パレスチナ暫定自治政府のアッバス議長が、国連総会で演説し、イスラエルに対し、1年以内にパレスチナの占領から撤退するよう求め、実現しなかった場合には、国際司法裁判所で占領の正当性について争うことになるとして、イスラエルをけん制しました。
パレスチナ暫定自治政府のアッバス議長は24日、事前に収録されたビデオを通じて国連総会で演説しました。
この中でアッバス議長は、イスラエルについて、ことし12年ぶりに政権交代したものの、これまでの政権と同じように、イスラエルとパレスチナの「2国家共存」を避けようとしているとして、非難しました。
そして、今後1年以内にヨルダン川西岸地区や東エルサレムの占領から撤退するよう求め、実現しなかった場合には、国際司法裁判所で占領の正当性について争うことになるとして、イスラエルをけん制しました。
アッバス議長は8月、イスラエルのガンツ国防相とは会談した一方で、パレスチナ国家に明確に反対しているベネット首相とは会談をしていません。
一方、トランプ前政権のもとで悪化したアメリカとの関係について、「建設的な対話が進んでいる」と述べ、バイデン政権との関係改善が進んでいることをアピールしました。
アッバス議長としては、自身の求心力の低下が続くなか、アメリカとの関係改善をアピールし、イスラエルをけん制することで改めてリーダーとしての求心力を取り戻したい狙いがあるものと見られます。