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パラリンピックは5大会連続の出場で日本競泳陣のキャプテンも務める34歳の鈴木孝幸選手。パラスポーツにひかれたベテランは東京大会を、その魅力を日本の多くの人に広める絶好の機会ととらえて何よりも「結果」にこだわり、みごとに自身2大会ぶりのメダルをつかみとりました。

鈴木選手は生まれた時から両足と右手がなく、左手の指にも障害があり祖母のすすめで6歳のころに水泳を始めました。

当初は「パラリンピックには全然興味を持っていなかった」と言いますが高校3年生のときに初めて出場したアテネ大会で衝撃を受けたといいます。
「実際に出てみたら、超人的な選手たちがその当時でもたくさんいた。障害があろうとなかろうと、スポーツの世界であそこまで昇華できているのは純粋にすごいと感じた」。
世界のトップの姿を目の当たりにしたことでパラスポーツの魅力にひかれた鈴木選手、その後競技にのめり込みました。

2回目の出場となった北京大会では、念願の金メダルを獲得。
2013年からはパラリンピック発祥の地、イギリスに練習拠点を移してトレーニングを重ねるなどパラスポーツのとりことなりました。

これまでにパラリンピックで5つのメダルを獲得、世界のトップに名を連ねるようになった中、鈴木選手はかつての自分のように、日本の多くの人たちに「パラスポーツが純粋にスポーツとして楽しめることを知ってほしい」と考えるようになりました。
そのための絶好の機会となると考えたのが自国開催の東京大会、そして、なによりもこだわったのがひときわ注目を集めるメダルという「結果」でした。

臨んだ本番、予選では後半を流して余力を残すベテランらしいレース運びで全体の5位で通過。決勝ではスタートから全力の泳ぎを見せ前回大会では届かなかったメダルをつかみ取りました。

泳ぐ姿を通して「障害を持つ人でもいろんなことができることを知ってもらうきっかけになってほしい」と願う鈴木選手。
今大会はなんと6種目に出場する予定で、休む間もなくあすは2種目めの自由形に出場します。
見る人に無限の可能性を示したいと「結果」を求める34歳のベテラン、その挑戦はまだまだ続きます。