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おうちで過ごす時間が増え、家に観葉植物を置くようになったという人が増えています。生き生きと青く茂って、そこにあるだけで癒される存在ですが、湿気が多く気温が高い夏の時期には、部屋の中に置いていても害虫が発生してしまうことも。

 

虫がつくと、植物は弱ったり枯れてしまったり。そんなトラブルから観葉植物を守るためのコツを、東京都港区にあるグリーンショップ「REN」の店長・山田聖貴さんに教えていただきました。

 

観葉植物に害虫が発生するのはなぜ?

そもそも、部屋で育てている観葉植物に害虫が発生してしまうのはなぜなのでしょうか?山田さんは「観葉植物に害虫がついてしまうタイミングはたくさんある」と言います。

 

「害虫は、ドアや窓を開け閉めするときに外から入ってきたり、店頭で販売しているときからすでに葉の根本や幹の間に潜んでいたりするので、お部屋で育てていても発生する可能性は十分にあります。

なかでも、気温と湿度が高い夏は虫の活動が活発になる時期。お部屋では、湿度が上がりすぎたり空気がこもったりしやすいため、この時期はとくに注意が必要です」(REN店長 山田聖貴さん、以下同)

 

虫がついてしまうと、植物はどうなる?

↑葉が密集しているところはとくに害虫がつきやすいのだとか

 

「観葉植物に付く害虫でとくに多いのは、カイガラムシ、コナカイガラムシ、ハダニと呼ばれる虫などで、葉の裏側や根元の部分に付いていることがほとんどです。これらの害虫は、私たちプロでもじっくり見ないと気が付かないほど小さいですが、養分を吸いとって弱らせるなどの害をもたらします。

また、害虫が付きやすいかどうかは、品種によることも。例えば、害虫が付きにくい品種は『パキラ』『サンセベリア・ゼラニカ』『ドラセナ・コンパクタ』『モンステラ』『ペペロミア』など。逆に、害虫が付きやすい品種は『コルジリネ』『アイビー』などが挙げられます」

 

↑こちらは虫がついていない元気な葉

 

↑害虫が付いてしまった葉。上と見比べると、葉の色やツヤが違うことがわかります

 

「害虫は見えにくいところに潜んでいることが多いので、『きちんとケアをしているから大丈夫』と思っていても、普段行っているケアだけでは不十分な可能性があります。害虫の発生を防ぐためには、正しい方法で日々ケアを行う必要があるんです」

 

害虫発生を防ぐには、日々のケアがとにかく大切!

では、部屋で育てている観葉植物を害虫から守るためには、具体的にどうすれば良いのでしょうか? 簡単に実践できるケア方法を山田さんに教えていただきました。

 

1. 濡らしたティッシュで葉を拭く

すぐにできるケアの一つが、水で濡らしたティッシュで葉を拭きとること。一枚一枚丁寧に拭くことで、葉に付いている害虫を取り除くことができます。

「拭きとりは、できれば毎日行うことが理想です。でもすべての葉を拭くのは大変なので、『今日はこの枝についている葉を拭こう』というように、エリアに分けて、毎日少しずつケアするのが良いと思います。それも難しいという方は、週に一回、月に一回行うだけでもずいぶん変わるので、ぜひできる範囲で行ってみてください。

また、ティッシュを使用することもポイントの一つ。繊維が荒い布などを使用すると葉を傷つけてしまうことがあります。そして、せっかく拭きとった害虫をまた葉に付けてしまわないためにも、使い捨てできるものを使って拭いてくださいね」

 

2. 霧吹きで葉に水をかける

続いて教えてもらったケア方法は、葉に直接水を与える「葉水」。こちらも毎日行いたいケアの一つです。

 

「葉を拭いたら、次は霧吹きを使って葉全体に水をあげてください湿らす程度に水を与えることで、葉の乾燥を防ぎ、ハダニの発生などをおさえることができます

水やりは、土には週一回程度で問題ありませんが、葉にはできれば毎日行うのが良いと思います。ただし、一回に与える水の量は『全体を湿らす程度』で充分です。やりすぎてしまうと別の病気になることもあるので注意してください」

 

3. 木酢液を使用すればさらに効果的!

