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東京工業大学は2021年10月22日、同大学フロンティア材料研究所などの研究グループが、熱から電気を取り出す熱電変換の妨げになっている電気伝導率と熱起電力のトレードオフ状態を解消させる技術を開発したと発表した。この技術が実用化されれば、廃熱として捨てられることが多い熱エネルギーを利用した発電の普及が期待できる。

機械などを動かしてエネルギーを消費する際、多くの熱エネルギーが発生するが、先進国ではその約6割が利用されずに廃熱として捨てられている。このため、廃熱から発電を行う熱電変換が温暖化の抑制や省エネにつながる技術として注目されているが、電気伝導率と熱気電力のトレードオフが熱電材料の性能向上を妨げる要因となっていた。

研究グループは、モット絶縁体の酸化物であるLaTiO3に人工的に圧力を加え、絶縁体から金属に変化させると、電気伝導率と熱気電力の向上を両立させられることを発見した。

金属に変化させた物質に圧力を加えると、電荷の移動を担うキャリアの濃度が減少して熱起電力が増大。同時に、キャリア濃度が減る以上にキャリア移動度が大幅に高まることで、電気伝導性も増大した。

この研究成果は2021年10月21日付で『Advanced Science』誌に掲載された。

人工的に圧力を加えて熱電材料の性能を制限するトレードオフの関係を打ち破ったことで、これまで化学的に安定していながら熱電材料として実用化されてこなかった酸化物を、高性能な熱電材料として利用できる道が開けた。

今後、酸化物の熱電性能が大きく向上すれば、熱電変換を汎用的なエネルギー源として普及させることも期待できる。

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プレスリリース

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