政権を握ります。バイデン氏はAppleやGoogleを含めたGAFAへの規制や監視の強化を進めたい方針で、今後アプリ手数料に関してもより大きく取り沙汰される可能性があるのもポイントです。
4.いつから、どのような手数料に変更になる?
App Store Small Business Programのポイントは、
・適用の基準は前年度売上が百万ドル未満だった小規模事業者
・対象の事業者は今年度iOSに提供するAppStoreのアプリ手数料を15%に引き下げる
です。
100万ドル未満の売上の小規模事業者にとっては手数料が30%→15%になり負担が減る大きなチャンスです。「iOSに参入したいがコストが気になる」という方にも大きな追い風になっています。ただし対象となっていても収益が100万ドルを超えた場合は、当年の残り期間は手数料が30%に戻ってしまうので注意しましょう。
Appleでは「小規模アプリ事業者がAppStoreを通じて創造と繁栄の次の章を描き、お客様にとって質のよいアプリケーションをリリースする手伝いをしたい」としています。小規模事業者にも強気の姿勢を見せていたAppleがここまで態度を軟化させるのは驚きです。
※2020年12月より登録受付が開始されています。
参考URL:https://developer.apple.com/jp/news/?id=6lyxewwp
5.まとめ
今回はAppleの手数料問題について現状を解説してきました。
Appleが指定していたAppStoreの手数料は、アプリ事業者にとって安いものではありませんでした。しかし小規模事業者に手数料引き下げの道を作ったりと、批判の影響もあってか態度は軟化しているように感じます。
今後よりiOSアプリ関連の市場規模拡大が見込まれます。今からAppStoreに参入したい方は、ぜひチャンスを逃さないようにしてみてください。また、ASOの無料診断を実施しています。正しいASO対策、できてますか?詳しくはこちら。
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