さらに万全なケアを目指すなら、「木酢液(もくさきえき)」を使用するのが良いそう。木炭の煙から抽出した樹木のエキスである木酢液には、害虫予防の効果があります

 

「木酢液は水で薄めて、害虫が付きやすい葉の裏を中心に、霧吹きを使って吹きかけてください。こちらも与えすぎは逆効果で、目安は週一回程度です。

現在さまざまな種類の木酢液が販売されていますが、お部屋でも安心して使用したいという方にはオーガニックの木酢液がおすすめ。RENで販売しているものも天然素材からつくられています」

 

観葉植物にとって快適な環境を整えることも、対策になる

日々のケアに加え、観葉植物にとって“快適な環境”をつくってあげることも、害虫対策につながります。部屋にある観葉植物の置き場所などを、あらためて見直してみることも大切です。

 

「観葉植物は、閉め切った部屋ではなく風通しが良い場所に置いてください。また直射日光が当たらない明るい場所に置くのもポイント。明るさの目安は『日中、読書ができるくらいの日の光があるかどうか』です。直射日光に当たりすぎると、葉が焼けることにもつながるので、窓際に置く際にはレースのカーテンなどを付けて、光が当たりすぎないようにするのがいいと思います。

また、夏はお部屋でクーラーを使用することも多いと思いますが、クーラーの風が直撃する位置に観葉植物を置くのは避けましょう。『クーラーの風でずっと葉が揺れている』ということがないよう、位置を調整してみてください」

 

ケアしていたのに害虫が発生してしまったときの対処法は?

観葉植物を日々ケアし、快適な環境の中で育てていても、100パーセント害虫を防ぐのはなかなか困難なこと。山田さんは「害虫は小さいため気が付かないことも多いですが、『水やりの量が適正で、日光にもしっかり当てている』にも関わらず植物に元気がないときは、害虫のせいかも、と疑ってみてください」と言います。

 

もしも害虫が発生してしまったときにはどうすれば良いのか、その対処法を三段階に分けて教えてもらいました。

 

1. 被害が出ている場所を拭きとる

「まず第一段階の対処法は、葉の色が変わってしまっている部分など、害虫の被害を受けていると考えられる場所を中心に、水で濡らしたティッシュで葉を拭きとること。害虫の数が少なければこれだけで済むはずです」

 

2. 薬剤を使う

「改善されない場合は、第二段階として、拭きとりに加え、害虫を駆除するための薬剤を使用してみてください」

 

3. 枝ごとカットする

「それでも状態が悪化してしまうときには、最終手段として、被害を受けている部分を思い切って枝ごとカットしましょう」

 

葉以外の部位にも虫はつく?

葉以外にも付着する害虫はいます。

 

「『コナカイガラムシ』は葉の根本部分に、『カイガラムシ』は幹に付着することがあります。もし発生した場合には、葉と同様の方法で対処してください。

また、観葉植物に付く害虫とは別に、土の中から“不快害虫”が発生することもあります。植物には直接害をもたらさないものの、人を不快にさせる虫のことを不快害虫と言い、中でも湿気を好む『キノコバエ』は夏によく発生します。対処法としては、表面の土を新しいものに入れ替えたり、土が少し乾燥気味になるように管理したりすることが有効です」

 

悩んだらショップなど専門家に相談を!

「ご自身でどう対処して良いのかわからないときには、アフターサービスなどを行っているグリーンショップに相談して、プロに頼るのも有効な手段の一つだと思います。ぜひ、おうちにある観葉植物を長く大切に育ててくださいね」

 

観葉植物と長く付き合っていくためにも、「ケアは一時的な期間だけ行うのではなく、継続してほしい」と山田さん。今回紹介したケア方法はどれも簡単にできることばかりなので、ぜひ今から実践してみてください。

 

【プロフィール】

REN 店長・プランツケアマイスター / 山田聖貴

アフターサービスが手厚いRENで、プランツケアマイスターとしてお客の植物に関するあらゆる悩みに応え、植物との持続可能な暮らしをサポートしている。

REN プランツケア https://www.ren1919-shop.com/?tid=2&mode=f41

 

【店舗情報】

REN

所在地=東京都港区三田2-17-32 ハナモスタジオビル(※2021年8月12日(木)にリニューアルオープン。)
TEL=03-3456-0871 (旧店舗から継続)
HP https://www.ren1919-shop.com